2024年は無邪気にアートに触れたくなる。『対話型鑑賞』を教えてもらいました。
旅好きがあつまるコミュニティTABIFLEEEEEKのKuniです。新年あけましておめでとうございます。2024年は能登半島地震、羽田空港衝突事故など心を痛める幕開けとなりましたが、ここから1年いい年になることを願いたいです。
さて、記事のテーマは「アート」です。「うーん。なんか難しそう」「詳しくないからなぁ」「アートの面白さっていまいちわからない。」と思われた方こそ、ぜひ体験してほしい「対話型鑑賞」の考え方を教えてもらうイベントをメンバーさんに主催いただきました。目から鱗、アートって敷居そんなに高くないかも!知識がない方が逆に楽しめてしまうんでは?!と思わせてもらった面白いイベントでした。2024年は無邪気にアートに触れてみたいなー!
TABIFLEEEEEKメンバーさんが描いてくれた今回のイベントの一幕がとーっても素敵すぎるのでこちらに貼らせていただきます。
さぁ、皆さんにも「対話型鑑賞」を文章で体験していただこうと思います。
興味をもった、きっかけ
さて、「対話型鑑賞」に興味を持ったきっかけとなった出来事をお話しします。徳島県の大塚国際美術館を訪れた時のこと。
※※※閲覧注意※※※
下にゴヤの作品を貼っております。少々衝撃が強めですので、この下をご覧になる際は自己責任でお願いいたします。
さぁ、いきます。
「みなさん、この絵を観て何を感じましたか?」
ゴヤが宮廷画家を引退した後に、移り住んだ家の部屋壁に直接描かれた作品の1つがこの絵画。スペインのプラド美術館には真っ黒な壁に描かれた作品の数々を蝋燭の灯りがぼんやりと照らす空間「ゴヤの部屋」があります。その世界観をそのまま、こちらの大塚国際美術館では再現されていました。
この真っ暗な部屋に入った時の一幕です。
「怖すぎでしょ・・」
できればすぐ部屋を出たい。何かを吸い取られるような恐怖の感情を多くの人が抱くのではないかと思っていたのですが、この部屋に入ってきた2人の女子から
「落ち着く〜。うちの部屋にこんな1室ほしい〜」
という声が聴こえてきたんです。「え?この怖い、人を食べているような絵が落ち着く・・?」この体験が目から鱗だったそうです。そんな見方もあるの!?という衝撃から、そうか、何を感じても、どう感じてもいいんだ。むしろ自由に感じてみたいな。そして人の感じ方を知りたい。アートってよくわからないと自分自身が思っていたからこそ"アートって自由"をもっと伝え、ファシリテーターになりたいと思うようになりました。
さて、本題に入っていきます。
対話型鑑賞とは?
「対話型鑑賞」はどんなものなのかを教えてもらいましょう。
この対話に間違いは一切なく、正解もない。観察したこと、感じたことを言葉にして伝えていきます。他人の言葉や自分の心に耳を傾けていきましょう。
あなたの1枚はどんな音?
「1分間 6枚の絵画を観て、どんな音が聴こえてきたか教えてください。」
ご参加されたメンバーさんの聴こえてきた"音"をシェアします。
■6番雪の中"サーっ"というような音
■1番は探偵ものを連想、不思議と"古畑任三郎の曲"が聴こえました
■2番は炎が燃えながら消火しているような"ジュー"という複雑な音
「みなさんはどんな音が聴こえてきましたか?」
絵画を観てどんな音が聴こえるか、を考えて鑑賞した経験はあまりないのではないでしょうか。なるほど音を想像することで情景を思い浮かべ、前後のシーンを想像しませんか?いつ、どこ、どんな状況?など考察し、想像、妄想しながらじっくり観るきっかけになりました。
すべての人の気づきを伺った後に、好き、嫌い、感じ方、見え方は人それぞれ、全部があなたにとっての正解です。というお話をしてくださいました。
さらにこの絵、人工知能(AI)で作った絵画だそうです。例えば3番は#サンセットと#崖というように、キーワードを伝えて作った絵。人工知能(AI)の進化にも驚かされますね。
セッションタイム1
「絵をみて気づいたことを書き出してみましょう。」
(1分間 絵画を見て気づいたことをなんでもいいので書き出し、思ったことを言葉に伝えてみるセッションです)
服装や雲の雰囲気から季節を感じ、表情や姿勢から性別や役柄など人物の立場を想像する、構図から場面を考え、小物から時代や国を推測..などなど。人によって着眼点も違えば、解釈も違ってシェアし合う時間がすごく面白かったです。隅々をみて前後のストーリーを想像するのはもちろん、自分の世界で妄想を広げてみるのも楽しいなと感じました。
印象的だったのは「どこからそれを感じとりましたか?」「どうやってその考えに至りましたか?」と丁寧にその考えに至った理由を聴いてもらうことで、自分の考えの裏付けをもっと探したいなと絵を隅々まで観たくなったことかなと思っています。
どういう場所で、どういう風景で、どういう歴史で、というのは一切説明なしで観たので、妄想したり、想像したりして楽しむことができました。ここでもやはり、何が正しいか、正しくないかは全然必要ではありません。と教えてもらい、アートって自由なんだ!と解放された気持ちになってきました。いい調子です!
