[結びの島]

これから話す言葉は
アンタと会うより　ずっと前

結びの島
青空と曇天を
海辺と山際を

船出の卵の親鳥は
高い高いと東を示す
あの頃　僕は何を知っていて
頂きを盲信　目指したのだろう
トタンの威容が　僕の都市

もし見下ろせたなら鳳おおとりの形
荒城は月を浮かべて
一体最初に何があった
何が起こったのかと
呼び起こす　思わせぶりだ

永遠に愛する人よ
アンタと会うより　ずっと前

結びの島
誕生と出発と
祝祭と送り人

アンタのことは問われても
島の誰にも教えない
きっと食われてしまうだろう
何も関係がないんだ
アンタと僕と　結びつきとは

永遠に愛する人よ
愛はそれでも　疑問の影かたちかな

結びの島
幼子と霊長を
矮小と肥大を

黄昏の刻　島は僕らを
皮膚を以もって閉じ込めてしまう
もしやアンタも向こう側
僕の互いを見つけてたんだろう
無茶を言え　逆光だもの

これから話す言葉は
アンタと会うより　ずっと前

実は昼下がり　通りすがり
実らない恋をした
ただ鏡像のように　等しい色
等しい緑の等しいジャンパー
目と目で踊り合った

永遠に愛する人よ
恨むのは例えば　1秒の長さ？

結びの島
貴女と明日を
彼方と真下を

夜という反例を僕らは
どうやってやり過ごそうか
結びの島は　まさか　この期に
何も教えてくれまい
僕らが反例となるのだから

結びの島
漆黒は満月を
宵闇は営みを

鳳　風見鶏　結びの島
時間と広がりと　結びの島
アンタを知らない　結びの島