洋楽紹介6「Here comes the sun」今こそ聴いてほしいビートルズの名曲
皆様こんにちは。今日はビートルズのギタリスト、ジョージ・ハリソン(George Harrison)作の「Here comes the sun」をご紹介したいと思います。この曲の優しく元気づけてくれる感じは現在の若い世代に特に人気が高く、今も世界中で流れています。どんな気分でも聞きやすい曲なので、是非皆さんのプレイリストにもいれてほしい一曲となっています。
今回の曲もまだ著作権が切れておらず、歌詞抜きでの解説となりますのでご了承下さい。この歌の雰囲気や制作された背景などについてふれていきたいと思います。先ずは以下ビートルズ公式チャンネルのミュージックビデオをご覧ください。
雰囲気
先ずはこの歌の雰囲気から。第一印象として曲・詞ともにとても優しく元気づけてくれるような感じです。特にジョージ・ハリソンによってでられるアクースティックギターがとても優しい感じで、しかも後ろで支えるシンセサイザーが朝日がさすような温かさのようなものを出しているような気がします。歌詞に至ってはさらにその傾向が強いですね。なんというか、暗くさみしいところにいたのを明るい外に連れ出してあげるような、優しく温かい、希望に満ちた表現が続きます。私が育ったアメリカでは、2020年よりしばらくはコロナや政治的対立で暗い時期が続いていました。学校にも行けず友人にも会えない若者たちが慰めをもとめてこの曲を聴いていたことは想像に難くありません。著作権と翻訳権の関係で歌詞がのせられなくてとても残念です。
背景
きっかけ
時は1969年の春、ビートルズのギタリストであるジョージ・ハリソンは彼の友人であるエリック・クラプトンの家にいました。彼らはどちらも当時人気のギタリストで、天気がよかったので庭で一緒にギターをひいていたそうです。当時のハリソンはとても多忙で、それまで2週間ギターをひく暇がなかったと語っています。ギターをひきはじめ、その時の気持ちを少しずつ歌っていくうちに歌ができあがっていったようです。結局昼食の時間になったので家に入り、曲を完成させたのは次の休暇にイタリアのサルデーニャ島を訪れていた時だったと語っています。
春
実はその晴れた春の日、ハリソンが感動したのには訳がありました。当時1968年から69年の冬イギリスは寒波にみまわれており、暗く寒い冬が長く続いていたのです。さらに忙しさもあいまってまだ春を満喫しきれていなかったであろうハリソンが春の庭で日の光を浴びながらギターを弾いた時の気分は格別だったことでしょう。「Here comes the sun」(やっと太陽が来た)という表現は大げさではなかったのでしょう。
モデル
また別のインタビューでフランク・シナトラは、「Here comes the sun」は「Love」という言葉を一度も使っていないにも関わらず、この50年から100年の間で最も優れたラブソングの一つであると語っています。ジョージ・ハリソンが直接語っている記録はありませんが、この曲のモデルはハリソンの当時の妻であるパティ・ボイドであると言われています。
余談ですが、ハリソンとボイドの関係はのちに悪化し、皮肉なことにパティ・ボイドはハリソンと別れ、この曲を作った際に一緒にギターをひいていたエリック・クラプトンと結婚するのでした。また、クラプトンの一番有名な曲の一つである「Layla」(邦題はいとしのレイラ)もまたパティ・ボイドのことを歌った曲であったといわれています。以下のビデオでハリソン・ボイド・そしてクラプトンの関係と歴史について解説されています(英語)。興味のある方はご覧ください。
その後・現在
先述の通り、「Here comes the sun」は現在でも人気のある曲です。いや、現代だからこそ通じるところも大きいのではないでしょうか。数あるビートルズの名曲の中で、恐らく現代の若い世代に一番人気の高い曲と言えるでしょう。2021年のSpotifyの調査では、ビートルズが発表した213曲の中で一番再生回数が多く、また2023年には10億再生を達成しています。
現在でも世界中で流されている曲なので、もしかすると日本でもそのへんで聞こえてくるかもしれないです。2012年のロンドンオリンピックの閉会式で流れていたとの情報がありますが、Youtubeでは確認できませんでした。
余談ですが、以前ドイツからトルコまで「Sun Express」という航空会社の飛行機に乗ったのですが、会社名の通り太陽がモチーフになっており、離陸前と到着時に太陽にまつわる曲が流れていました。その中には今回ご紹介した「Here comes the sun」のほかにも、同じくビートルズの「I'll follow the sun」や「Good day sunshine」なども含まれていました。他にもビートルズは太陽に関する曲をいくつか発表しているので、またご紹介させていただければと思います。Sun Expressのフリー画像が見つからなかったので、今回はターキッシュエアラインの飛行機でご容赦ください。
まとめ
ジョージ・ハリソン作の「Here comes the sun」いかがだったでしょうか。いつの時代もやはり暗いできごとや寒い冬というものはあるものですよね。そんな時は、この曲を聴いて、また春がやってくることを思い出して頑張っていこうと思った私でした。少しずつ寒くなってきましたが、皆様もこの曲で少しでも温まってもらえたらと思います。ご覧いただきありがとうございました。