「車でお遍路(御本尊)」 釈迦如来とは
自身の体験談として、お遍路で結願をしたものの「もっと御本尊の知識があればなぁ」との後悔もあり、自身のため、そしてこれからお遍路を計画している方のために「御本尊」についてまとめてみました。
お遍路がより有意義なものになることを願っています。
はじめに
お遍路の札所には、必ず本堂に「御本尊」、大師堂に「大師像」が祀られています。
その御本尊は、札所により異なっているため、本堂で読経時に、祀られている「御本尊」のご真言※を唱えます。
弘法大師は、仏教を広めるにあたりこのご真言の大切さを一番に考えたからこそ開創した宗派を「真言宗」と命名したのでしょう。
それでは、「御本尊」ごとに、特徴をお伝えします。
では、四国霊場5札所が祀っている釈迦如来について。
釈迦如来
正式名称
釈迦如来
(本名:ゴータマ・シッダールタ)
お釈迦様は、インドに実在した釈迦族の王子で、衆生の四苦(生・老・病・死)を取り除くために修行を経て悟りを得て仏陀となった仏教の開祖であり、釈迦如来はお釈迦様を尊ぶ呼び名。
一般的にはお釈迦様と慕われ、釈迦牟尼仏、釈迦牟尼如来、釈迦牟尼世尊、釈尊、などとも呼ばれている。
特徴
浄土は、密厳浄土。
三身(仏の三種の在り方、法身・報身・応身)のうちの応身※。
(※応身とは、衆生を救済するために、この世に応化(相手の性質や力量に応ずること)して姿を変えて現れた仏身のこと。)
生涯
紀元前463年に生まれ、29歳で出家、35歳で悟りを開いて以降45年間インドの諸国で説法をして教えを広め、80歳の時に沙羅双樹の木の下での説法を最後に弟子たちに囲まれながら入滅。
・「天上天下唯我独尊」について
・因縁生起について
・四諦八正道について
お姿
頭髪は螺髪など外見的な特徴として三十二相八十種好※、装飾品は身に付けず上半身に大衣という法衣、下半身に裳という布を纏う苦行の末に悟りを開いたという質素なお姿。
印相は、以下2つの印相が多い。
・右手に施無畏印(衆生の恐れの心を取り去る心配無用と慰め労いたわる意、右手を上げて掌を外に向け指を伸ばす)を結び、左手に与願印(衆生の願いをかなえて下さる意、左手を外に向け指を伸ばして差し出す)を結ぶ。
・説法印(真実を説く意、両手を胸の前で構え、親指と小指以外で輪を作るが様々なパターンがある)
仏像は一般的には、お釈迦様が仏法を説くお姿だが、他には誕生仏(降誕のお姿)、涅槃仏(入滅する姿、寝仏)などがある。
※三十二相八十種好
・・・見てすぐわかる32相と微細な80種好がある
三十二相(例)
・・・|足下二輪相《そくげにりんそう》(仏足石の通り)、|長指相《ちょうしそう》(手足の指が長くて繊細)、|毛上向相《もうじょうこうそう》(螺髪の姿)、|白毫相《びゃくごうそう》(眉間に光を放つ右巻きの白毛)、ほか八十種好(例)
・・・福耳、耳たぶに穴、喉に三本のしわ、眉が長い、鼻の穴が見えない、へそが深く右回りに渦を巻く、ほか
脇侍に「文殊菩薩」「普賢菩薩」とした釈迦三尊像も一般的に多くみられる。
ご真言
ご利益
悟りを開くために導いてくれる仏さま
ご利益は、何かに特化したものでなく仏教を信ずれば誰にでも望むものは何でも与えてくれるという教え。
また、生きとし生けるものを苦しみから救うとされている。
四国八十八箇所霊場で釈迦如来を御本尊とする札所
さいごに
如来といえば釈迦如来、数ある仏さまのなかでも唯一苦行のもとで悟りを開いた実在した仏さま。
お釈迦様が悟りを開いてから45年間説法をした内容を入滅後に約500人の弟子が書に残したものを「仏典結集」と言い、「経典」「お経」など7000巻以上あると言います。
まさに仏教の開祖として、釈迦如来がいなければ、阿弥陀如来、薬師如来、密教最高仏の大日如来も生まれなかったんですね。
釈迦如来は、実在した仏さま(応身)でその質素なお姿からも、悟りを開くための正しい道へ導いてくれ、苦しみから救って下さるという、尊くて有難い仏さまなのです。
※ヘッダー画像は、第73番札所出釈迦寺の御本尊を描いた御影です。
【参考】
・高野山霊宝館
・Wikipedia
・Discover Japan
・文化庁、ほか
合掌