子孫をまどわせたい
はじめまして。黒い球です。
こんにちは。タチバナシです。
あらためましてタチバナシです。普段は小さな会社で働いています。
みなさん「子孫をまどわせたい」ですよね?
「子孫をまどわせたい」
100年以上先の未来に向けて、現在の実態とズレている情報を世に残すことで「子孫をまどわせたい」
人類は、解くのが簡単すぎる問題にはやる気が出ず、ほどほどに難しい問題に一番やる気が出るらしい。色々なことに飽きていくであろう未来の人に、ほどよい難易度調整をプレゼントしておこうと思います。
幸いにも髪とヒゲが伸びっぱなしになっているので、これを利用して「子孫をまどわせたい」と思います。
髪とヒゲが伸びっぱなしになっている理由
リモート会議が中心の働き方となる
リモート会議が中心の間は髪とヒゲを伸ばしっぱなしでもよいのでは?
その後ずっとリモート会議が中心の働き方が続く
髪とヒゲが伸び続ける
ご覧のありさま
ひとり作戦会議
未来の「子孫をまどわせたい」、そのために
現在の「実態とズレている情報」を残す、そのために髪とヒゲを活かして
過去の「いたかも知れないご先祖の恰好で写真を撮る」ことにしました。
とはいえ、まったくどうやっていいか分かりません。衣装が用意されている写真館をいろいろ調べたり、古い時代の服装に着替えられるテーマパークを調べたりしてみたものの、髪とヒゲをどう整えて準備したらいいかが分からない。
そうしているうちに、コスプレに詳しい方々に相談してみるのはどうかと思いつきました。そこで、コスプレに関連する団体や会社の問合せ窓口にどんどんと問合せを送ってみました。
その中の1社、合同会社ぷれこす(https://www.precos.jp/) さんから前向きなご回答をいただき、今回の準備や撮影にご協力いただくこととなりました。
窓口になっていただいたのは、ご本人もコスプレイヤーの樹理穴dis子さん (https://twitter.com/Juriana_disko) です。
衣装の準備のアドバイスをもらい、撮影に関する手配をお願いして、いざ撮影当日となりました。
【当日】撮影をするスタジオへ
スタジオに到着。まずは本日の撮影協力メンバーにご挨拶です。
■撮影に協力してくれる頼もしいメンバー
【左から2人目】カメラマンの涼子さん
【右から2人目】美容師/ヘアメイクのナリさん
【右から1人目】コスプレイヤーの樹理穴dis子さん
⭐樹理穴さんによる紹介:涼子さん(カメラマン)
コスプレモードとかのカメラマンさん。講座も開いていて、ライティングもめちゃめちゃ色々できる方。雑誌でもライティングについて投稿していて、ハコスタというコスプレスタジオ最大手でカメラマンとしても活躍されています。
https://twitter.com/ryoko_camera
⭐樹理穴さんによる紹介:ナリさん(美容師/ヘアメイク)
いつもお世話になっている美容師さんで、カラーが上手。テレビ、雑誌、ファッションメディアでのヘアメイクでも活躍。池袋にてサロンを経営されています。
https://www.instagram.com/diorama_hair_make/
撮影イメージの打ち合わせ
持っていった写真のイメージなどを見ながら、涼子さんとナリさんにイメージを伝えていきます。
タチバナシ 実は「子孫をまどわせたい」のですが…… めちゃめちゃスゴい誰かではなく…… 「ご先祖にこんな人いたのかも」ぐらいの仕上がりを目指しています……
涼子 なるほど「子孫をまどわせたい」。渋め、さわやかめだと、どちらがイメージに合いますか? キャラクター性というか。
タチバナシ うーん、きっと、身内の中でちょっとだけスゴイことを成し遂げた人だと思います…… そういう意味では渋めですかね。
涼子 渋めですね。わかりました。
どんなふうに写真を使いたいというイメージはありますか? SNSとかWebとか、YouTubeとか。それによって横長にするか正方形にするか、顔に影を入れるか、あとは画像の余白の撮り方とかも変わってきます。
タチバナシ 実はこう使いたいというシーンは決まっていません。できあがった写真をもとに考えようかな。共通して古い感じがあってほしいです。
涼子 それではいくつかのパターンで撮ってみますね。この草彅剛さんの写真だと、こっちの方角から光をばっと入れているんですよね。それで影を濃くして。それで懐かしい感じを出している。
タチバナシ すごい、写真に映っていない部分が見えるんですね。
涼子 どうしても現代に撮影する写真なので、昔の写真と比べてどうしても画質がいいぶんキレイに写ってしまう。古い写真は白色が飛んで赤色が退色したりするんです。そこに近づけはするけど、古い写真そのものではない。そこは大丈夫ですかね。
タチバナシ はい、大丈夫です。髪を遊ぶやつとヒゲを遊ぶやつがそれぞれあるとうれしいですね。
ナリ 髪を遊ぶやつとヒゲを遊ぶやつですね。了解です。
涼子 せっかくだから、普通の状態も撮ってみませんか?
