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人事に大切なアレとアレ

どうも、すべての経済活動をデジタル化したい、LayerX石黒です。

友人でありHRの大先輩でもある青田さんにお誘いいただき、HRアドベントカレンダー2020「○△に大切な□✗」の7日目のエントリを書かせていただくことになりました。

テーマを考えるにあたり「採用」「採用広報」「エンジニア採用」「ミッション・バリュー」を考えましたが、登壇や講演/スライドを通じてお伝えしているので、今回はあえて”人事っぽい”話に挑戦してみます。


突然ですが、以下の文章を読み、目を閉じてください。何を思ったか、どう考えたか、なんとなく記憶してみてください。

- 前提:
あなたは組織(会社でもOK)の人事担当Xさんです。一緒に働いている他チームの同僚をAさん(あなたとはプライベートでもよく食事に行く関係)とします。

- ある日の出来事:
毎朝09:30の定時に必ず出社するAさんが、もう11:30になるというのに出社していません。それどころか勤怠報告やSlackのリアクション他なんの連絡もありません。こんなことはAさんが入社して3年が経過しますが今まで一度もありませんでした。
その時、会社の代表電話が鳴りました。会社にいる人事担当者はあなただけだったので、電話に出て話を聞き始めました。電話の相手は近隣の警察署。電話の主からは、Aさんが「ある容疑」でその場所にいる、と。












起きてほしくない事件、耳を疑うような出来事、相談窓口への連絡。人事や総務を担う方であれば一度は対面したことがあるのではないでしょうか。

私自身も、人事を担う中で様々な場面に向き合ってきました。20代の頃はそれこそドキドキしながら、必死で平静を装いながら経験豊富な上司とともに各案件の対応をしてきました。


「受けとめる力」

私自身が人事担当として役割やポジションが変わる中、こういった場面を振り返ってみると「受けとめる力」が大切だなと感じています。

「バイアスを持たないように」などとよく言われますが、”組織内で最も信頼をおいているあの人が内部通報の対象者”のような場合、あなたは真の意味でフラットに対応できるでしょうか。そこにある情報は多くの場合極めて断片的なもののみです。一方で、人事担当として、その場その場で対応が求められるのです。

緊迫した場面では善悪や賞罰、その他瞬間的な感情が頭をよぎるでしょう。しかし私が考える最初の対応スタンスは「まず一度受けとめること」です。その事象を受けとめ、頭の中で直感的に何らかの判断をしてしまう前に、「個人」と「組織内での自身の役割」を切り分け、徹底的に後者の立場でコトに向き合うようにします。
(個人としては仲間を信じながらも、)起こった事象については感情を排し、つとめて冷静に判断材料を揃えていく、そういった役割が人事の役割です(少なくとも私はそう考えています)。うまく表現することが難しいのですが、「一方的な判断は絶対にしない」ということを常に心がけています。


ここまではシビアな話を書いてきましたが、実は「すごくおめでたい出来事があった!」というような逆のケースでも、同じようなスタンスを持っていることが大切ではないでしょうか。いい出来事も「まず一度受けとめる」。もしかしたら誤報かもしれない、別のメンバーからみたら悲しい出来事かもしれない。そんなときにも「組織内での役割」として配慮するためにコトに向き合ってみるスタンスがあると、対応幅がぐっと広がるなと、特に近年感じています。

事件や事故のみならず、あらゆる相談事を受ける、というのも人事担当の役割の特徴的なところです。評価や給与などの話や、家族の話、妊活やジェンダーの話など、特に近年は体感としても社会の変化に伴い多様な相談を受けるようになりました。

そこで大切にしていることも、まず一度受けとめること、です。加えて、「バイアスを持たない」というのは究極的には出来ないので、減らすよう努力し続けること。どのような場面でも寛容であること、真摯にふるまうこと、そして必要なときには厳しくフィードバックすること。こういった考えは「人事」という役割を担うようになってから、ずっと忘れずにいるスタンスです。

(白い紫陽花の花言葉は「寛容」)

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「受け入れてもらう力」

「受けとめる力」を鍛え・実践するにあたって、もう一つ大切なことがあります。「受け入れてもらう力」です。それは組織内で人としての信頼を得ていくことです。人事担当なら当たり前のようですが、「人事担当だから話が集まる」のではなく「Xさんだから話が集まる」という側面も認識しなければなりません。(組織としてそれが正しいかは別の話)

受け入れてもらうために信頼を積み重ねることの大切さについては、書籍や文章で世の中にあふれているので私からは書きませんが、私が個人的に人事担当として新しい環境に入っていくに当たり意識していることについてあげてみることにします。

例えば、プロトコルを合わせること(例えばエンジニア中心の組織なら彼らの興味や関心領域のインプットを増やす実践する)、またそのための学ぶ姿勢を持つこと、コミュニティに入ることなどを意識しています。そのためのマインドセットとして、ファーストペンギンになることを恐れないこと(むしろ楽しむこと)、誰かの新しい取り組みを見つけたらセカンドペンギンになることもわかりやすく「仲間である」と思ってもらうキッカケになります。みんなにちょっとした心のゆとりを提供したり、背中を押したり、そういった存在が組織を支える力になっていくと信じています。

そして「弱みを見せること」。

人事に大切なアレとアレ

10日ほど前にタイトルを考えたときの”アレとアレ”は実は他のテーマでした。「受けとめる力」「受け入れてもらう力」については自身の経験をもとに、人事を担い始めた方にお話することが多かったこともあり、抽象的な話になってしまいますが文章化してみました。


おわりに

「一回ちゃんと受けとめる」

できそうでなかなか難しいです。

でも、これによって瞬間的な感情に左右されない(人事担当の)組織としての判断がシャープになり、それが事業の成長につながっていくのだとすれば、これは嬉しいことです。



原稿を読み返しながら、自身の子育てについて振り返ったのはここだけの話にしておきます。どんな場面でも瞬間的な判断ではなく、まず受けうけとめてみることから。


※本文に出てくる事例は私の経験に基づいた話ではありますが、一部に何らかの変化を加えており、フィクションです。

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