![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27050522/rectangle_large_type_2_80f6b6544ad2e8b398f9cd770ca7db62.png?width=1200)
【イリスのゲーム・制作記録③】たのしいスキルをつくろう編+α
ホアッーーーーーーーー!!(ハッサンのせいけんづき)
RPGにおけるスキル(特技・魔法・必殺技などなど…)は単なる攻撃手段ではなく、キャラクターの魅力を引き出す重要な要素と考えています。
印象的な技はキャラクターの代名詞にもなったりしますよね。そんなところにロマンを感じます。
今回はスキルの設計方針について語っていきます。
また、本作を象徴するバステとデバフについても語っていきたいと思います(というか半分そっちがメイン)。
敵の戦術について軽く触れる程度のネタバレがあります。
固有技と共通技
回復役が居ないと成り立たない、というバランスではメンバー編成が自由なゲームである意味がない。
そのため固有技(メインスキル)とは別に、全キャラクター共通で使用可能な技(サブスキル)を実装した。これにより、どんな編成でもある程度柔軟な戦い方ができるようになっている。
【メインスキルの設計】
各キャラクターが持つ固有のスキル。スキルを考えるにあたっては、キャラクターのバックボーンを表すような要素を意識した。
キャラの個性を強めるため、どのスキルも性能は優れている。
技の名称もキャラクターの特徴を表せるよう、ある程度法則性を持たせた(ユエが一番わかりやすい)。
自由度の高いゲームなのに終盤の装備構成がほぼ固定となってしまっては面白くないため、スキル枠を絞ることでプレイヤーの個性を反映させるようにしている。
そのため4つに限定されたスキル枠は、プレイヤーを悩ませる要因にもなっている。
【サブスキルの設計】
全キャラクターが共通して使用可能なスキル。汎用スキルのような特徴を出したかったのでスキル名は「わりと普通っぽい」名称にした。
すべてのサブスキルはWTが設けられており、威力もやや低めに設定しているためメインウェポンとしては扱いづらい。
だが誰でも使用できるという特徴から戦略の柔軟さが生まれ、単なる下位互換ではない性能となっている。サブスキルの名の通り、副砲として輝く性能を意識した。
スキル枠はメインより更に少ない2つ。
サブスキルの構成はプレイヤーの腕が試されつつも、本作の面白い部分だと思っている。
終盤でも通用するスキル
両者スキルに共通する設計方針として、序盤に習得するスキルでも終盤で通用する性能にすることを意識した。
前記事でも述べたが、利用価値のない選択肢が残り続けるというのはプレイヤーにとってストレスなので、なるべくそのような状況を作りたくなかった。
通常のゲームシステムでは威力の低い技は利用価値が低くなってしまうが、本作ではCT/WTという概念があるため高コスト技だけでスキルを構成する事が難しく、戦略性を意識したスキル構成が求められるようになっている。
序盤に習得するスキルでも検討の余地がある、というのは戦術を考える時に面白い体験だったのではないだろうか。
プレイヤーには爽快感を与えよう
前節でも述べたが、メインスキルはキャラクターの個性を出したかったので、やや強めの性能にしている。
タダでさえ難易度の高いゲームなのに、スキルの性能までガチガチに縛ってしまうと、ゲームの面白さよりも窮屈感を与えてしまう。
(作者はそのようなバランスのゲームをプレイしたことがあり、完成度の高い作品にも関わらずプレイをやめてしまった経験がある)
それよりも大技で敵を倒す爽快感を出したかったので、スキルを使っていて「プレイヤーが楽しい」と思わせるような性能を意識した。
もちろん味方側の性能が強すぎるとゲームが成り立たないので、敵側も火力を高めにしたり、プレイヤーに対抗する戦術をとることで(世紀末寄りの)バランスを取っている。
以上が本作におけるスキルの設計方針でした。
バステ(状態異常)とデバフ(能力低下)はたのしい
本記事ではオマケ扱いのテーマなのだが、本作の特徴的な部分であるのと、他の記事で触れられそうにないのでこの場で語っていく。
なにより作者がバステとデバフ大好きマンなので、勝手に語らせてもらう。
【バステとデバフの差別化】
どちらも強力な妨害手段だが、プレイヤーが幅広く戦術を取れるよう、以下の特徴を持たせた。
バステ(状態異常)…外すリスクはあるが、リターンの大きい妨害手段
デバフ(能力低下)…効果はやや低いが、確実に効く妨害手段
バステは敵によって通用しないケースもあるが、弱点を持つ敵に対しては効果てきめん、という方針で設計した。確率に左右されるケースも多いので、プレイヤーによってはあまり使わなかった人も居るかもしれない。
これに対し、デバフは確実に機能する妨害手段なので、多くのプレイヤーが利用したと思われる。敵も容赦なく放ってくるが、無効化する装備品を多く用意することで対策を取りやすくしている。
これは同時に、装備品の効果を際立たせるのに一役買っている。
【バステの種類】
本作のバステは5つに絞った(厳密には違うのだが、プレイヤーが意識するのは主に5つなのでそういうことにしておいてね)。
この数は「決して多くはないが、プレイヤーが覚えられるギリギリの数だろう」という考えに基づいている。
各バステの設計について語っていこう。
・猛毒
RPGでは代表格のステート。これは持論なのだが、毒が強いゲームは良作だと思っているので、本作でもそのような調整にした。
毒なんだからヤバいに決まってるだろ!
