しあわせを未来へつなごう
28年前。
小学校3年生だった。
ゴーッという地鳴りの音で目が覚め、その直後、ドーン!という大きな衝撃が襲ってきた。
身動きも全くできない中、布団をかぶれ!と隣に寝ていた妹に声をかけ、自分も必死に布団を頭までかぶったことを覚えている。
リビングでテレビをつけると、そこには、変わり果てた街があった。
「夢?」
そう思っても不思議ではない光景だった。
父は消防士。
身支度を整え、すぐに出動していった。
父は大丈夫、と根拠のない漠然とした信頼はあったが、不安も隠せなかった。
テレビでは、時間が経つごとに犠牲者の数が増えていく。
そこにあるのはただの数字だけれど、その裏には、それぞれのストーリーがある。
家族がいて、夢があって、日常があって・・・それが一瞬にして奪われる理不尽さ。
そして、自分もそうなった時に、ただの数字になるのだという漠然とした恐怖。
そんなことを感じていた。
当時、消防への風当たりは強かったと聞いた。
心無い言葉を受けることもあったそうだ。
『災害があれば立ち向かうのが消防の人間の宿命』
父はそう言う。
しかし、同時に、消防の人間も被災者だったということを忘れてはいけないと思う。
僕の仕事は小学校の先生だ。
街の未来を守るのが消防の仕事なら、この街の未来をつくるのが僕の仕事だ。
言い換えれば『大切なことを大切だと伝え続けるのが先生の仕事』だ。
人間は忘れる生き物だ。
でも、忘れてはいけないこともある。
大切にしなければならないこともある。
あの時の大人たちが、思いを繋ぎ、伝え続けてきたからこそ、今の生活が、日常があるのだ。
あの震災を踏まえて乗り越えた人々が、今の街をつくっているのだ。
あの時描いた未来が今なのだ。
僕たちは子供たちと一緒に、未来を描いていかなければならない。
過去を踏まえ、歴史を踏まえ、そこから学び、伝えていかなければならない。
よりよい未来を描き、実現させていくことが、今を生きる僕たちの、未来を生きていく子供たちに託されたバトンだと思う。
1月17日。
何年経っても、大切にしていきたい日。
共に学び、共に語り、共に伝えていこうね。
それでは。
Good Luck!!
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