認知症のパーソン・センタード・ケアについてあらためて説明してみる(1)
パーソン・センタード・ケアとは
認知症のパーソン・センタード・ケアは、認知症の人が「人であること(Personhood)」を最重要視した考え方です。認知症の人が「人であること」とはどういうことでしょうか?そんなことはあたりまえではないか?と思われるかもしれません。
ドーン・ブルッカーの「人であること(Personhood)」についての説明
トム・キットウッドは、1998年に亡くなっています。私は、2017年に来日した後継者であるドーン・ブルッカー氏に面会を申し出、英国大使館でインタビューを行いました。その際、ブルッカー氏に、パーソンフッドについてかかりつけ医にどのように説明すればよいか、解説を依頼しました。
私たち自身の知らず知らずのかかわりが、本人のパーソンフッドを損ねることになることもあると警鐘を鳴らしています。
VIPSフレームワーク
そして、ブルッカー氏は、パーソン・センタード・ケアを達成するための枠組み(フレームワーク)を提唱しました。
それは
V (Values people): 人々の価値を重視し、その権利を保つように働きかける。この要素は、認知症の人々を尊重し、彼らの人権を守ることを強調します。
I (Individual's needs): 個々のニーズに応じた個別化されたケアを提供する。これは、各個人のニーズに応じたケアを重視し、一人ひとりをユニークな存在として扱うことを意味します。のちに述べるパーソン・センタード・モデルにより、個人のニーズを特定することができます。
P (Perspective of service user): 本人の視点を理解する。この要素は、認知症の人の視点からケアを考えることの重要性を示しています。
S (Supportive social psychology): これは、社会的なサポートと心理学的なサポートが重要であることを示しています。また相互に支え合う社会環境を重視しています。
です。私たち認知症にかかわる人が、これらの要素を意識してかかわることで、認知症の人も私たちもより豊かな関係性を持つことができるとしています。
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■講師:石原哲郎(いしはら・てつろう)
脳と心の石原クリニック院長(脳神経内科専門医、認知症専門医)
申し込みGoogleフォーム(中央法規出版)