99%の人が知らない教育社会学(学部生視点)
突然ですが、皆さんは教育社会学という分野を知っていますか?
とても面白い分野なので、ぜひ知ってほしいです。
この記事では、中学生の時にたまたま教育社会学に出会い、教育社会学を少しだけ勉強した学部生なりに教育社会学について紹介したいと思います。
そもそも社会学とは?
社会学ってイメージしにくいですよね? 正直今もあまりわかっていません。高校生の頃は社会学は何でもやっている学問だと思っていました。ジェンダーとか貧困問題とか社会に関係すること全般をやる学部だと思っていました。
社会学とは、私たちが生きている社会を科学的に(量的に・質的に)分析しようとする学問です(多分)。
山本努の『現代の社会学的解読(新版)』によれば、社会学とは「社会における人間の生活や行動を研究する学問」であり、奥井智之の『社会学[第2版]』は社会、行為、集団、家族、都市、逸脱、コミュニケーション、知識、宗教、ジェンダー、医療と福祉、現代社会と章立てしています(公務員試験の社会学のテキストもこんな感じだった)。
詳しくは、社会学の本を読んでみてください!
おすすめ:New liberal arts selection 社会学 / 長谷川公一 [ほか] 著
学部生が考える教育社会学
教育社会学は「教育に関することを社会学的に研究している」学問だと思います。
そのなかでも特に「格差」への関心が強いと思います(学部生主観)。
家庭の経済力、地域、ジェンダー(男女の違い)などによって、教育機会や教育達成の度合い(高校・大学・大学院への進学機会)に格差が生まれることを問題視しています。諸外国との比較、学校と企業の接続(就職)などの研究も行っています。
詳しくは、教育社会学研究をよんでみてください!
学会誌ですがとても面白いです! 最近読んだ中では、「難関大に進学する女子はなぜ少ないのか―難関高校出身者に焦点をあてたジェンダーによる進路分化のメカニズム―」(伊佐夏実 2021)が面白かったです。
面白いと思うポイント
教育社会学を面白いと思うポイントは、自分の教育経験が相対化されることだと思います。自分は小学生の時に、入学時はひらがなも書けなかった(=周りと同じだった)のに、なぜ卒業時にこんなに学力差が開いたのか疑問でした。その答えの一つを教育社会学は教えてくれました。
大学に入ってからは、教育機会が社会階層や地域の影響を受けることを知り、教育機会の格差を感覚ではなく数値(データ)を用いて分析することを学びました。感覚論でも自論でもなく、客観的な指標で今の社会を明らかにできることに面白さ(と限界)を感じます。
おわりに
少しは伝わったでしょうか? 高校生向けに書いてみましたが、自己責任論のもと格差が広がり、階層の固定化が進みそうな現代日本社会なので、他分野の人にもぜひ知ってもらいたいです。
中高生のうちに(面白そう!)と思える学問に出会えたことはラッキーでした。高校の進路指導ではやりたい学問よりも、偏差値的に行ける大学・学部を考えさせることが多いと思います。そんな風潮を少しでも変えたいなとおもっています。一見関係なさそうに見えてこれも教育社会学かもしれません。
写真の4冊の本は、
『New liberal arts selection 社会学』 長谷川公一 [ほか] 著(有斐閣)
『ヒューマニティーズ 教育学』広田照幸著(岩波書店)
『「学力」の経済学』中室牧子著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『教育格差—階層・地域・学歴』松岡亮二著(ちくま新書)
です。