さわやかな状態でBeforeを撮っておけば、Afterのギャップ大きくなるからおもしろいかも。せっかくだし。
タチバナシ わー、お願いします。
三国志・文官風先祖
タチバナシ 三国志の時代の文官で、政治72[*]ぐらいで内政でちょっと使えるイメージです。実家は名家ではないので、頭に派手な冠もなく服装も地味なものを想像しています。
涼子 三国志時代って当然ですけど写真が残っていないので、どういうイメージで撮るかな…。ネットで探してみますか。
ナリ 髪の毛いきますか。お団子にします。
タチバナシ すごいなー。三国志の時代の人とかもこうやってお団子つくってたのんですかねぇ。
ナリ アハハ、かもですね。タチバナシさんの髪質はすぐまとまる。すごくまとめやすいです。
ナリ メイクをしていきます。
タチバナシ なんか気持ちいいことだけわかる。
ナリ どういうイメージがいい、とかありますか? さっき画像を見たら、位が高い人は結構鋭利な、きりっとした印象のメイクになるんですよね。
タチバナシ あまり位は高くない、その辺にいた人のイメージなので、きりっとしすぎないぐらいですかね。
ナリ できました。
涼子 撮影を始めていきましょう。
タチバナシ よろしくお願いします。
タチバナシ どうですか?
ナリ アハハ、いいですね。
涼子 雰囲気出てます。
ナリ ヒゲをもうちょっとまとめましょうか。
涼子 影をつくるためにちょっと背景つくってみますね。
タチバナシ すごい、こんなことが一瞬で。
タチバナシ ポーズむずい…… 立ち方、目線…… どう…… 何……?
樹理穴 まず、手に持っている道具をまっすぐ前にやったら、写真では何なのかわからないんですよ。だからカメラに見えるように持つ。
あと、ポーズが手元でキャピってなっちゃっている。そうじゃなくて、向こう側に教える人がいると想定して、これはこういうことですよ、わかりましたか?という感じ。そしたらキャピってならないです。
タチバナシ はー(こうかな?)
樹理穴 いいじゃないですかー。ポーズも表情もタチバナシさん慣れてきましたね。
三国志・文官風先祖の写真
豆知識のコーナー①
新品ではない靴を使うときは、靴の裏に養生テープを貼って靴の形にカットする。これで背景の布等が汚れないし、写真にテープ部分は映りこまないらしい。
偉人・将校風先祖
ナリ 髪の毛どうしましょうかねえ。
タチバナシ ここは髪を遊ぶやつとして、行けるだけ派手にやりたいです。
ナリ わー!みたいな?