さて、この絵はどんな国のどんなシーンだったのでしょうか。答えを知らない方が想像力が広がるのでここでは解説を控えておきます( ´∀`)。
セッションタイム2
「絵をみて気づいたことを書き出してみましょう。」
(1分間 絵画を見て気づいたことをなんでもいいので書き出し、思ったことを言葉に伝えてみるセッションです)
調度品や服装からヨーロッパの貴族や王族ではないか、という見解が多かった作品でした。右の二人の関係は夫婦なの?兄弟かな?喧嘩してる?酔っ払ってる?疲れ切ってる?映画のクランクアップ?!色んな見方がありますね。さらに左の人は誰かに話しかけてる?怯えてる?呆れてる?表情からも色んな想像が膨らみました。さらに暖炉の上の彫刻がすごくユニークでどういう意味があるんだろう、犬は何を嗅いでるんだろう?・・・など。
こんなにじっくり隅々まで作品を観て、これにはどんな意味があるんだろう、どんなシーンなんだろうと頭の中でぐるぐるストーリーを考える時間は初体験でした。実は私自身この作品の背景を知っていたので、逆に想像力に制限が少しかかってしまって勿体無い!という気持ちでしたが、さらに隅々まで観て新しい発見ができたこと、また人それぞれ同じ絵を見ても受け取り方が違って面白い!と非常に楽しい時間を過ごしました。
こちらの絵はどんな状況を描いていて、画家は何を伝えたかったのでしょうか。皆様の想像力を膨らませてみてください( ´∀`)。実はこの絵は6つのシリーズのうちのno.2の作品だそうで、他の4作品も気になるところです。
自由に発想できて、堅苦しくないのがアート
最後に講師のPさんよりメッセージをもらいました。
"画家の想い、実際の背景はそれぞれあるのですが、アートを観ることに正解はないと思っています。観る人がどう感じるかがとっても大事。この絵はこう読み解かなければいけない、こう観なければいけないというのはなく、ご自身の発想でいくらでも絵に広がりを持たせることができるのが醍醐味の1つです。妄想しながら観てみると本当に楽しいです。
自分で観て、自分で考えて、自分の言葉にしてみんなに聴いてもらう"対話"をするのが「対話型鑑賞」です。
一緒に対話する人によって、また自分の置かれている心理状況によっては同じ絵画を観たとしても感じ方は変わるかもしれないです。ぜひみなさん、自由にアートを楽しんでください。"
編集後記
美術館などは一人で行きたい派だったのですが、今回の「対話型鑑賞」を体験してみて、作品を観た後に、自分が感じた気づきを言語化する楽しさに加え、誰かと交換することで新しい発見ができ、非常に面白いなと感じました。想像や妄想は無限大なので、アートの世界はやっぱり深くて面白い!そして色んな楽しみ方ができるんだなと発見しました。これからも色んな作品に触れたいなと思った夜でございました。
「対話型鑑賞」を調べていたら、なるほどと思った記事を見つけましたのでこちらもシェアしておきます。
さて、2024年はどんなアートに触れられるでしょうか。みんなで一緒にアート鑑賞もしたいな!とも思っております。メンバーになりたい方はいつでも大歓迎です。旅の話でも、絵画の話でも一緒に盛り上がりましょう!