人権の視点から、店の営業やみんなの自粛について考えた。
こーぞーです。
みんな最近お出かけしてますか?
近頃の新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言や,地方自治体の自粛要請等について,人権の視点からあんまり言われていないような気がするので,私がその視点を以て考えようというものです。
2020年6月27日現在は,都道府県境をまたぐ移動もできるようになっています↓
移動自粛を全面解除、安倍首相が表明「経済を回す」(朝日新聞デジタル)
また感染者増えてますけどね…↓
https://newsdigest.jp/pages/coronavirus/
本題。
まず,大前提として,日本国民には基本的人権が憲法によって保障されています。この緊急事態で関係ありそうなところでも,集会・結社・表現の自由とか,学問の自由とか教育を受ける権利とか,経済活動の自由とか,いっぱい挙げられます。しかし,これ全部書いてると私が写真撮る時間がなくなってしまうので(笑),経済活動の自由に関わって,特に店舗の営業に関わる部分に絞って書きます。
「は?お前だったら教育について書くんじゃないのか!?」という声が聞こえてきそうな気がするんですけど,多分気のせいですね!
一方で,何だか自由権に関する授業のような内容になりましたので,このnoteをご覧の学校の先生方はコメントの上,後ほど授業実践の報告をお待ちしています(無茶振り)
憲法のおさらい
ということで,まず憲法第22条をご覧ください。
日本国憲法
第22条
一 何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。
(ちなみに,このnoteをご覧になっている教員採用選考検査の受検者の皆さんは,トップの画像を見て,これは日本国憲法の条文だ!と瞬時に判別できているでしょう。多分(笑))
それで,店を営業してもいいっていうのは,最後の「職業選択の自由」という部分に含まれていて,特に「営業の自由」と呼びます。だから,店の人たちには営業の自由があります。
くれぐれも間違えないでほしいのは,
「憲法にあるから,お店の人は無条件で営業していいです」って言ってるわけではありません。
「お店の人には『営業の自由』という自由権がある。『そもそも権利があるかないか』っていうと間違いなくある。」と言いたいんです。
新インフル等特措法
次に,緊急事態宣言や自粛要請の法的根拠を見ておきます。
と言って,下に法律をべたっと貼ったんですけど…
非常に長かったので,読み飛ばして下の要約を見てください(笑)
新インフル等特措法抜粋(第32条,第45条)
新型インフルエンザ等対策特別措置法
(平成二十四年法律第三十一号)
施行日: 令和二年三月十四日
最終更新: 令和二年三月十三日公布(令和二年法律第四号)改正
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId=424AC0000000031_20200314_502AC0000000004
第四章 新型インフルエンザ等緊急事態措置
第一節 通則
(新型インフルエンザ等緊急事態宣言等)
第三十二条 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章において同じ。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(第五項及び第三十四条第一項において「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」という。)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。
一 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等緊急事態措置(第四十六条の規定による措置を除く。)を実施すべき区域
三 新型インフルエンザ等緊急事態の概要
第二節 まん延の防止に関する措置
(感染を防止するための協力要請等)
第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。
4 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。
特措法をもっとざっっっくり要約
新型インフルエンザ等対策特別措置法
第三十二条 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態が発生したと認めるときは、次に掲げる事項の公示(緊急事態宣言)をし、当該事項を国会に報告する。
一 期間
二 実施すべき区域
三 概要
第四十五条 都道府県知事は、緊急事態において、必要があると認めるときは、住民に対し、外出しないことその他の協力を要請することができる。
2 都道府県知事は、緊急事態において、必要があると認めるときは、学校、社会福祉施設,興行場(※1)その他の施設(※2)を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(施設管理者等)に対し、当該施設の使用の制限や停止,催物の開催の制限や停止,その他の措置を講ずるよう要請することができる。
※1 興行場(こうぎょうじょう)…映画館、劇場、スポーツ施設とか
※2 その他の施設は施行令にあります。
3 施設管理者等が要請に応じないときは、都道府県知事は、必要があると認めるときに限り、施設管理者等に対し、指示することができる。
ちょっとざっくり過ぎるかな…(笑)
さて。
緊急事態を宣言するのは政府対策本部長で,これは内閣総理大臣です。
宣言で区域を指定して,その指定された区域の都道府県知事が要請や指示をすることができる,ということになりますね。
実際に,都道府県知事は店に「営業するな,休業しろ」という要請をしているわけです。
<新型コロナ>都、協力金追加支給へ 月内全面休業を要請
これ,要請や指示の範囲って難しいですし,多分どうやっても不満が出ると思います。営業の自由に干渉してるかしてないかって言ったら,間違いなくしていますから。
だから「自粛」を「要請」というしっくりこない表現になるんでしょう。
自粛要請は違憲か?
