A⑩春の退院

 3月に入り、A先生の診察の際に「そろそろ開放病棟に移るか?」と聞かれ、怖い気持ちはありつつもお願いした。看護師さんたちには「おめでとう。退院も近いね。」と言われ、そうなんだとびっくりすると同時に、嬉しくなった。
 開放病棟は女性看護師がほとんどだった。患者は男性も女性もおり、病棟の空気感がかなり違った。開放病棟に移り、単独の院外外出許可となった。最初は1人で外出するのは怖かったが徐々に慣れて、院外で食べ過ぎてさらに太った。
 私は退院を希望してみた。A先生から初回の統合失調症の入院期間は3ヶ月を目安にしてるから、3月下旬の退院でどうだと言われた。やっぱり統合失調症なんだ。ショックだった。退院してもやることがないから、3月下旬までゆっくりすることにした。
 退院先は遠方の実家になり、この精神病院に戻ってくることはもうない。退院の際にA先生に、落ち着いたら手紙を書いてくれと頼まれた。看護師さんも何人か見送りに来てくれた。「ありがとうございました。」私は迎えの車に乗り、病院を後にした。(次はA①〜⑩の解説)

今回の一言
病状が落ち着いたら、勇気を持って主治医に退院を相談しよう。

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