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筍を茹でる

筍をいただいた。
はじめ三本だったが、お裾分けを言付かり訪ねる前にLINEしたところ、高知を旅行中なので代わりにもらっておいてと言われたので、六本になった。

筍は掘ってからできるだけ早く下処理をしないと、硬くなると聞いている。
庭先で皮を剥き、というより、巻いた皮から食べられるところを取り出した。
ものすごい量の不可食部である。
筍六本の皮で、有料ゴミ袋一枚分である。

台所に移して、更に、硬く包丁の通りの悪い部分をバッサリ切り落とす。
それから鍋に入れやすい大きさに切って入れ、水を張って米糠を乗せる。
強火にかけて沸騰したら火を弱めてグラグラ茹でる。

竹串がスッと通るくらいになったら、火から降ろしそのまま冷ます。
冷めたら糠を洗い落とし、鍋に水を張って茹でた筍を浸けてアクを取る。

大仕事になった。
この合間に夕ご飯のおかずを作って、ヘトヘトだ。
筍は時期になれば山にニョキニョキ生えてきて、掘らないと竹が密集してしまう。
筍そのものの価値は無いに等しい。
店で売っている茹で筍の価格は、下処理の手間賃と言って過言じゃないと思う。

私は明日、心当たりに声をかけて茹で筍をお裾分けする。
さしあたって、向かいに住む夫の叔母さんや、夫の実家が思いつく。

かつて、義母や叔母さんが、こう言って茹でた筍を下さったものである。

あんたら若いモンは、筍なんて茹でないでしょ。
そんな大きな鍋がないでしょう。

そんな私も、いつの間にか筍を茹でることができるようになり、今となれば人に差し上げるから茹でようなどと考える。
ずいぶん成長した歳をとったものだ。

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