【 読書レビュー 】椿ノ恋文
椿ノ恋文/小川糸著 幻冬舎
本書は、鎌倉が舞台のツバキ文具店店主・鳩子の代書業を通して様々な人の想いを描く物語、『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』に続く第3弾です。
若い頃、鎌倉方面へ幾度か旅やなんかで行く機会があり、とても素敵な場所であり住みたい街として憧れてもいる。
海が近くにあるというのもいい。
そういう気持ちがあるので余計に、鎌倉を舞台にしたお話はいつもわくわくさせられる。
そのわくわく感を裏切らないのがこのツバキ文具店シリーズなのだ。(私にとっては…)
先代(鳩子の祖母)から引き継いだ代書の仕事を通しての鳩子の成長と、鎌倉に住む住民達との心温まる交流に、時には感動の涙にうるっとなる。
代書をするためには、依頼者からじっくりと話しを聞き、なぜ書いてもらいたいのか、どうして自分では書けないのか…そういった事情を踏まえて、手紙の文章や文字、紙やインクにもこだわるのが凄いです。
今作は、伊豆大島からの訪問者が亡くなった祖母の「秘密」を鳩子に持ち込み、物語の全体を祖母の秘密の「恋文」と絡めて話が進む。
2作目で結婚した鳩子は、夫と前妻の子QPちゃんの他に2人の子供が生まれていて、すっかり5人家族の大所帯になったのだが、それはそれで悩みも増え…。
日常の起こる出来事に悩んで怒って、笑って、時に寝酒を飲んで…😄
QPちゃんが反抗期になって、口をきいてくれないことに悩む鳩子に、ご近所さんのマダムカルピスさんは、
トキグスリは、まるで漢方のように、即効性はないけれどじんわりと、心の奥の方から効いてきて、ある時期が来たら、
「いつの間にか痛みが感じなくなっている!」っていうような効き方をするというのが、私も人生うん十年もやっているとわかるようになってきたのだ。
トキグスリの効果を信じて、「許して待つ」という心掛けが大事なのかなぁ。
テレビドラマ化もされていて、私の好きな「多部未華子」さんが主演の鳩子を演じていました。ドラマの方もほのぼのっといいお話でしたが、続編はやりませんかね~。