A⑨人生はどうなる?
入院して1ヶ月半が過ぎた2月、男性看護師さん同伴で病院の周りを散歩できることになった。久しぶりの外。病院は田舎にあった。すれ違う車が異様に速く感じられ、怖い。閉鎖病棟とは刺激の量が違う。たまらずすぐに帰った。
1日4錠のアキネトンによる口渇に苦しんでいた私は、A先生にリスパダールの変薬をお願いした。「太るよ。」と言いながら代わりに処方されたのはジプレキサだった。私はジプレキサと相性がよかったようで、まだ残っていた妄想が取れていくのを感じた。ただおなかが異様に減った。病院食では全然足りず、売店でお菓子を買いまくった。隔離室でガリガリに痩せた私のおなかは出るようになった。
私は処方と妄想の内容から、自分のことを統合失調症と考えていた。ただ幻聴がないのが不思議だった。もう医者はできないな、この病院を退院できるかもわからない。これからの人生どうなるんだろう。暗い気持ちでいた。
親は毎週面会に来ていて、この頃には一緒に院外外出許可になっていた。怖いので近くしか外出できなかったが。親にはもう医者はできないと思う、と伝えたら「そうだね」と返ってきた。研修病院は年度末で初期研修が中断になると聞いた。私には遠いことのように感じられた。(A⑩に続く。)
今回の一言
ジプレキサで太る人は、ジプレキサがよく効いている。
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