本作ではターン終了時最大HP20%ダメージ+HP回復量1/10という効果。
ダメージも無視できないが、回復量減の効果が非常に恐ろしく「HPが減ったらとりあえず回復しとけばいいじゃん」という手段をプレイヤーに取らせないようにしている。
相手の行動そのものを妨害する効果は無いが、回復手段を取るエネミー・ボスも居るので、戦術的価値は十分にある。
RPGではオーソドックスではあるものの、テクニカルな使い方が求められるという特徴は個人的に気に入っている。
・麻痺
本作では攻撃30%ダウン+敏捷50%低下。
文字だけではイマイチ伝わりにくいが、能力低下の効果としてはかなり大きい代物。
これに攻撃低下のデバフを合わせると、どんな敵であろうとゴミのようなダメージになる。
敏捷低下の効果も無視できるものではなく、先手を取れることが如何に有利であるか、ということが実感できるステートである。
通用する敵もそこそこ多いので、使い勝手のいい妨害手段。
半面、敵もおやつ感覚で放ってくるため、苦しめられたプレイヤーも多いと思われる…
・暗闇
普通のRPGではおそらく毒よりも影の薄いステート…だが本作では脅威の命中率ゼロ。
かなりぶっ飛んだ効果だが、これぐらいやらないと誰も使ってくれなさそうなのでこのような性能にした。
さすがに全部の敵に通用するとゲームバランスが崩壊するので、耐性を持つ敵を多めにする事と、使える味方をやや限定化することでバランスを取った。
また敵もバカではないので、暗闇中は攻撃をせず自身にバフをかけるAIにすることで、暗闇だけで乗り切る、という戦術を取らせないようにしている。
・恐怖
被ダメージアップ+他バステ付与率2倍の効果。数あるRPGの中でも珍しい部類の効果だと思う。
このバステを実装した理由は、他のバステとシナジーがあるバステがあったら面白いだろうと考えたからである。
バステの付与率2倍は命中率の安定感を上げるために非常に重要。
ダメージの底上げにもなり、場合によっては敵を一撃で仕留められるケースもある。通用する敵も多く、さまざまな戦局で優位に働く。
敏捷の高いハインのベリアルアイで恐怖を付与し、ユエでバステ技を付与する…という戦法は非常に強力。
このステートを使いこなせるかどうかで戦闘の難易度が激変するケースもあるため、その有用性に早く気付いた方はなかなかクレバーだと思います。
・睡眠
行動不能、というシンプルに強力な妨害手段。
相手を無力化するという意味では暗闇と似ているが、行動そのものを妨害するため、補助スキルを使わせる選択肢すら与えない。
コマンド選択自体は出来るので、足の早いキャラに治療をさせて後続のキャラを動かせる、といった対処が可能なのがポイント。
強力な妨害手段である反面、睡眠スキルを習得する味方は2人。通用する敵も限られているので、あまり使わなかったプレイヤーも居ると思われる。
(20階ボスがこのステートを利用した極悪スキルを放つので、嫌な思い出を持つプレイヤーの方が多いかもしれない)
なお攻撃を受けることで解除される特徴を利用して、味方にダメージを与えて叩き起こすエネミーも登場する。
世界樹シリーズでこんな奴居たよな…と思った人、間違いではないです。
【余談】
RPGではほぼ確実に存在するバットステータス。
ですがゲームによってその効果は様々で、RPGに慣れたプレイヤーであってもイチから覚えてもらう必要があります。
しかし序盤からそれらすべてを把握するのは困難です。本作ではその効果をプレイヤーが段階的に覚えられるようにするため、エリアごとにそれぞれのバットステータスを使用するエネミーを分けるようにしました。
本作では猛毒に回復量減少の効果が付いているのが特徴です。
プレイヤーは序盤の毒ヘビくんからその効果を身をもって体験し「あっ このゲーム毒やばいぞ」と学習します。
そして階層を進むにつれ、麻痺、睡眠、暗闇…など様々な搦め手を使う敵が登場し、その効果の脅威・有用性を学ぶことが出来るよう、敵を設計しました。
つまりシステムを覚えてもらうにはプレイヤーに痛い目を見てもらうのが手っ取り早い訳ですね。
べつに嫌がらせじゃないよ。ホントだよ。
さいごに
ちょっとタイトルとかけ離れた内容で終わりましたが、色々言いたかったことを語りつくせたので満足しています。
スキルの調整はゲームバランスに直結する部分なので難しい所ですが、あれこれ技を考えるのは面白い作業だと思っています。
特に本ゲームはスキル構成にプレイヤーの個性が大きく出ると思われるので、いったいどんな構成でゲームをクリアしてくれるのか、作者としてもたいへん興味深いところです。
ゲームクリアした方はぜひプレイリザルトをのせてつぶやいてください。
作者がよろこぶぞ!(^o^)