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NPS推奨理由のエピソード7パターン・食品/調味料が「人生に欠かせないものになった」理由とは?

何年か前から、クライアントの商品(食品・調味料)についてのコミュニケーションづくりの指標として、NPSのスコアをとることが増えた。

直近データ化した1万件くらいの回答を類型化してみたところ大きく7種類くらい、食品・調味料が「人生に欠かせないものになった」エピソードのパターンを抽出できた。気がする。

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どなたかの考えるヒントになるかもしれないので、(会社の業務の一環として)特定の商品や個人情報に結びつかない形でまとめておきたい。

1万件の回答から浮かび上がった「7つのパターン」

会社で運営している料理写真共有アプリSnapDishでは、施策のヒントをつかむため定期的に「商品のファン度」を確かめる調査をかけている。

普段は、定量部分についてしか商品をまたいだ比較分析はしていないのだけれど、今回ちょうどいくつかの商品について共通の形式のデータが1万件くらいたまったので、商品をまたいで定性部分を分析してみた。

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食領域では、一般的に家電や趣味の商品と比べ、検索してまで買わない、店頭にあるものを買う、と思われている。つまり生活者の商品への「関与度」が低い(≒「最寄り品」ともいいますね)。「安くてそこそこ美味しければそれ以上特に・・」と思われがちで、他者推奨や愛着度が高くなりづらいと言われている。

なので、特定の食品・調味料において、どういう場面で他者推奨や愛着度が高くなるのか? という問いの答えを探そうとすると、それらが高い母集団に質問するのが結構大変、なはず。

そんな意味で、「複数の商品にまたがって推奨度や愛着度が高い人のエピソードを集めたデータ」は比較的希少なはずで、なんらかインサイトが抽出できる、はず。

という仮定だらけの仮説から、今回の分析をやってみた。

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ここでは食品・調味料の推奨意向または愛着度が高いケース(推奨度が11段階で9,10または愛着度が6段階で5,6)について、その理由、具体的なきっかけとなるエピソードとして、いくつかのパターンをヒューリスティックに抽出した。

ヒューリスティック(heuristic)とは、「発見的手法」という意味の心理学用語で、必ずしも正しい答えではないが、経験や先入観によって直感的に、ある程度正解に近い答えを得ることができる思考法です。「経験則」と同義であるとも言われています。
https://www.insource.co.jp/keywords/heuristic.html

大きく、はじめに手に取るきっかけとなったエピソードとして以下。

①店頭
②CM
③キャンペーン
④値引き
⑤パッケージ
⑥クチコミ

推奨意向が高まったエピソードとして以下。

①家族の反応
②仲間に奨めたら喜ばれた
③親世代からの伝承
④健康課題へのよりそい
⑤結婚・出産などライフイベント
⑥試食・自身での実感
⑦体験会・LIVE・料理教室etc

前者は購入のきっかけとも近しく、他に類似のデータがあるような気もするので詳述しない。

後者については、推奨意向9,10で、かつフリーアンサー多く書いてもらえるサンプルというのは、他ではあまりたくさんデータがとれなさそうなので、ここで詳しく見ていきたい(※1)。

同じアンケートで愛着度を聞いて「人生に欠かせないほど好き」という回答ももらっているので、記事タイトル的にここでは「人生に欠かせないほど好き」になったエピソードとして紹介する。

①家族の反応

料理を作る人の多くは、自分ひとりのために作っているわけではない。

「家族に喜ばれる」という価値は、食品メーカーの方々も強く意識している部分だと思うけれど、この体験が作れると推奨度・愛着度が上がるのはおよそ間違いなさそうにみえる。

