私の失敗談①

 私は精神科医になってからも数々の失敗をしています。
①薬を半年間飲まなかった。
 初回の入院から3年経ち、私は精神科の後期研修医になっていた。気分は概ねコントロールできており、薬なしでもいけるのではないかと考え、主治医に渋々OKをもらった。
 半年間は本当に何事もなかったが、精神科の大先生への症例検討会、さらに学会発表が近づくにつれて頭の回転数が上がっていった。気分は高揚し、早朝覚醒し、よく歩き、よく買い物をした。軽躁状態になった私はなんとか症例検討会を終えることはできたものの、学会発表のスライドはじゃまくさくて全然できていない状態だった。さらに5日間の研修を出張で受けることになり、研修中にとうとう躁状態となった。そして「命を狙われている」という被害妄想が出てちょっとした騒ぎとなり、研修を中断して1ヶ月の入院となった。合計3ヶ月休職することとなり、職場と家族に多大な迷惑をかけた。
 薬なしでは1年も気分を安定させることができない。躁状態は明らかにまずい。それ以降私は薬が必要なことを悟り、毎日薬を飲んでいます。

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