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発刊順:86 親指のうずき

発刊順:86(1968年) 親指のうずき/深町眞理子訳

トミーとタペンスは冒険心旺盛な初老の夫婦。今は亡きエイダ叔母のいた養老院を訪れた時、タペンスは叔母の部屋に掛かっていた一幅の風景画に胸さわぎを覚えた。絵の中の、運河のそばの淋しい人家に記憶があったのだ。それに、子供が塗りこめられている暖炉の話をし、今かき消すようにいなくなった、その絵の元の所有者ランカスター夫人は?―<マクベス>の妖婆のセリフではないが、変に親指がずきずきして何か悪いことが起こりそうな予感に、タペンスは襲われたのだった!おしどり探偵トミーとタペンスが縦横無尽に活躍する女史後期の佳作。

ハヤカワ・ミステリ文庫の裏表紙より

前作『NかMか』から27年後のトミーとタペンスもの。
長編は3作目である。
トミーとタペンスも、2人の子供も独立しすっかり老いを感じるお年頃。
かつてのような活躍はできない・・・と、衰えを感じながらも、謎や引っかかりを感じると行動せずにはいられないタペンスは健在だ。

一人で行動しすぎて、トミーの不在の間に「ボカン」と殴られ消息不明になるタペンスにトミーは真剣に怒る。
そんなタペンスは、真相に近づくと、またしても危険な扉を開けてしまう。
どうなるの~タペンス!!

ラストには、意外な犯人と事件の真相にびっくりさせられる。あの中盤で出た言葉の意味はそういうことだったのか・・・と。
トミーとタペンスにはかかせないキャラのアルバートに、トミーはイライラさせられながらも、今回はいい活躍をしてみせる。
 
クリスティー78歳の年に発刊された本書は、まだまだ現役なのはトミーもタペンスも、そしてクリスティーも・・・なのだ。


HM1-10 昭和55年8月 第5刷版
2023年8月12日読了


 

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