安乎岩戸信龍神社 岩戸(いわんど)はん
岩戸(いわんど)はん
狭間 孝
老人ホームの
裏の雑草まみれのところで
とんど焼きを行い
その残り火の余熱であんこ餅
芋を焼いて入居の高齢者にふるまう
とんど焼きは
安乎(あいが)や中川原の農家さんや
住民の方々がホームに来て
草刈りから準備を行っている
「施設長 この間 岩戸(いわんど)はんにおったやろ」
「何しとったんや」
僕が入っている文芸誌の
淡路島めぐり言うんを書いとって
安乎岩戸信龍神社 初めて行ってみたのや
イワヤとちごうてイワンドって言うん?
「ちゃうで!施設長」
「岩戸(いわんど)はんは もうおらへん」
「小っちゃい神はんで 安乎の岩戸(いわんど)から
八幡(はちまん)さんに移ったんや 今居るのは竜神さんや」」
親しげに神様の事を話すのは
安乎平安浦に住む人で
「アイガヘイアンウラ」と今は読むけれど
この人は「アイガアエカウラ」と言う
和名抄(わみょうしょう)
平安時代に編纂された
「国・郡・郷」の地名が
千年経って残っている
安乎(あいが)岩戸(いわんど)神社の
小さな神様の用事を頼まれた
仲良しの一匹の龍が
神社を留守にしている間に
村人が小さな神様を
大きな八幡神社にお環ししたので
知らずに戻ってきた龍はずっと待っている
そんな言い伝えのある
安乎(あいが)岩戸(いわと)信(しん)龍(りゅう)神社の祠から見返すと
岩戸は淡路島の形をしている