門前仲町「たにたや」さんと、季節のお弁当を考える。(その18 立冬)
2021年も11月に入りました。
暦の上では、すっかり「冬」の到来。
今回は11月7日から始まる「立冬(りっとう)」の季節となりました。
立冬は二十四節気のひとつで
「冬が立つ」と書くように、冬の兆しが見え始める頃。
空気がぐっと冷たくなり、冬の気配を感じる時期です。
暦のうえでは立冬から冬に入るため
「立冬を迎え、暦の上では冬となりました」といったフレーズを
見聞きすることが多いと思います。
ちなみに、立冬から2月初旬の立春の前日までが暦のうえでは冬になります。
「亥の子の日(いのこのひ)」の季節
日々寒さが増すなかで、
本格的な冬に向け準備を始める時期です。
衣類や寝具のみならず、暖房器具もそろそろ準備しておきたいところ。
立冬が始まるちょうどこのころ「亥の子の日」がめぐってきます。
「亥の子の日」とは、本来は、亥の月(旧暦10月)の亥の日、
つまり旧暦10月の最初の亥の日のことですが、
今は11月の第一亥の日(2021年は11月11日)を指すのが一般的です。
日本の文化に深く関わる陰陽五行説において
「亥」は水にあたり火に強いとされているため、
「亥の子の日」に「こたつ開き」や「炉開き」
(火を使うこたつや炉を使い始めること)をすると火事にならない
と言われてきました。
現在は火を使うこたつではありませんが、
暖房器具を準備する好機になっています。
昨年から、弊社の冬の季節はこのヒーターが役立ちます。
ホームセンターで購入したものですが
「暖炉のような温風ヒーター」です(笑)。
火がメラメラと絶えず燃え上がり、機械の下部から、
温風が吹き出し、暖めてくれます。
11月9日は、久しぶりの大雨。
ただ、ちょっと気温が高めで、風もやや強めです。
冬の使者「木枯らし」
また、この時期になると冬の使者「木枯らし」がやってきます。
その名の通り、吹くたびに葉を落とし、
まるで木を枯らしてしまうように見えることからそう呼ばれています。
西高東低の冬型の気圧配置になってから、
風速8m以上の北寄りの風が吹くと「木枯らし1号」と発表されます。
実は、この時期、天気予報士をやきもきさせる気象現象
それが「東京の」木枯らし1号です。(続きは↓にて)
実は、今日時点で、東京の「木枯らし1号」が
確認されていないみたい。
(一方、関西・大阪は統計開始以来、最も早い、10/23に記録)
【木枯らし1号の発表条件(東京地方)】
1.期間は10月半ばから11月末までの間に限る。
2.気圧配置が西高東低の冬型となって、季節風が吹くこと。
3.東京都心における風向が西北西〜北である。
4.東京都心における最大風速が、おおむね風力5(風速8m)以上である。
なかなかルールが厳しいところ。
毎年、気候の変動を感じながら、
季節を表すお弁当の企画をしている。
今年食べた24節気のお弁当は、来年は別のものの
ラインナップになるということは否めない。
(というより、来年もやるかは別だが)
さて今日の「たにたや」のお弁当。
「たにたや」も11月7日(日)立冬の日に、
無事に7周年を迎えた。
門前仲町にお店を構えて、早7年。
そしていよいよ2022年からはスタッフを加え、新規店舗に移転し、
「たにたや」という屋号はいったん閉じてしまうが、
新たなチャレンジを応援したいと思う。
ちなみに、先日商店建築社が実施したyoutubeライブに、谷田さんが出演。
冊子もさることがながら、谷田さんの照明に関する話が聞ける、
2時間(!)は必見である。
お弁当のラインナップは、冬を前に「豊作殺到」というところか。
主役が誰だか分かりづらいので、実は味の印象は少ない。
まず時期的に根菜が多い。美味いし、間違いはない。
カツオも時期的に油が乗り切って重厚。
味のラインナップも増えてきて楽しい。
もちろん品数も増えて、華々しい。
だけれども、今日は「新鮮味」がなかった。
季節は春、夏、秋、冬と様々だ。
冬は「感覚を鈍らせる寒さ」を感じさせる。
立冬はまさにその兆候で、コタツびらきのような
「暖かさを求める優しさを感じさせる節句」だ。
冬の寂しさにも、暖まるようなラインナップのお弁当が食べたくなる、
そうした季節に、世の中はなり始めている。
世の中はもっとシビアだ。
木枯らし1号ほど細かい条件はないが、受け手(=お客様としたら)は、
コロナ禍をこえて、その寂しさを紛らすために、
もっと暖かさを求めてくる。暖かい居場所が欲しくなる。
そうした「暖かい場所と光」を求めて、
たにたやに集う人たちは、谷田さんの珠玉の宝である。
そんな期待を集わせる「たにたや」の閉店も、あと少し。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?