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心がブワーとなった手術前日の夜

遅刻しちゃった!!

入院当日。私は、大遅刻という失態を起こします。入院の準備をし、家を出るまでの時間をリビングでのんびり過ごしていました。ところが、私の携帯に病院からの電話が入ります。

看護師さん「おはらんさん、今、どこにいらっしゃいますか?」

私「家です。」

看護師さん「今日、○○時にご入院の予定なのですが…」

私「えっ!!!時間、1時間も勘違いしていました。申し訳ありません。30分で行きます。」

看護師さん「では、お待ちしております。慌てずに来てくださいね。」

なんていうことでしょう。入院の時間を間違えるなんてありえません。病院のたくさんのスタッフさんに迷惑をかけてしまいます。

30分後、病院に到着。

病院のスタッフの方には、平謝りするしかありません。

そして、いそいそと入院の手続きをし、病棟へ。

病棟では、私の担当となる看護師さんが待っていてくれました。遅刻した私を責めることなく、入院に関する説明をしてくださいました。担当看護師さんの説明が終わると、病棟担当の師長さんが挨拶に来てくれました。

それからは、理学療法士さん、薬剤師さん、管理栄養士さんと私のベッドに病院スタッフさんが次から次と来ることに。それが終わると、今度は、麻酔科医の先生のところで全身麻酔の説明を受けに行きました。

私の遅刻によって、時間が押してしまったことは、一目瞭然。それでも、みなさん、責めることなく笑顔で私を迎えてくれたのです。未だに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

怒涛の1時間が終わり、そろそろ着替えよかと思ったら、今度は、主治医の先生が外科の先生を4人を連れてベッドサイドへ挨拶に来てくださったのです。

きっと、私の遅刻で、先生方の予定もかなり押してしまったはず。それにも関わらず、外科の先生達が私に挨拶してくれたことは、ありがたいことです。

そして、数回しか会ったことのない主治医の先生の顔を見るだけで、少し緊張がほぐれるのも不思議なものです。

先生方が病室を出てからしばらくすると夕食の時間になりました。どんな病院食が出るのか楽しみで、多少ワクワクしていました。出された夕食は、予想以上に美味しくウキウキ。ここまでは、私はの心は問題なく過ごしていました。

メンタルに暗雲立ち込める

ところが、就寝時間が近くなり、ハミガキをしたり寝る前の準備をし始めると、なんとなくソワソワした気分に。

とはいってもあまり気に留めることなく、就寝時間直前までタブレットで動画を見ていました。

すると、看護師さんが、就寝前の睡眠薬を持ってきてくれました。手術前の不安を軽減し、眠りにつきやすくしてくれ睡眠薬です。私は、過去の手術でも飲んだ経験があります。明日の手術が順調に行くように、渡された薬を飲んで、しっかり寝よと思っていました。

暗いよ、怖いよ、胸取るの嫌だよ

ところが、看護師さんが病室の電気を消し、いよいよ消灯となったら心がグラグラするのです。気持ちがブワァ~となって、涙がどんどん出てきて止まらない。

心をコントロールしようにもコントロールができない。しようと思えば思うほど、涙が洪水のように溢れ出てきてしまうのです。その状況は、まるでヒックヒックと泣きじゃく子どもです。

泣きすぎて、翌日まぶたが腫れてしまったら、大人なのにカッコ悪い。どうにもならないこの状況を脱するために、親友にメールを送りました。

心のフタが開いちゃった

メールを受け取った親友は、私が遅刻したことにとても驚いたのです。普段、遅刻どころか、約束の時間の少し前には必ず来る私が、遅刻するのは非常事態だと。

今まで、ずっと感情を抑えて色々我慢していたのではないか。いよいよ入院となって、潜在意識が病院に行くのを嫌がったのではかと分析してくれたのです。確かに、指摘されるとそんな気がしました。

がんが濃厚と言われてから、ずっと自分の感情にフタをしてきたのは事実です。正しい判断をするために、客観的に物事を見極めなければと思っていたからです。

そして、家族に心配をかけたくない。かけたとしても病に関する暗い影を落とすわけにはいかないと思いながら過ごしてきました。病院に入院することなり、家族から離れたことにより、自分の感情を抑えきれなくなったのかもしれません。

自分の知らないところで支えられていた

親友とのメールのやりとりを1時間ほどしました。嵐すさぶどうにもならない感情が、親友とのやりとりで一気に落着きを取り戻すことがでました。そして、あっという間に、眠りついたのでした。

自分では、平静を保っていると思っていたのですが、実は違っていたのです。

不安、恐怖、無念さなど様々な感情が入り乱れ、情緒不安定になっていたのです。感情を押し込め過ぎたのかもしれません。

そんな私の心理を知っていた主治医の先生をはじめ病院のスタッフさんたちは、遅刻した私を責めることなく笑顔で迎えてくれたのかもしれません。ありがたいことです。


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