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「未知なる生物界への扉!階段に現れる虫たちの謎解き」19 ”クマゼミ”
あなたの住まいの階段を使って新たな冒険に出発しませんか?
私は健康のために階段を使っていますが、階段で目を凝らすと、ふと動く小さな虫がいることに気が付きます。そして昨日いた虫は何処かへ行き、別の虫が現れ、入れ替わっていくのです。
実はこの無機質な階段には驚くべき生命の多様性があります。
本記事では、私たちの日常生活に潜む小さな虫を探索し、階段に毎日現れる虫の正体に迫りたいと思います。
前回出現した虫はクロオオアリ(仮)でした。
蟻酸という生物の作り出す最も小さな有機酸が、印象に残りました。
今回はどのようなムシに出会うのか。
いつものように階段を下りていくと、明らかに大きなセミが地面に張り付いていました。
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流石にわかります。
このムシはクマゼミです。
飛ぶ力がないのかバタバタしています。
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あっコレは腹弁があるのでオスですね。
クマゼミ(Cryptotympana facialis)
カメムシ目(半翅目)、セミ科に分類される。
クマゼミは南方系のセミであり、分布域は主に西日本近畿・九州などの西日本の平地では個体数が多く、都市域でも普通に見られます。
近年では関東地方でも生息数を増やしているとされ、その原因として、気候の温暖化や植樹に伴う卵・幼虫の移動の可能性を推定しています。
鳴き声について
クマゼミはかつては西日本でのセミの王様と呼ばれていました。
その圧倒的な鳴き声は「シャアシャア」、「シャシャシャシャ」、「サンサンサン、、、、、」と音も大きく、西日本では夏を代表する虫の声の一つです。
大きな音をどこから出しているのでしょうか
セミは、次のような仕組みで鳴いています。
発音筋と呼ばれるV字形の筋肉が縮んで発振膜が中へ引っ張られ、音が発生します
鳴筋が元に戻り、発振膜も元に戻って弱い音が発生します
この繰り返しによって連続的に音が発生し、お腹の空洞に響いて大きな音になります(AIによる概要)
NHK for schoolに発音する仕組みとして、分かりやすい説明があります。
測定方法や測定位置によって違いがありますが、クマゼミの騒音レベルは80dBに達することもあります。
環境省の騒音規則で閑静な住宅街の騒音レベルは約45~50dB、人の会話で50~60dB、地下鉄の車両内で90dB、車のクラクションや鉄道のガード下で100dBなど例が示されていますので、それと比較するとかなりの音の大きさだと思います。
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https://www.env.go.jp/air/ippan/meyasu.pdf
セミの見分け方
セミの見分け方は本体を直接同定する方法と鳴き声から判断する方法と抜け殻から同定する方法があります。
前者は目視で判断できますが、姿が見えない場合は鳴き声で判断ができます。
生息状況を知るだけなら抜け殻で調べることもできます。
セミの検索については様々なメディアが検索表を作成してくれていますので気軽に調べることができます。
愛媛のセミ 14 種のぬけがらを見分けよう!「セミの検索表」
https://www.kumakogen.jp/uploaded/attachment/5868.pdf
セミの雌雄の見分け方は簡単
セミは腹部を見ると簡単にオスメスを見分けることができます。
オスには発音するための腹弁が付いておりメスにはありません。この一択でほぼオスメスを見分けることができます。
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セミのレジン標本を作ってみる
虫好きではあるけれど、標本を作るのはにおいが気になったり、保存が難しかったりと、あきらめる人が多いのではないかと思います。
そんな悩みを解決する一つの方法が
「レジン標本」です。
レジンの種類によってコストが大きく異なりますが、うまくやればにおいも気にならず、半永久的に虫を自分のコレクションとして集めることができます。
黄変しないレジンを用いれば、透明さを保つことができます。
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私の場合はコストを抑えたため日新レジン クリスタルレジンを使用しました。
セミを食べる? 世界の食糧問題
世界の人口が増え続けることによる食糧問題が危惧されています。
「世界の食料安全保障と栄養の現状」(SOFI)2023 年報告-世界でさらに1億2,200万人の人々が飢餓に直面;様々な危機により2019年の6億1,300万人から約7億3,500万人へ増加
そのような中、動物の枯渇資源を解消する一つの手段として「昆虫食」が注目されています。
私は山梨県に訪れた際にバッタ(イナゴ)の佃煮を食べたことがあります。
個人的な感想としてエビを食べているようで、見た目を気にしなければ意外といけるなと思っています。
また最近では昆虫食ブームにのり、無印良品の「コオロギせんべい」も食べたことがあります。
こちらも普通の海老せんのような味で問題なく食べられます。
実はセミは食べることができ、主に中国や東南アジアなどで食文化があるとされています。
過去には日本でも沖縄の郷土料理として食べられていたとか。
国内でセミを食べる機会があれば食べてみたいのですが、その機会を得られていないため、今のところお預けです。
今後の話として、セミを食べることについて安全性の観点からはまだはっきりしませんが、もし一般的に食べられるようになれば、世界食糧問題解決に一石を投じる、、、かもしれませんね。
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セミは栄養価が高いのか、鳥が追いかけているのをよく見かけます。
弱っていて難しいかもしれませんが、
階段では目立つので本来の樹木に戻ってほしいものです。
今回の来訪者はクマゼミでした。
次はどんな虫に出会うのでしょうか。
どんなふうにワクワクさせてくれるのか
次の来訪者に期待したいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
※虫の同定(自然科学で、分類上の所属を決定すること。)は本来難しいので、間違っていたらご指摘頂けますと修正しますのでコメント頂けますと嬉しいです。
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