タチバナシ やってみましょう!さすがにいつか髪の毛を切るはずで、その後はここまで髪を長くすることは一生ない気がします。死ぬ前にやっておきゃよかったって思うことを今日やっておきたいです。
ナリ じゃあ非現実的な感じで…… ちょっとやってみますか。
ナリ 中にある細かい毛と絡めることで上に固まるんです。
タチバナシ すごいなあ。自分で出来ない領域だあ
ナリ どこに向かっているかわからない… どうしよう(笑)
樹理穴、涼子 えーすごい! これはこの毛量とくせ毛じゃないとできないですね。カッコいいですよ!
ナリ 直毛の人はできないです。嬉しいです、今。
タチバナシ くせ毛の元締めのおばあちゃんに感謝ですね。
ナリ あーでも前から見たらインパクトあまりないかな。立ってみてもらっていいですか?
ナリ インパクトあったわ。
涼子 いいですね! カメラ直角に入るかなあ。オシャレですね。
ナリ ストリートですよ。ヒゲもイタリアンにしてみました。
涼子 将校の写真を見たら、座っているか、立っている人は剣を持っているみたいです。今回は座って撮影にしましょう。
一同 わーいいですね!
ナリ えー、ヤバい。すごいいいですね(土下座の格好で笑っていた)
涼子 普通のは撮ったので、他のポーズいってみますか。
一同 めっちゃいいですね!
涼子 プロが集まってふざけたおしてる(笑)
偉人・将校風先祖の写真
豆知識のコーナー②
涼子 コスプレって普通よりも特殊なライティングで、色々なことを求められるんですよ。たとえば夕暮れの教室みたいにしたい、とか。夕日がないところに夕日をつくる。
樹理穴 すごいんですよ、涼子さんは。
涼子 光のオタクなんです。
タチバナシ 今回の撮影は難しいほうですか?簡単なほうですか?
涼子 今回はやりやすいほうですね。目指す状態がすでに世の中にあるから、ポイントを分析していけばクリアできる。
「そんなのありえないよ!」という無茶をコスプレ撮影ではよく言われるんですよ(笑)。たとえば深海の中みたいに撮ってください、とか。
(え、深海って光届かないけど大丈夫?)って。で、たとえば足元だけ暗くして、上から光を当てることで考えているイメージに近づけたりとかするんです。夕陽もつくるし、朝日もつくりますよ。
偉人・紳士風先祖
ナリ ヒゲで遊ぶことを考えて、髪の毛はまとめましょうか。ツヤがあるほうがおもしろいのでスタイリング剤つけます。
タチバナシ ナリさんが面白いと思うほうにどんどん行きましょう。
ナリ ヒゲどうしますかね……
ナリ ここまでのヒゲをスタイリングするのは初めてなんですよ。いやーすごいなあ……
ナリ アイロンでくるくる巻いてみます
一同 わー! くるってなってて可愛い!
ナリ うわー、うれしいなあ。
樹理穴 こういうヒゲを巻いて整えたりはしたことはあるんですか?
ナリ ないです。でも毛についての理論に従えばできる。学んできてよかった。
一同 めっちゃいいですよ。
ナリ 嬉しい! いやあ、嬉しい
タチバナシ モノクル、顔の掘りが浅くて全然引っかかりがなくて。
ナリ アイプチ使えばできるかも。やってみましょう!
涼子 いいですね。ちゃんと止まってます。せっかくこんなにヒゲが可愛いので、ヒゲが可愛いなって分かる写真を撮りたい。照明を工夫して、強くて硬い光を当てましょう。そうしたら影にばっとシルエットが出るので。
橘内 おおぉ
ナリ もはやお札じゃないですか。千円札。
偉人・紳士風先祖の写真
撮影終了
樹理穴 普段ぷれこすがやっている中でも今回はイレギュラーでした。でもすごい楽しかったです。
ナリ やりがいがすごい。新しいことをできた。
涼子 わかります。やりがいすごいですよね(笑)
タチバナシ ぼくも皆さんに楽しんでいただけていたらうれしいです。
樹理穴 全然このまま帰れますね。かわいい。
ナリ 最後にヒゲ直しましょうか。
そのまま帰りました。
続・ひとり作戦会議
未来の「子孫をまどわせたい」、そのために
現在の「実態とズレている情報」を残す、そのために髪とヒゲを活かして
過去の「いたかも知れないご先祖の恰好で写真を撮る」ことにしました。
というわけで、
過去の「いたかも知れないご先祖の恰好で写真を撮る」を無事クリア!
