シチリアはパレルモ出身の凄腕ギタリスト:マッテオ・マンクーゾ
シチリア島の州都パレルモに、凄腕の若手ギタリストがいることを先月に発見した。
その名は Matteo Mancuso「マッテオ・マンクーゾ」。1996年生まれというから、今年25歳になる。ピックではなく指で弾く、その右手の構えはベーシストのようで、普通のフィンガーピッキングのスタイルとは違った彼独特のスタイルだ。軽くディストーションのかかった太めの音色でスケールを高速かつ縦横無尽に駆け巡るフレーズが印象的だ。ギターがよく歌っている。
両手を駆使してトリッキーなフレーズを細めの音色でオーケストラのように弾きまくる最近のギタリストも素晴らしいが、この人はストレートアヘッドな上手さだ。
ジャコ・パストリアスの演奏で有名になった "The Chicken" ベーシストやドラマーの表情も見ていて楽しい学生バンドのノリだが、流れるような高速ソロがかっこいい。
気取らない服装や姿もいい感じだ。
アル・ディ・メオラも絶賛。
2021年 International Jazz Dayのライブ演奏もかっこいい。
ネック近くにバンドを巻いてミュートしているのも目を引く。最近よく見かける。白状すると、私は迂闊なことに、この歳までこういうものがあるとは知らなかった。開放弦の響き、ときに変則チューニングでの開放弦の響きは楽しいものだが、そこは犠牲にしつつ、演奏しやすさを重視しているのだろう。
センスもテクニックもあって気負いがない。いなせで、気取らない姿もいい。素晴らしい音楽を届けてくれるだろう。これからが楽しみだ。
[2023/7/21 追記]
■アルバム"The Journey" がリリースされた。イタリアでは6月30日、ワールドワイドで7月21日だ。
Matteo Mancuso - The Journey (lnk.to)
1曲目はジェフ・ベックを思わせる音でメロディがよく歌っている。トリッキーなソロも聴かせるし、ちょっと凝った曲構成も悪くない。ジャジーな2曲目"Polifemo"や6曲目 "Blues For John"もいいし、そのほか緩急とりまぜて全面的に彼のギターが表に出て楽しく聴かせる。若さ溢れる良いギターインストの一枚になっていると思う。
先行して2曲のシングルがデジタルプラットフォームで聴くことができた。1曲目 "Drop D" は5月にリリース。
2曲目 "Samba Party" は6月23日にリリースされたばかり。
エキサイティングな曲ばかりだ。
[2023年10月追記]
2023年9月にシングルカットされた "Silkroad," ビデオクリップが YouTubeに上がっていた。
アコースティックギターの静かなイントロから、エレクトリックでジェフ・ベックを思わせる導入、そして2’55"あたりからのタッピングをたっぷりフィーチャーしたソロ、3’25秒くらいから独特の右手の構えから縦横無尽に駆け巡る高速ソロ、なかなか聴きごたえがある。4'12"あたりからまたアコースティックギターで新しいテーマを弾いてエンディング。憎い構成だ。
ヤマハのギター Pacifica が相性いいのだろう、アタックが強くメリハリのいい骨太の音が心地よい。
シチリアはパレルモ近くの名所旧跡で撮影されたらしい風景もなかなか魅せる。
なお、去年か一昨年からか、彼は Yamaha のギターが気に入ったらしく、Pacifica と REVSTAR Professional を愛用しているようだ。
Matteo Mancuso - Yamaha - Other European Countries
[2024/1/14 追記]
2023年11月に公開されている動画を貼っておこう。TV番組だろうか、豪華なバックでロックのスタンダード "You Really Got Me." 明るく太くてアタックの効いた音はそのままに、どんどん進化している彼のテクニックが惜しげもなく披露されている。
■追記 2024/10/14
最近、YAMAHA のギター SA2200 を新しく入手したらしい。
■2022年後半に結成のDrift-Lab というイタリアのバンドでも活動している。この演奏も素晴らしくかっこよい。
ベーシストはYouTubeでよく見かける腕利きで有名な Federico Malaman。キーボードはManuele Montesanti、ドラムスがDaniele Chiantese、という編成で、こちらもこれからが楽しみだ。
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