夫が美味しい❣️と褒めてたからデス♡
息子が大好きなので。
○○が好きでは無い姪が、これで味付けした○○は喜んで食べる。
面倒で○○しただけなのに、家族が「おいしい」と、驚くくらい食べたから
家族が好きで、野菜と炒めたり和え物にしたり、お好み焼きに混ぜて焼いたり、単体でもいける。冷蔵庫にあると便利です。
○○を作った時、安いのを買って作ったら家族に美味しくない、硬い、安い味がする…と不評で、こちらを購入して作ったら「全然違うね。美味しい」って言われ値段の差は美味しさの違いだと思い知らされたからです。
娘がひと袋全部自分でたべてて満足してたから。
娘に食べさせると、好物になり常備している
小さな子どもに食べさせやすいタンパク源と思って購入することが多かったのですが、いろいろな料理に使えて便利です。
高齢の母はコロナで買い物に行かれず 調味料も重いのでたくさん買ってこれないので○○を数年前から差し入れして、△△や△△に使ってくれてすっかり便利さと美味しさにハマっています。
あまり新しいものに興味を示さない母でさえ使っていた。
家族は、○○が苦手でしたが、snap dishのモニターで使ってから、○○煮がめちゃ好きになり、使いやすくて美味しく食べてくれます。
他の商品で作ると家族も積極的にはおかわりなどしないのですが、こちらを使うと、スープでも、夏頃に頻繁にする炒め物の味付けに使っても、たくさん食べてくれる感じです。
今日のスープいつもと違う!美味しい!と味に無頓着な家族が言ってたから。
家族におすすめしてます(o^-^o)何か荷物を送る際についでに入れておくと喜ばれます(o^-^o)
娘がスープジャーでスープを作るようになり、その際にもよく利用しています。


②仲間に奨めたら喜ばれた

書籍ファンベースにも、「共感を強くする」の項に「ファンであることに自信を持ってもらう」という項目がある。

家族や友人に奨めてみた結果「よかった!」という反応が返ってきたことで、さらに推奨する自信が深まり、推奨度が上がった。と言える。

一方でここには抜粋していないけれど、「知人や友人に奨めたら反応が微妙だった」という体験をした人は、推奨度が大きく低くなってしまっていた。

これはポジショントークだけれども、仲間にポジティブな反応をもらえる、という体験設計ができると、ここは上がっていくのだと思う。

美味しくて、友人にも伝えました。とても気に入って、何人か購入してました。愛用させていただきます。
友人に配りまくった。使ってすぐから 高評価で、何故か私の手柄の様ないい気分
家飲みで友人に振舞ったら好評でした。
近所のお店で見つけたのでお料理苦手なお友達に時短になるし使ってみたらっておススメしたら気に入っていました
○○の企画に参加させて頂き、○○の美味しさ等を知り、その話を友人にしたところ、○○美味しいよねーという話になったから
料理友達のいろんな都道府県のお友達がこれ美味しいよねって言っています♪
このレシピは何人かのお料理の友人が気になるとコメントをくれたり実際に作ってくれた方がいました。
きゅうりとキャベツの浅漬けを、パート仲間にお裾分けした時、作り方を聞かれた
知人にもLINEで写真を送ってすすめたところ、みんながはまります。とにかく便利です。
健康を維持する為に色々と工夫している友人に喜ばれた
 

③親世代からの伝承

これは究極的な価値だと思う。なんせ価値づくりにひと世代の時間がかかる。施策の結果がわかるのは20-30年先だ。

推奨理由のなかで一定の量このエピソードが出てくるということは、20-30年後を見すえて価値づくりをしないと、何%かは推奨者を失ってしまうということで、必要なコミュニケーションスパンの長さにも少し恐怖すら感じる。

結婚して親元を離れて暮らして母の作る△△が恋しくなり、○○を使ったと聞いて少し似た味が作れたから
実家でも母がよく常備していたので自分も使うようになっています。
子供の頃から○○に入っていて、結婚して自分で作るようになってからも、引き続き入れています。無いと物足らない
母が○○を愛用していたので私は○○で育ちました。結婚した今でも○○を使っています。我が家の味です。
母の時代から、○○メーカーさんの「きちんと物を作る」という理念に基づいて、信用の上に○○さんの商品を買っている…その経緯が私の現在の○○商品の信用と購買に繋がっています どうかこれからも商品に対して、真摯な企業でいてください
○○が好きで、昔から母が使っていたものを買ったらこちらの商品だったので。
母が弁当に良く入れてくれた。
母が○○が大好物で、必ず冷蔵庫に入っていました。私も大人になって、お弁当を作ったり、日々の食事によく使います。
夏に体調を崩した時に実家の母から○○を勧められた。○○のイメージは母から受け継がれたものです。
高齢の両親がふと小腹が空いた時に夫婦で分け合って仲良く食べているのを見て、2.3個常備するようにしています



