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パパの夢は見えない
「パパ、夢の色ってどんな色?」
保育園から帰った五歳息子の開口一番。
瞬間的に「緑」と答えた。
特に考えもなく思いついたイメージ。
これで何か分かるのだろうか。
「私は空色かなあ」
少し考えたママは詩的な答え。
「いいねえ」と息子。
心理テストじゃないと知ってちょっと悔しい私。
「僕はね、虹色だよ」
言い切る息子の得意顔。
一番いい答え! とママが目を輝かせ、私はますます悔しくなった。
大人げないが、言葉の選択にはまだ息子に衰えを見せたくない。
より相応しい夢色はないか頭をフル回転させた。
――金色! パパの夢の色はゴールドがいい。
即座にママから「欲にまみれてて嫌」と突っ込み。
息子からは「パパも虹色でいいよ」と言われ、さらに負けじ心が動き出す。
――やっぱり透明にする。まだ色を持たない透明色!
これでどうだ、と息子の顔を見たら
「パパの夢は見えない」
と、落語のようなオチが付いて話終了した。
くそう……いろんな意味で傷つくな。
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夢の色問はれて惑ふ秋の蝶
(ゆめのいろとわれてまどうあきのちょう)
季語(三秋): 秋の蝶、秋蝶