デッドバクエクササイズのバリエーション方法について
皆さん、こんにちは!
理学療法士の澤渡です。
今回はデッドバグ エクササイズのバリエーション方法についてお話ししていこうと思います。
01|姿勢を維持するためには重力に抗うことが大切
まずはじめに、「なぜデッドバグ エクササイズを選択するのか」について説明します。
正しい姿勢を維持するためには、ただ単純に筋肉を鍛えるということではなく、体を支えられる力をつけることが重要になります。
例えば、お腹の筋肉と背中の筋肉というのはお互いに拮抗し合いながら 姿勢を維持しています。(スライド1参照)
この関係が成り立たないと姿勢が崩れてしまい姿勢を維持することができません。このように良い姿勢を維持するということはこうしたお腹の筋肉と背中の筋肉がしっかり働くということがとても重要です。
02|立位時体幹は屈曲よりも伸展時に働く
一般的に腹筋というのは体幹を屈曲させることによって作用します。腹筋エクササイズをイメージすると分かりやすいと思いますが、腹筋エクササイズは仰向けで上体を起こすことによって腹筋が働くことができます。
しかし、立った状態では腹筋を使わなくても重力によって体幹を屈曲させることができます。(スライド2参照)
一方で体幹を伸展すると、体が倒れないように保持しようと自動的に腹筋に力が入ります。
筋肉が働くとき、一般的に言われていることは筋肉の起始と停止が近づくことで作用します。しかし、立った状態では体幹を重力に抗う(あらがう)ことによって腹筋が機能します。
このように、立った状態で良い姿勢を維持するためにはただ単純に筋肉をつければ良いという訳ではなく、立った状態でも重力に抵抗することができるかどうかがエクササイズを処方するためのポイントになります。
以上の理由から私の場合、W-upやリハビリでの体幹エクササイズを実施する初期段階でデッドバグエクササイズを多用しています。
03|エクササイズバリエーションの考え方
実際にデッドバグエクササイズのポイントについてまとめてみました 。(スライド3参照)
ポイントは大きく分けて3つあります。
肩や首、腕の力が入らないようにリラックスするということ。
片手と反対側の足を同時に伸ばした時にできるだけ遠くに伸ばすように意識させること。
足を遠くに伸ばそうと意識すると腰を反らせないように腹筋で抵抗するようにお腹にグッと力を入れるということです。
このような意識でエクササイズを行ってみて上手くできるかどうかを確認していきましょう。
04|エクササイズのバリエーション方法をどのように活用していくのか?
デッドバグエクササイズも考え方や工夫次第で様々なバリエーション方法を提案することができます。今回はエクササイズのバリエーション方法の考え方について解説していきたいと思います。(スライド4参照)
今回紹介するデッドバグエクササイズは通常で行う方法(右)と、下半身を動かす方法(真ん中)と上半身を動かす方法(左)です。(スライド4参照)
通常のエクササイズを処方してみて上手くできない場合や代償動作が認められる場合などは難易度を下げて、これから紹介するバリエーションエクササイズを試してみてください。
05|負荷をかけること=強度を上げることではない
難易度を下げるエクササイズ方法として(1)両手+両足を動かすものと、(2)下半身を動かすもの、(3)上半身を動かすものの3つの方法を説明しました。もうひとつ、重要な分類があります。それは「負荷をかける(=フィードバックを与える)」ものと「負荷のない(フィードバックのない)もの」の2種類です。
負荷をかけるとエクササイズの難易度が高くなるのではないか?という懸念もあるかもしれませんが、ここで紹介する負荷とは、随意的な負荷をかけることで体幹筋へ刺激を与えやすくするということを目的にしています。
このように、負荷量は筋トレで行うような重量ではなく比較的保持しても負荷をコントロールできる重量にすることが大切なポイントになります。
04 |デッドバグエクササイズのバリエーションについて解説
エクササイズ処方で大切なことは目的が同じ方法を沢山処方するよりも同じ目的のエクササイズのほベースラインを決めて、そのベースラインのエクササイズに対して難易度の設定を行うことが重要だと考えています。
ここで言うベースラインというのは簡単に説明すると、「エクササイズを選択する際にまず最初に処方するエクササイズ」のことを指します。
例えば、先ほどのスライドで紹介した一般的なデッドバクエクササイズをベースラインとして設定してみたとします。
しかしエクササイズを処方してみて、腰が反ってしまう、または太ももの前側の筋肉を過剰に使ってしまうようにエクササイズを適切に行うことができない場合、ベースラインの難易度を下げて選択していきます。
このようにバリエーションエクササイズは難易度設定で活用したり、エクササイズの目的や狙いによって方法が変化するため、エクササイズの目的を理解した上で上手に処方していくことが理想的だと考えています。
▼ 一般的なデッドバグエクササイズ(通常の方法)
デッドバクエクササイズの一般的な方法は手と反対側の脚を伸ばして戻す、それを左右交互に繰り返していく方法です。
