発刊順:87 ハロウィーン・パーティ
発刊順:87(1969年) ハロウィーン・パーティ/中村能三訳
ポアロものの後期になると、オリヴァ夫人とのコンビが続く。
ロンドンのマンションで、約束していた知人から風邪のためキャンセルをくらって暇をしていたポアロの元へ、かのオリヴァ夫人から「今すぐ会いたいの」と電話がくる。
10分後…というから、2人はご近所さんなんですね~。
オリヴァ夫人は、またもパーティの最中に殺人事件に遭遇する。これで何度目?
被害者のジョイスは、パーティに参加していた少女で、殺される前に
「あたし、前に人殺しをみたことがあるの。」
見た時は人殺しだとわからなかったが、ずっと後になってから、それが人殺しだとわかったというのだ。
果たして犯人は、ジョイスが見たという殺人に関係のある人物なのか?
オリヴァ夫人とともに、事件現場であるウドリー・コモンへ赴くポアロ。そこには、引退した警察官のスペンス警視もいて、旧交を温めつつ捜査に乗り出す。
そういったくだりは、たくさん作品を読んできた読者にとって、ポアロと共に歩んできた感が味わえて嬉しい。
ポアロは、パーティに参加していた人達に話を聞きに行き、誰もがジョイスは「嘘つき」だと言う。
ちょっとその繰り返しは退屈に感じてしまう。
読み進めると、精神異常者が野放しにされていて、動機もなく殺人を引き起こすという懸念が繰り返し書かれていて、果たして犯人は、現実的な動機がある者なのか、それとも精神異常的なシリアルキラーなのか?
クリスティーのミステリーには珍しく、庭園についての細かい描写が続く。その美しい庭園を設計したのは、マイケル・ガーフィールドという美貌の造園師。
英国といえば、ガーデン・ショウなどが催され、庭作りがさかんである。クリスティーも、庭園には関心があったのだろう。
最近読んだ作品に既視感をおぼえるような結末だったが、ジョイスの嘘の仕掛けは意表をつくものがあり、またその手掛かりになるものもまったく見抜けなかった。
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