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古代の神々が息づく弥彦村 記紀の伝説を探る旅へ ~新潟県弥彦神社その1【紀行文】

 新潟県を訪れ、長岡市で火焔型土器をみた。

古代神話の伝承が息づく弥彦村へ

 この日は大雪で、電車の運行状況を気にしながらの旅だった。
 大雪で静岡に帰れなくなることを想定し、宿も取らずに新潟に来ていた。雪深いこの景色は、静岡育ちの私には、立ち去りがたい珍しいものだった。幸い電車は明日も動きそうだと分かった。
 もう一泊することを家に連絡し、私は少し北上し、三条市あたりに宿を求めようとした。しかし、あまり良い宿がなかった。google地図を見ると近くに弥彦という地名があった。
 うっすらと弥彦と言う名前に聞き覚えがあった。調べてみると弥彦神社がヒットした。弥彦神社に関しての知識はなく、なんとなく覚えていた程度だったが、調べてみると元「いやひこ」であり、漢字としては「伊夜比古・伊夜日子・伊夜彦」が当てられていたそうだ。
 古事記にて、神武天皇が熊野で倒れたとき、それを助けた高倉下がいる。この別名が天香山命であり、弥彦神社の祭神であるとされている。
 何やら面白そうな神社であると思った。弥彦村の宿を調べると幸いにも、とても良い条件の宿が見つかった。弥彦神社に向かう最終便を調べると、迷っている時間はなかった。私は電車に飛び乗り、弥彦村に向かった。

三条あたりから延びる弥彦線に乗る

 弥彦線の乗客はまばらだった。雪原の中を静かに進む電車の窓の外には、どこまでも続く雪原で、あたりが暗くなるにつれ寂しくなっていった。
 弥彦村についたのは、18時半ごろだった。

静寂の中幻想的な弥彦神社へ

弥彦駅のロータリー 雪は音を消すというが静まり返った夜の町に秘境感があった

 弥彦の駅に着くと、そこにはライトアップされた。赤い鳥居が立っていた。白い雪がうず高く積もったロータリーに、赤い鳥居が独立しており、静かな夜の雰囲気もあって美しいと思った。
 あたりは真っ暗で人影がなかった。ロータリーに停まっていた最後の一台タクシーが私の目の前で立ち去った。
 私は宿まで歩いて行くことにした。除雪された歩道を気をつけて歩く。
 歩道脇には、雪が私の背丈ほども積もっている。うす暗い路地を歩いて行くと、さらさらと流れる水の音が聞こえた。川までは凍っていないらしい。
 所々街灯がついているため、足元がおぼつかないと言う事はなかったが、坂道が多く、滑らないように気をつけて歩いた。
 私が泊まる宿は弥彦神社の目の前の清水屋と言うところであったが、そこにチェックインするよりも、まずこの夜の弥彦神社にお参りしたい気持ちに駆られた。
 弥彦神社が見えた。

弥彦神社はこの時間灯篭などに明かりがともり幻想的な雰囲気の中に佇んでいた
重軽石
随神門までの参道も除雪されており歩きやすかった

神秘的な気配に抱かれる夜の弥彦神社

 境内はまだライトアップされており、参拝者を迎えているようだった。
 弥彦神社の巨大な鳥居に一礼をし、本殿に向かった。弥彦神社の本殿は一の鳥居から入り、直角に曲がった場所にある。
 元々は弥彦山を直に遥拝する山体信仰のお社であったようだ。
 雪は音を消す。
 人気のない夜の神社を一人行くなど正気の沙汰ではないが、参道を進むにつれ不思議と何かに包み込まれているような安心感があり、導かれるように進んだ。
 二の鳥居をくぐり進むと随神門が見えてきた。その随神門の向こうに弥彦神社の拝殿がある。
 随神門を潜ったその先に、光り輝く夜空の下に美しい雪肌を湛えた弥彦山が現れ、そのふもとに佇む弥彦神社の拝殿と本殿があった。
 ふっと魂が洗われるような、魂消るとはこういう感覚を言うのか、あまりの美しさに見惚れてしまった。

弥彦山に抱かれた星空の下の弥彦神社

 その天上の如き美しい姿を記憶に留め、一礼をして宿へ戻った。

 翌日改めて弥彦神社へ参拝し、弥彦山へ登ったこと、そして弥彦神社にある謎の神社について、次回の記事をお楽しみに。

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タキカワスエヒト
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