「じゃあ自粛要請や新インフル特措法は違憲だ!うちの店は営業する!知事から指示が出たら裁判も辞さない!」
という事業主の方,いやいやちょっと待ってください。一方で,憲法第22条にはもう1つ気になる文言がありますね?
そう,「公共の福祉」です。
人権の限度,人権が衝突するときのためにこの概念があります。店の営業について言うと,店を営業することによって感染症を広げる恐れがある。もっと言えば,感染者を増やして他者の生存権とか幸福追求権を侵害する恐れがある。だから営業はやめなさい,って言えるかもしれません。
ちなみに生存権の条文はこちらです。
日本国憲法
第25条
一 「全て国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
(第2項は省略)
もし都道府県知事が,
「緊急事態の状況において,あなたの店の営業は公共の福祉に反する。
休業しなさい。これは指示です。」
ここまで言ったらどうなるのか?
いや,まだ反論の可能性が有り得ると思います。
ガラガラの居酒屋に休業要請は必要か?
例えば,私が4月上旬,19時過ぎに新潟市西区の居酒屋に入ってラーメンを食べに行きましたが,私がいる間の来客は私1人だけでした。
こういう店に「休業しろ」とは言わなくてもいいんじゃないでしょうか(利益の関係で自主的に店閉めそうですけど)。ちなみにあの時の店員さん可愛かっ(略)
しかし,もし入った店でお客さんが超満員だったら…?
その場合は感染リスクが高まるわけで,それはほかに人がいるからですね。どこに行くかというより,行く場所にどれだけ人がいるかじゃないですか?
人が大勢来たからって刈られる藤かわいそう↓
盛りの藤、苦渋の刈り取り 福岡・八女「黒木の大藤」「来年はもっと咲く」(日本経済新聞)
あるいは,パチンコ屋の営業は不要不急として槍玉に挙げられましたが,
「うちのパチンコ屋は完全予約制,玉と台は1人利用後に全消毒,出入り口と窓は常に開放,1通路につき1人まで&ついたて導入でソーシャルディスタンス完ペキです!」
とかいう店でもあればやってもいいんじゃないんですかね(儲かるかどうかは置いといて)。
全ての店を完全予約制にして営業しますか?(無茶振り)
「不要不急」という曖昧な言葉ではなかなか片付けられないでしょう。
どこに行ってよくて、どこが駄目かなんて,人によって絶対判断が分かれますから。
スーパーで食料品を購入するのは,不要ではなく必要なのでよい,としても,スーパーで新型コロナウイルスに感染する可能性はゼロではないはずです。
一方で,Nintendo Switchとかあつまれどうぶつの森(あつもり)を買うために家電量販店を何軒も回るのは許容されるのでしょうか。
また,それとパチンコとの違いは何でしょう。行く回数?じゃあ1回ならパチンコに行ってもOK?
「そんなことは自分で考えろ!」とか誰かに言われそうですけど,「自分で考えろ!」って,それ言ってる人が考えるのを放棄してるんだと思いますよ。国とか自治体で間違った判断下して,後で責任問われたくないだろうし。
「そこに行くのは止めないけど,ただし感染しないでね」って言うのが本音なんじゃないんですかね。
まとめ?
・感染症対策しながら,みんなそれぞれの判断で行きたいとこ行けばいいと思いますよ。
・私は飲みに行きます。
・自粛警察って呼び方は適切じゃないです。他者の人権に干渉してますよ。
店とか県外ナンバーの車に投石なんてのはもはや犯罪行為ですし。
・どうでもいいんですけど,みんなして「あつもり」「あつもり」って…
それあったかいつけ麺じゃん。
おわり。