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【朗読】 『人を幸せにするソファ』

【ツマヨム】妻が自作の物語を朗読してくれました。【試運転特別公開】
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青年は家具売り場を見ていて、小さな二人掛けソファに懐かしさを覚えた――
自身六歳の誕生日。

「プレゼントはいらない。代わりにお家にソファが欲しい」
無茶な願いに両親は応えてくれた。
誕生日から数日、保育園から帰るとそこに。
2DKアパートのダイニングに強引に配置したソファ。
高級なものではなかったけれど、少年は「これは幸せの宝物」と歓喜した。

「パパもママも遠慮なく使っていいからね」
その言葉に先ず母が隣に来て腰かけ、次に父が来てギュッとなって座った。
「ちょうど三人でぴったりだね」
そのまま皆でポテトチップスを食べた思い出。

三年前。一人暮らしを始める際、父はおどけて「幸せのソファ、持ってくか?」と尋ねた。青年は「オンボロだしいらないよ」と答えた。

店を出るや青年は母にLINEを送った。
――あのソファ、まだある?
「お父さんがたまに使ってます」の返信に、
――今度座りに帰ります、彼女と。
と再返信した。


※元の記事
https://note.com/t_kanatsu/n/n1d7cf018528a

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