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本のキロク『スペードの3』朝井リョウ

誰しもが抱える劣等感や心の淀みをこれでもかというぐらい炙り出す一冊。
憧れの芸能人のあの人や世話焼きなあの人は自分が抱えている悩みなんかとは無縁なんだろうな、"羨ましい"。
私の方があの子より容姿やスキルがいいから"私の方が幸せに決まってる"
なんて誰しもが一度は脳内を過ったことがあるだろう負の感情が物語の強烈なスパイスになって、独特の読後感を味わえます。

誰しもが抱える劣等感や心の淀みをこれでもかというぐらい炙り出す一冊。
憧れの芸能人のあの人や世話焼きなあの人は自分が抱えている悩みなんかとは無縁なんだろうな、"羨ましい"。
私の方があの子より容姿やスキルがいいから"私の方が幸せに決まってる"
なんて誰しもが一度は脳内を過ったことがあるだろう負の感情が物語の強烈なスパイスになって、独特の読後感を味わえます。

あらすじ

 美千代は以前某劇団に所属していた香北つかさのファンクラブ「ファミリア」を運営している。
 厳格なルールでファミリアを束ねる美千代の前にかつての同級生アキが現れる。
 どことなくつかさに似ているアキが現れたことで美千代の日常に歪みが生じ始める。
 美千代、アキ、つかさの3人が抱える不満や不安が交差し、動き始める。
 直木賞作家の朝井リョウが描く、叙述トリックをふんだんに使った珠玉の一作。

登場人物

 美千代 ファミリアの中で家と呼ばれる幹部の統括者。香北つかさを崇拝している。小学生の頃は学級委員をやっていた。
 圭子 ファミリアの家のメンバー。1番新参者で、可愛いテイストの服が好き。

 尾上アキ 美千代の学校に転校してきた。美人で人がいい。
 秋元むつ美 美千代のクラス、髪型や容姿で大仏と呼ばれ、クラスで孤立している。

 香北つかさ 元々は劇団員で今は退団し、舞台で演技をしている。徐々に大箱の仕事がなくなってきていることに焦りを感じている。

感想

 同じ人間のはずなのに圧倒的に敵わないと思ってしまう人がいる時、誰もが一度は抱える劣等感や自分の存在意義を危ぶむ焦燥感、妬み嫉みが嫌なぐらいにリアルに書かれています。
 拗らせた女の表現は辻村深月を想像させる作品だったと思いました。
 結局、本心から動いていない打算的な優しさってバレるんだよなぁ。
 いつまでも過去に縋ってちゃダメだな、ちゃんと毎日と向き合おうと思う一作。
 1人で考えたい時に読んでみて欲しい

https://a.r10.to/hN6JBx

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