ここでのエクササイズ実施時のポイントは腕や首や肩に力が入らないようにできるだけリラックスし状態で行うということ、また脚を伸ばした時にできるだけ脚を下ろしすぎないようにすることです。
脚を下ろしすぎてしまうと腰が反りやすく、腰椎伸展の代償動作を招いてしまうデメリットもあります。そのため、脚の角度は床に対して平行ではなく斜め45度ぐらいのところまで伸ばすようにします。
そうすることで腰に負担がかからず、体幹筋を刺激しやすくなり、実際のエクササイズ指導でもそのように行っています。
▼ バランスボールを活用した方法
一般的なデッドバクエクササイズの方法にバランスボールを手と膝の間に挟んで行う方法です。
この方法は片手と反対側の脚を伸ばし、もう一方の手と脚でバランスボールを抑えることによって体幹筋へのフィードバックを行える利点があります。
通常のデッドバクエクササイズを行った際に、腰が反ってしまったり、肩や首などに過剰な力が入りすぎたりするような場合はバランスボールを軽く押すことによるフィーバックを与えるこのような方法を試してみて、適切にできるかどうかをチェックしていきます。
▼ 両足にループバンド(ミニバンド)を巻いて行う方法
この方法では手と脚を同時に動かすという方法ではなくて、下半身のみを動かす方法になります。
ループバンド(ミニバンドとと言われることもある)と言われる帯状のレジスタンスバンドを足首に巻いて行うことによって、股関節の求心位を保ちながらエクササイズを行える利点があります。
脚を伸ばした際に腰が反ってしまったり、太ももの前が効きやすくなったりするような場合はこちらの方法を行い、体幹筋に対してしっかり刺激が入るかどうかを確認していきます。す
▼ 片手にケトルベルを持って腕を伸ばす方法
片手にケトルベルを保持することで体幹筋へのフィードバックを行いながら上肢を動かす方法です。
通常の方法や下肢を動かした際に上手く出来なかったり、代償動作が認められるような場合は、こちらの方法を行います。
また、こちらの方法では片手にケトルベルを持つことでその重りが肩甲帯や体幹筋に対して自動的にフィードバックを入れることができます。
その結果、フィードバックされた状態で胸椎の伸展や腰椎が伸展しないように腕を頭上に伸ばしていくことが重要なポイントになります。
▼ ウォーターバッグを両手に保持しておこなう方法
ウォーターバッグと呼ばれるバッグの中に水が入っているトレーニングアイテムを活用して行います。
このトレーニングアイテムの特徴はバッグの中に水が入ってることによって、この水が流動的に不規則に動くことによって、体幹筋を自動的に活性化させることができる利点があります。
このエクササイズは両手にウォーターバッグを持つことによって肩甲帯のスタビリティを活性化させたり、脚を左右交互に伸ばすことによって水が動かないように動かす足を動かすことで体幹筋へ不規則な刺激を与えることができます。
なるべく、バッグの中の水が動かないようにコントロールしながら動作を実施することがポイントです。
▼ 両手にウエイトプレートを保持して両足を床にスライドさせる方法
両手にウエイトプレートを保持して脚を床にスライドさせる方法です。
この方法は両手にウェイトプレートを保持することによって体幹筋へのフィードバックを行いながら脚を床に対して交互にスライドさせます。
このような方法で行うことによって腰椎の伸展(腰の反り)を防げるといった利点もあります。
エクササイズ実施中はなるべく、脚を遠くに伸ばすように意識し、その反面、腰が反らないようにお腹にしっかり力を入れるということも重要なポイントです。
05|エクササイズ処方は「きついか」どうかではなく「その人に合っているか」どうかを考えて処方すること!
今回は デッドバックエクササイズのバリエーションについてお話ししていきました。基本的な考え方はデッドバクエクササイズに限らず同じです。
エクササイズを処方していく上でで大切なことは、単にそのエクササイズを処方するのではなくその人に適した方法で処方することだと私は考えています。(スライド6参照)
まず、運動を適切に指導するためには対象者(患者さんやクライアント)がエクササイズの目的や狙いに対して正しく行うことができるのかを見極められることが必要です。
適切にエクササイズを実施出来ていれば、エクササイズを段階的処方していけば良いと思いますが 、もしそうではない場合は、フィードバックを与えたり、難易度を下げることによってそのエクササイズが適切にできるかどうかを確かめることが重要です。
今回お伝えしたいことはこのようなそういった 適した方法で処方したりあるいは 目的 っていうのをしっかり理解した上で それを 対象者に伝えることによって より効果的なエクササイズの方法ができるんじゃないかなという風に考えています こういった エクササイズのバリエーションについてはまた機会があればどんどん 紹介していこうというふうに思います。
特典:動画解説とスライド資料ダウンロードについて
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