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#17 「いいから思い切って行け!」

この日は4年生以下だけで隣町まで遠征しての練習試合を二つ。

K太は2試合ともいつも通りの7番ライトでスタメンだ。


<1試合目>
1打席目は2回裏1-1の同点、1死無走で打席が回ってきて、1ボールからの2球目を捉えるもセカンド正面のゴロで凡退。

2打席目は3点勝ち越してなおも1死1・3塁のチャンスで打席が回る。
初球は待てのサインで1塁ランナーが盗塁を決め、2球目にスクイズのサイン。
しっかり打球を殺してピッチャー前に転がすと、1塁への送球間に2塁走者も生還するツーランスクイズを成功させた。

この回一気に5得点で試合を決め、7ー1で勝利した。


<2試合目>
場所を移動して昼食を食べてからの試合。

1打席目は2回裏0ー0の同点、1死3塁、先制のチャンスで打席が回ってきた。
初球セーフティスクイズのサインが出るも、外れてボール。
2球目もセーフティスクイズのサインが出たが、際どい球にバットを引いて判定はストライク。
3球目、今度はスクイズのサインが出た。
これをK太がしっかりと決め、1点を先制した。

2打席目は4点を加えてなおも1死3塁のチャンスで打席が回ってきた。
公式戦ならここでもスクイズのサインが出そうな場面だが、監督からは打てのサイン。
K太は本当に打っていいのか半信半疑の様な感じで、初球を見送りストライク。
2球目もやはり打てのサインだが、高めに外れてボール。
3球目も打てのサインが出たが、外角高めの球に手を出せず、判定はストライク。
せっかく打つチャンスをもらったのに追い込まれてしまう。

「いいから思い切って行け!」

監督もK太がスクイズのサインが出るのを待っていたのを察してハッパをかける。

4球目、腹を括ったK太はやや外角の球を素直に打ち返すと、打球は前身守備を敷いていたセカンドの頭を超えてライトの前で弾み、久々に外野まで飛んだタイムリーヒットとなった。

3打席は四球。試合は12ー0で快勝だった。


同じ4年生でも3・4・5番は体重45kgくらいの巨漢で力も強い。対してK太はまだ30kgにも満たないチビだ。
当然スイングの速さやリーチの長さも違うから、彼らと同じ様に打つ事はむずかいけれど、バントならば条件は変わらないし、見るべき球は見て、打つべき球を打つという打席での心構えに変わりはない。
K太はその辺りをしっかり出来る様になって来たので、少しずつではあるが指導陣からも信頼を得る様になって来た。

明日もまた練習試合で経験値を増やして、来週の秋季大会ベスト8戦に臨むことになる。

ここまで順調過ぎるくらい順調に成長して来ているけれど、このまま怪我なくシーズンを駆け抜けて欲しいと願っている。

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