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回想 vol.1

【はじめまして】

数年前の秋、私は経営面でサポートをしていた旅館運営会社の代表の地位を、とある事情により委譲され、今の会社の代表と兼務することとなった。
債務超過の赤字会社ではあったが、寧ろノウハウ吸収による事業拡大のチャンスと捉えた。
就任して迎えた初の決算は、期中の損失補てんこそ出来はしなかったものの、運営に確かな手応えの得られた内容であった。

年度が改まり、私は思いきってブランディングの再構築を行い、マーケティングのプロセスを一新し、プロモーションを積極的に仕掛け、旧来体制を文字通り放逐した。
理由は単純なもので、ただ気にくわなかったから。
自然とスタッフも入れ替わり、私のマネジメントにハマる顔ぶれが揃ってきた。
その結果、黒字体質への転換、また、それなりに名の通る施設にまでは漕ぎ着けた。
過去最高の年商は、創業以来最高の利益をもたらした。
業務支援をする立場を採った当社も、それに伴う成長を見せた。
これが、良くも悪くも急激すぎたらしい。
今振り返ると、私はその年前厄といわれる年回りだった。

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