したのですが……
まだ写真を撮っただけなので、現在の「実態とズレている情報」としてもそれほどでもなく、未来の「子孫をまどわせたい」には足りていない気がします。
そうだ、写真を肖像画にしよう。
肖像画を作る
肖像画を作る方法を調べてみます。
「ご本人の半生のインタビューをさせていただきます」といった、申込みの本人が対象のものは見つかったけど、今回はいたかも知れないご先祖だし…… 海外に写真を送って肖像画が返ってくるサービスも面白そうだけど、だいたいリンク切れになっていました。もうサービスをやっていないのかも。
そこで美術大学卒の知り合いに肖像画を描ける人いないか聞いてみました。
「直接知ってる人にはいませんが、美術大学の学生向けに募集かけられますよ」
え、本当?
本当だったので東京藝術大学の求人に「肖像画の制作」で出してみました。
「年代が謎の肖像画」で応募来るのだろうか……?
翌日来ました。
お願いします。
■肖像画制作に協力してくれる頼もしいメンバー
東京藝術大学油画3年の橋本さん
タチバナシ よく「年代が謎の肖像画」で応募されましたね。
橋本 面白そうだったので。
タチバナシ いたかもしれないご先祖を肖像画にするならどれがいいでしょうか。
橋本 サイズや描く範囲はどのぐらいでしょう。
タチバナシ なにげなく家にありそうなサイズ。描く範囲は胸から上ですかね。
橋本 それだと、三国志・文官風は全身像で描きたいので外れます。あと墨絵とか油絵じゃない表現がよさそう。
偉人・紳士風がモノとして封じ込めやすく、ヒゲがおもしろそうなのでこれにしましょう。
偉人・将校風は謎というより伝説なので……
タチバナシ 伝説……
肖像画制作の様子
かっけぇ
出来上がった肖像画の受取り
タチバナシ ありがとうございました。かなり意図を汲んでもらってうれしいです。
橋本 楽しくできました。写真で構図が決まっていたのもあって、制作もスムーズにいきました。
タチバナシ 工夫されたところはありますか。
橋本 油絵とテンペラの併用で、卵の黄身を混ぜて描いています。油絵だけよりも、今回のヒゲのようなエッジのある細かい部分を描きやすい。また、古くから用いられている技法なので今回のテーマに合うと思いました。
タチバナシ 今回選んでもらった写真、カメラマンさんとヘアメイクさんのアイデアが一番乗っかった集大成みたいなやつだったんです。
橋本 めちゃくちゃヤバい写真だと思った。未来を見つめている感じがよかった。
「子孫をまどわせたい」のこれから
未来の「子孫をまどわせたい」に向けて、この肖像画をしばらく保管しておいて、見つけにくいけど必ず見つかるどこかにまぎれこませておこうと思います。
「子孫をまどわせたい」という欲は、結果的に、専門家からそれぞれの得意分野の話を聞きながら技量を見せてもらうの楽しい時間になりました。
あと、この偉人・紳士風の衣装の青いスーツは、父親が青春時代に買ったけどほとんど着ていなかったスーツを今回リメイクしたもので、世代を超えて父親から引き継いだものを未来に残すことになったのは、個人的にうれしかったです。
父親から引き継いだといえば……
父親から引き継いだと言えば、私 タチバナシは父親から引き継いだ有限会社で、個人事業主の創業支援や中小企業の事業支援をやっています。
「どうせ何かやるなら波長の合いそうな人とやりたい!」という方、もしよかったらご相談ください。
タチバナシへのお問合せ
<撮影/制作協力>
撮影・ライティング:涼子さん (https://twitter.com/ryoko_camera)
肖像画制作:東京藝術大学 絵画科油画専攻 橋本さん