④健康課題へのよりそい

弱っている時に助けてくれる存在に対し、感謝の思いが生まれる、ここはそんなエピソード。

今までは、買う必要がないと思っていましたが、子どもが病気になって○○ものを探していたので。
子どもがアレルギーがあり○○生活だったときに、△△にしたり炒め物にしたりしていました。
家族に糖尿病があり、置き換える事で気持ちが楽になったと感謝しております。ありがとうございます。
自身の病気がわかり食の見直しをしているとき同じ病気の子どもを持つ知人から勧められた
料理に使っていたら余分なカロリー摂取が控えられて8kgの減量ができ、お通じも良くなり以前より健康的に生活できている家族がおります。食生活が健康に及ぼす影響の大きさを実感しました。
娘や夫が風邪をひいた時に必ず雑炊やスープに○○を入れるのですが「おいしい♪」って言って沢山食べてくれる事です。

⑤結婚・出産などライフイベント

もっと多いかと思ったら意外となかった。元データの中に含まれている対象商品がそういう特徴だったのかもしれない。要観察。

妹が結婚式のために○○していたので、自分も参列するのに恥ずかしくないようにこの商品でしばらく一緒に○○生活した。
結婚して家族のことを考えながらお料理を作る様になってから特に欠かした事は有りません。
以前は娘が実習を休めないので10月位からインフルエンザ予防に冬になると、ありとあらゆる料理で○○を使っておりお陰さまで、風邪も引かず無事に学校を卒業出来ました。

⑥試食・自身での実感

食品メーカーさんとお話ししていると「マネキン(食品領域では試食販売のこと)で食べてもらうことを重視している」というメーカーさんは多い。

この項目はその重要性を示していると思う。「モニター」という単語が多いのは、SnapDishサービスの中では試食をモニターの形で提供することが多いから。

試食してみたら味もおいしくて、さらに保存もきくことがわかり非常に使い勝手が良いとわかったから。多分試食してなかったら、先入観があって買うことはなかったと思います。
数年前にイベントで試食した時にとても美味しかったから
モニターでセットでいただいたので、○○に使うだけではなく、それ以外の用途で活用するチャンスがあり、作ってみたところ楽しかったです。
モニター当選して、○○に練り込んだのをきっかけに、いろんなアレンジができることに気付き、そこからハマっています♪
モニターでいただいていろんな調理に使い分けますます好きになりました。体にもよいからダイエット中にもとてもよいし○○なので身体にもよいので助かります。
モニターで試食して、特に○○の手軽さや美味しさに驚きました。最近近くのスーパーでもよく見かけるようになり、「おいしいよ」とすすめたりします。
今年モニター当選で頂いて以来のファンです。今も定期的に購入しています。モニター当選がきっかけでファンになったスナ友さんを他にも多数知っています。
今まで、○○等は余り使わずに料理してきましたが、snap dishさんにプレゼントでいただき、お題に合わせて利用したところ、考えが変わりました。皆さんが使う理由がわかりました。
あまり○○が好きでなかったのですが、モニターでいただき美味しい食べ方を知ってからやみつきになりました。



⑦体験会・LIVE・料理教室etc

ここも、ファン施策に取り組んでいるメーカーさんの商品については、必ず回答があるところ。

「ファンミーティング」という言い方もあるけれど、SnapDishではまだその名前で企画実施したことが無いので、体験会やLIVE、料理教室として言及されている。

試食と比べると、1回の体験の時間が長く情報量が多く、かつ一人ではなく講師や仲間と一緒に体験することになる。工場見学など、ロケーションによっては五感での体験もできる。

試食イベントにて 具体的な食べかたを教えて頂き、その後皆さんからの投稿にて、次々アイデア 料理が。
先日のLive配信を見せていただいてから、美味しく食べれるレシピを学ばせていただき、もっと身近に取り入れて、お友達にも是非食べて欲しいなって思いました〜
snapdish 様の○○に参加させていただいて、実際に美味しい食べ方やアレンジを試してみて○○が大好きになったので、自分の中で自信を持ってお奨めできる○○だと思っています。
お正月のイベントで切り方などを教えてもらったのが良かったです
イベント参加を切っ掛けにこの○○の作り方を知って、自分の教室のレッスンで使用したところ、△△で大好評でした☺️
モニター品を頂いて、zoomでオンラインセミナーを体験した事。講師の方の食べ方の説明やアレンジのアイデアなどがとても良かったです。
シェフに習うONLINEレッスンという一生に一度の経験をさせて頂きました。あの味は○○では出せずこの商品に戻ってきてしまいます(笑)
試食会に参加しました。そこで○○を使ったたくさんのお料理を実際に食べ良さを感じました。特に感動したのが△△料理でした。味付けに面倒な足し算をすることなく、○○だけで上品かつ繊細な味付けができる。

