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連載「差押えコラム。未払金を取り返せ!⑳」 ー 約半年の戦いの果てに ー

※当記事は連載「差押えコラム」の第20回です。第1回から読む方はこちらです。

こんにちは!筆者の渡邉です。このコラムは、私がある会社から、未払いとなった業務委託料を回収するまでの軌跡を記録したものです。初noteでいきなり生々しい体験談ですが、記憶が新しいうちに共有できたらと思い、筆を取らせていただきました。
私のように「会社から給料が払われない」「クライアントがギャラを振り込まない」といった被害にあわれている方にとって、少しでも問題解決の手助けになればという思いで執筆します。
現在は無事に未払金を回収し、元同僚と新たに「合同会社Mauve(モーヴ)」という会社を立ち上げ、アプリケーションやWEBサイトの受託開発を行っています。
※Mauveでもnoteにてコラムを掲載しておりますので、よろしければご覧ください。
https://note.com/mauve_0210/

登場人物の紹介

私は2020年末から、アプリケーション等の制作会社(以下、A社)で、バックオフィスの仕事を業務委託で請け負っていました。

登場人物2

2021年8月23日 ― 債権差押命令 ―

この日、強制執行を管轄するセンターから債権差押命令と題された書類が届きました。A社への差押えが正式に始まったということです。

債権差押命令

内容をよく見ると、債務者であるA社、第三者である銀行それぞれに同様の書面が送られていることが分かりました。今後、センターから書類の送達通知書が私宛に届いた時点で、差押え可能な金銭があれば執行していくという流れです。

つまりこの時点ではこれまでの支払督促や仮執行と同じく、差押命令を各関係者に送付したというアナウンスのみで、まだ差押えできるかどうかはわかりません。

とはいえA社が直接支払うことは期待できないので、銀行からの回答が注目されるところです。

さて、A社の口座には未払金を回収できるだけの金銭があるのか。その結果は、思ったより早くわかるのでした。

2021年8月24日 ― 銀行からの陳述書 ―

翌日、銀行からA社の債務についての陳述書が届きました。

陳述書

そこに書かれていたのは、予想外なことに「全額返金可能」であるとの内容でした!

口座にお金は残っていないだろうと覚悟していた私にとっては予想外。ですが、もちろん嬉しい報せでした。

この回収までに約半年の期間を要しましたが、遂に回収することができるのです!
書面上のやり取りでなかなか声を上げて喜ぶ場面もなかったのですが、心のなかではもちろん拍手喝采です。

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同じ手続きを行っていた栗田も銀行から、同様に全額回収できる旨の連絡があったそうです。本当に良かった...。

このお話もいよいよ終わりを迎えられそうです。

陳述書の内容を確認する瞬間は私の人生の中でもトップクラスに緊張しましたし、同時に諦めずにやってよかったと本気で思いました。

▼余談
ちなみに、陳述書に「差押え可能」と書かれていても、別の債権者から同じような差押え要求があった場合は、送達通知書が届いたタイミング、つまり早い者勝ちになるそうなので、もし債権者が複数名いることが考えられる場合は、送達通知書が届き次第、速やかに差押えをする旨の連絡をした方が良さそうです。

2021年9月1日 ― 銀行口座の差押え ―

待ちに待った送達通知書が、ようやく届きました。

そこには、差押命令が8月24日(火)に銀行へ、8月30日(火)にA社へ届いたことを証明する旨が書かれていました。

これをもって、A社口座の差押えができるため、早速銀行へ電話し受け取り日時を調整しました。

▼補足
仮にA社の社長が不在で差押命令の受け取りができなかった場合どうなるのかというと、仮執行宣言などと同様に再送達の手続きが必要になります。

もし再送達でも受け取られない場合は、ここでも公示送達という流れになるそうです。そうなるとまた時間がかかるので、スムーズに事が進んでラッキーでした。

2021年9月2日 ― T社の事情 ―

私と栗田が順調に差押えを進められていることを、目的を同じくするT社にも報告しました。

気になるT社の動向ですが、T社は支払督促ではなく、A社に対して通常訴訟を起こし裁判をしたそうです。
ただ、裁判においてもA社の社長は姿を見せず欠席裁判となったそうです。裁判は当然ながらT社の勝訴で幕を閉じたそうですが、いざ差押えをするにあたって、銀行口座がわからないため、担当者が困り果てていました。

前回のコラムで書きましたが、差押えは「する側」が「される側の口座」を把握している必要があるのです。

そこで私は、T社にA社の銀行口座を教えることにしました。

本当はA社の機密情報にあたることなので、他言無用が原則です。しかし今回の件では、A社の不誠実な行為で多くの人が悩み、不利益を被り、憤りを感じています。私自身がその渦中にいて辛い心情をよくわかっていましたから、ここで放っておくことはできませんでした。

もちろんA社からすれば機密情報の漏洩で、損害賠償だと騒がれてもいたしかたないのですが、もしそんなことを訴え出る覚悟があるのであれば、私はいつでも受けて立つつもりです。

今回A社がしたことは、賃金の未払いというお金の問題だけではありません。未払い金を取り戻すために動いた様々な人の時間や労力も奪っています。そのことをA社の社長はきちんと理解するべきだと、この記事を書いている今も思っています。


さて次回はようやく最終回。差押えた口座から未払い金を受け取ってきます!

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