秋分の日に、朝と夜でZoom。

朝からZoomにて収録立ち会い。
祝日休みの妻と五歳息子はじいじの家へ。泊まってくるとか。

声優さんが入りまもなくという時刻。
揺れた。すぐに地震と分かる大きさ。
台所で何かが落ちる音。
音声を切り妻を呼ぶ……いない。既に出掛けたよう。
画面でスタジオの様子を窺うと皆さん談笑中。地震に慌てる者はいない。
今、私一人の都合で中座するわけにもいかず。何食わぬ顔で立ち会いを続ける不思議。

☆

夜はじいじの家とZoom。妻子と夕食後の語らい。
「パパ、寂しい？」
――残念。独り暮らしを楽しんでるよ。

と、息子が便意をもよおした。
「♪ うんち～しゃららうんち～」と恒例ダンスをして駆け出していく。妻も「ちょっと行ってくるね」と席を外した。
動かない画面。窓外からの雨音が増す。
時折息子のはしゃぎ声に、じいじばあばの笑いが漏れ聞こえた。
何やってんだかと想像しつつ……なんだろう。朝も味わったこのぼっち感。

いや、寂しいわけじゃないよ。

笑声は画面の向こう秋湿り

（しょうせいはがめんのむこうあきじめり）

季語（三秋）： 秋湿