結び:20-30年継承される価値づくりにむけて

せっかくだから記事にしておこうとしたら長くなった。

まとめる。

手に取るきっかけとなったエピソードの類型は、ひとまず以下6パターン。

①店頭
②CM
③キャンペーン
④値引き
⑤パッケージ
⑥クチコミ

推奨度が高くなるエピソードの類型は、ひとまず以下7パターン。

①家族の反応
②仲間に奨めたら喜ばれた
③親世代からの伝承
④健康課題へのよりそい
⑤結婚・出産などライフイベント
⑥試食・自身での実感
⑦体験会・LIVE・料理教室etc

これらの要素は、必ずしも明確に分類できるわけでもないし、手に取るきっかけとなったエピソードが、そのまま他者推奨の理由エピソードになっていることもある。

商品によっても大きく異なっている。

なので、一律にこうすれば勝ちパターンというのは無いとは思うけれど、上記の中で意図的に作り出しやすいエピソードとそうでないものはありそう。

一般には下記のような流れに、その人固有のエピソードが加わってくるものと思われる。

⑥試食・自身の実感
 → ①家族の反応
 →(④健康・⑤ライフイベントなどを経験しながら年月経過)
 → ③親世代からの伝承

そこにメーカー側から仕掛けて、体験の機会を増やして、推奨・愛着度をあげようというのが最近の傾向なんだと思う。

⑥試食・自身の実感 【仕掛けられる】
 → ⑦体験会・LIVE・料理教室 【仕掛けられる】
 → ①家族の反応
 → ②仲間に奨めたら喜ばれた 【仕掛けられる】
 →(④健康・⑤ライフイベントなどを経験しながら年月経過)
 → ③親世代からの伝承

番号ふりなおした方がよいかな。ちょっと、まだ視野が狭い部分もあるので、いったん手を止めて考え直そう。

施策をプランする立場として、個人的には「親世代からの伝承」の強さを改めて意識した。これを狙った施策というのは難度が高い

「小さい頃の○○の思い出」キャンペーンとかでエピソードを可視化することはなんらかプラスだと思うけれど、それをやるだけでよいというものでももちろんなく、家庭で使い続けられる価値を20年30年つなぎ続けなければ生み出せない価値だ。

これを今の自分たちのポジションでご一緒しようと思うと、長いお客さんとはもうすぐ10年にはなるけれど、ここからまだあと20年くらい頑張らねばならない。

自分たち自身が提供できる価値が、あと20年生きる価値にならねば・・・。

あれ、「時短」の価値とか、いくつか見落とされてる要素ある気がするな・・。ちょっともう一度データを見てみます。

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大事なことを毎回忘れる。代表の舟田と、来週2021年9月2日にファンマーケティングの今と未来を語るセッションをやります。

上記のような未来の価値をどう作っていくかについて、ビジョナリーの舟田から話をしてもらいます。ご興味ある方は下記の画像またはリンクからぜひ。

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この分類をヒューリスティックに行った理由も補足しておく。

テキストマイニングやキーワード出現頻度で定量化することもきっとできるのだけれど、僕らの分析力だとどうしても数の多い部分(最頻出のワードなど)にひっぱられて、有益なインサイト抽出に至らないことも多い。

なので妥協した。

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※1 手に取るきっかけエピソードと、推奨度が高まったエピソードのところ、厳密にやるなら、別々にデータ取得すればよいのだけれど、回答者の負荷も上がることだし、厳密な分析よりもアクションにつなげられる分析を優先と思い、これも妥協した。




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阿部タツキ/料理カメラSnapdish
「SnapDish料理カメラ」というサービスを運営しながら書いています。