姿勢に影響を与える要因について
皆さん、こんにちは!
理学療法士の澤渡です。
今回は「姿勢に影響を与える要因」についてお話をしていきます。
01|一般的な姿勢評価は力学的視点
一般的に言われている良い姿勢または悪い姿勢とは力学的視点から見て理想的かまたは理想から逸脱しているかどうかを評価しているということがほとんどです。(スライド1参照)
この力学的視点からみた姿勢というのは簡単に説明すると前から見た時、横から見た時、または後ろから見た時に頭からつま先まで一直線であることが良いとされています。
つまり力学的に身体の各部位が一直線であれば、構造的に負担をかけることなく、痛みや不調を招きやすいという考え方です。
02|力学的に見て良い姿勢は姿勢に影響を与える要因の一部でしかない
しかし、姿勢に影響を与える要因は一般的に言われている力学的視点だけではなく、様々な要因が関連します。(スライド2参照)
例えば 骨の変形や筋肉の緊張が強いなど、構造的な要因があると姿勢に影響されやすくなります。
また、疲れてる or 疲れてないなどの生理学的要因によっても姿勢に影響を与えます。
さらに、心理的要因という視点からも姿勢に影響を与えます。例えば、落ち込んでる時は屈曲優位(屈むような姿勢)になる傾向があり、逆に嬉しいときや喜んでいる時などポジティブな感情の時は伸展優位(体が反るような姿勢)になると言われています。
このように姿勢に影響を与える要因は様々な側面が影響されるため、力学的視点のみを切り抜いて解釈することは注意が必要です。
03|不良姿勢そのものが悪いわけではない!?
一般的に言われている悪い姿勢とは力学的にみて理想とされる姿勢(つまり頭から足までが一直線上にあること)から逸脱した姿勢を指すことがほとんどですが、最近では姿勢と痛みは関連しないを結論付けた研究報告も数多く存在します。
例えば 、背中の痛みがある人とない人の間に腰椎前は有利な差がないという報告されたものや、400人の姿勢のばらつきを調査した報告では 痛みや症状の有無にかかわらず、立った時の姿勢っていうのは人それぞれ個人差があって再現性が低いと結論づけた報告もあります。さらに、肩の痛みがある人とない人の間では肩の姿勢や動きに違いがなかったと報告されてるものもあります。(スライド3参照)
つまり、何が言いたいかというと、姿勢や姿勢評価によって得られる情報は沢山ありますが、その情報をそのまま鵜呑みにしないという視点を持つことが大切ということです。
そして姿勢の問題点のみを指摘するということは目の前の患者やクライアントの不安を煽ったり、信念(自分は姿勢の問題があるから痛みや不調に繋がっているんだという誤った認識を植え付けてしまうこと)にも影響することにも注意しなければいけません。
04|インターネットで検索した不良姿勢は臨床ではほとんど遭遇しない
実際に不良姿勢というキーワードでGoogleで画像検索してみると下のスライドに示したイラストが出てきました。(スライド4参照)
私は外来中心の整形外科クリニックに勤務していますが、首や方、腰などの痛みを抱えた沢山の人を診る機会が沢山ありますが、このように検索結果で出てくるような不良姿勢に遭遇するケースはほとんどありません。
もし遭遇したとしても、痛みが強くその痛みを回避した姿勢であることが多く、今回この記事を読んでくださっている方もを共感していただけると思っています。
05|持続した不良姿勢や動きのエラーが痛みや不調を招く!
今回は姿勢に影響を与える要因について記事を書いてみました。今回の内容を要約すると、一般的に姿勢は力学的に見て理想的かどうかを評価することが多く、その視点はあくまでも姿勢に影響を与える要因の一部でしかないということです。
そして、姿勢に影響を与える要因には様々な要因が絡み合っているため、力学的視点(つまり理想から逸脱した不良姿勢)でみた不良姿勢が痛みや不調の直接的な原因になるとは限らないということに注意しなければいけません。
ただし、持続した不良姿勢や動きのエラーが繰り返されることで痛みや不調の元凶につながる可能性が十分にあると考えています。(スライド5参照)
そのため、一般的な力学的視点で見た姿勢評価だけを切り取って問題点を指摘するのはなくて、その姿勢評価から得られた情報を基に様々な要因を多角的に評価しながら問題点を見つけていくということが重要になると考えています。
特典:動画解説とスライド資料ダウンロードについて
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