Tom Peters "The Excellence Dividend"
英語の勉強もかねて洋書を読もうと思うビジネスマンは、ビジネス書を読むとよい。ビジネス書は成功を夢見る万人をターゲットにしているので、キャッチーで読みやすい。少し砕けた感じで、複雑な構文や難しい単語や理解しにくい概念もない。朝晩の通勤電車で読めば、元気が出て仕事もはかどることだろう。
トム・ピータースは熱い。
いままで「細かいことにこだわって作りこんでもどうせ大した価値もないし、シンドイし、これくらいにしとこうか」などと思って中途半端な出来栄えで、しかも納期に遅れて「すみません」と頭をかいて終わらせていた仕事を、「私がやるからには、この仕事は200%の完成度に仕上げるぞ、もちろん納期に余裕、顧客満足度2000%だ!」と24時間365日、頑張れるようになること請け合いだ。
ただ、文章や単語はちょっと砕けすぎているように思うので、英語の勉強にはちょっと勧められないかもしれない。まぁ、でも、熱に浮かされているようなアメリカのビジネスシーンの雰囲気が伝わってくるような気もして、こういう勢いに慣れるのも良いだろう。
Tom Peters, Excellence Dividends, 15節のうち12節まで読んで、メモとりながら 500ページ弱、約70%。8月末まで1か月くらいか、ちょっと悔しいが、他に読みたい本もあるので、このへんでギブアップ。あとはパラパラパラと最後まで斜め読みしたので読了したこととする。
AIをはじめとしたテクノロジーの進化や、COVID-19によって、価値観やビジネスモデルの大きな変化がもたらされる、と百家争鳴の昨今だが、そんなことにぶれずに通用する経営指針が、全ページにわたって、松岡修三なみの熱っぽさで書かれている。
このページを訪ねてみるとよい。彼のロゴは赤い「!」だ。
https://tompeters.com/
また、下記のサイトに行くと本書の内容をカバーするパワーポイントの資料(原色多用の色づかいは強烈!820枚のスライド!)が無料で入手できる。
https://excellencenow.com/
もっとも、最初の序文30ページちょい:The Pitch と The Plot、そして最終節を120%集中して読めば、そこで本書を閉じて、自分自身のExcellenceを目指して実行に励んで邁進するのが正しいのかもしれないと思った。
簡単に、著者の言葉をつないで要約しておこう。
この本は、エクセレンスを追求する文化を妥協せずに築いて維持することと、ハードワーク・勤勉さに関する本である。
・それは守りではない。攻めだ!
・すべての場面で、どんな場面であっても、顧客に感動を与える:エクセレンスを、作るのだ、今すぐだ!
・それは、「NO」と決して言わない態度!
・エクセレンスは機会を待って実行するものではない、行動の一つ一つにすべて宿る。今この瞬間からだ!
・企業文化がすべてであり、そのためには、人にトレーニングを提供し、成長の機会を与え、人に投資、人事を重要視すること!
・イノヴェーション、変革を大事にする。そのためには結果を恐れずにどんどん挑戦せよ!
・リーダーシップ、マネジメント、組織、そして商品、すべての側面において細部に徹底的にこだわってデザインすること!
・1週間のうち7日間、金曜日の真夜中までたゆまぬ努力あるのみ!
・実行だ!今すぐ作れ!!エクセレンスはこの瞬間から始まる。
Believe it
- Excellence is profitable
- Excellence is security
- Excellence is a kick
そういえば、もう25年以上前だっただろうか。当時参画していた開発プロジェクトで、大きな技術的な問題が見つかった。対策会議が始まり、係長がホワイトボードに対策日程案を書き始めたそのとき、課長が一言。
「なんで、明日からなんだ?」
「・・・・」
「そこに書いてある目標はなんだ、落としどころか?俺たちは何を目指しているんだ?」
「・・・・」
「全部消して、書き直せ。日程は今日からだ。」
そんなことを思い出した(少し脚色あり)。
実際、アメリカの経営幹部は、この本を深夜まで読んで、浅い睡眠のあと、6時にベッドからむくっと起き、手を上につきあげ「今日から俺たちは Excellence だ!Cultureだ! Peopleだ! Brand YOU! いつやるの?今でしょ!がんばるぞ!」とパジャマのまま、ベッドの中で、いそいそとノートパソコンを起動するであろう。このへんが西欧人の恐ろしいところだ。
最近の私たちはちょっとスマートに乙にすましすぎてはいないだろうか。