A③救急外来の神様
「適応障害」が寛解し、治療なしで初期研修医2年目に突入した。研修医の仕事にも少しずつ慣れて、それに伴い自信もついてきた。
周りの評価も「大したことない研修医」から「普通の研修医」、さらに「そこそこできる研修医」に変わった。
2年目の秋、だんだん睡眠時間が短くなった。まだ夜の暗い時間に目が覚めて、眠たくないので暇だった。だったら救急外来でも手伝うか、と当番日でもないのに救急外来に行く日々が始まった。頭は冴え渡り、他の研修医より速いスピードで的確に救急患者を診ていた。自分が考えた通りの診断になり、怖くなっていった。救急外来カンファレンスでも鋭い指摘をするようになった私は、周りから「神がかっている」と呼ばれるようになった。いいことばかりではない。他の研修医が出来の悪い仕事をすると怒りが湧いてきて、叱責することも多々あり、恐れられるようになった。研修担当の先生から「いい噂と悪い噂を聞いているがどうなってるんだ?」と聞かれ、「どちらも事実です」と答えた。今度は院内の心療内科ではなく、精神科に相談するように言われ、精神科医からはしばらく休養するように言われた。
睡眠時間は2時間になっており、崩壊は迫っていた。(A④に続く)
今回の一言
睡眠時間が短くなるのは躁状態のサイン。
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