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発刊順:11 おしどり探偵
発刊順:11(1929年) おしどり探偵/橋本福夫訳
冒険好きな若き夫婦、トミーとタペンスが開設した国際探偵事務所―平和で退屈だった毎日は、続々と持ち込まれる事件で、一変して慌ただしい毎日となった。しかし、2人は持ち前の若さと旺盛な好奇心で、獲物を追う猟犬のように事件を追いかけていく。しかも、シャーロック・ホームズ、ブラウン神父、隅の老人…はては、クリスティー自身が生んだ名探偵エルキュール・ポアロの探偵術までをも取り入れ、難事件・怪事件をパロディの世界に導いていく。
トミー&タペンスの第2弾の短編集。
初登場作品の時(秘密機関)は、幼馴染の仲良しから恋人へと発展し、今作では結婚6年目となり、幸せではあるが少々退屈して刺激を求めている。(特にタペンスが)
そんな2人に、都合よく、ある探偵事務所の経営を引き継ぐ話がきて、英国情報部からの依頼も受けることとなる。
ひとつひとつの事件は、あまりにもたわいのない内容で、各章で同時代の名探偵を模倣しながら謎を解いていく、なんとも楽し気な2人と、前作から引き続き登場しているが、たいした活躍もない助手のアルバート君。
とても短い短編なので、おおよそ犯人の検討もつくし、謎解きといえるほどでもないので、後半は飽きてしまった。
編中には殺人が2,3あり、これらはその被害者にとってみれば冗談ごとではすまされないが、被害者でなければ―どうってことはない。
誰も心から気にかける者はいない。これ以外には、恋人の失踪、鉄壁のアリバイ、密輸入や偽造者をめぐる事件があり、さらにはスパイたちも最後に姿を現すが、いずれも習字の練習や学習帳の練習問題のように見えなくもない。
クリスティーにとって、またトミーとタペンスにとって、これらはいわば他の名探偵たちの住む小説世界へと想像力を羽ばたかせる試みなのである。
プロとしてミステリを書くようになり、自身が想像したものをどのように展開させていくのか、さまざまな試みをしていた作品だったのでしょうか。
トミーとタペンスが次に登場するのは、12年後の『NかMか』。
クリスティーの中で、決して忘れることのない2人をどんな風に活躍させようかと、練りに練っていたのかな。
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2022年2月17日読了