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門前仲町「たにたや」さんと、季節のお弁当を考える。(その3 雨水)


立春から数えて15日目。2021年2月18日、本日が「雨水(うすい)」となります。

空から降るものが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になる、という意味。草木が芽生える頃で、昔から、農耕の準備を始める目安とされてきました。春一番が吹くのもこの頃です。

しかし、本格的な春の訪れにはまだ遠く、大雪が降ったりもします。三寒四温(※)を繰り返しながら、春に向かっていきます。

(※)三寒四温(さんかんしおん)
寒い日が三日ほど続くと、その後四日間ぐらいは暖かいということ。これを繰り返しながら、だんだん暖かくなり、春へと向かいます。もともと、中国北部や朝鮮半島の冬の気候を表す言葉で、後に日本に伝わりました。

さて、お作りいただいたお弁当も3回目。

まず目に止まったのが「苺(いちご)」だった。この時期、旬を迎える果物であるが、市場で出回る苺はすでに旬を過ぎたものもおおいのだが、実は出荷のボリューム自体は一番多い時期でもある。今日は、甘みがあり、メニューラインナップにおいては、ホッとするような味わいだった。

その横にあるのが、なんとマグロ。中国の発酵調味料、"腐乳(ふにゅう)"で和えている。炒めものや煮物に使われるほか、そのままお粥にのせて食べたり、醤油やごま油と合わせてつけだれに使うこともある。マグロと苺のマリアージュ。よく、色味が同じものを合わせるとうまいというが、この組み合わせは「雨水」というキーワードならではと思う。

そして、豆の生姜出汁煮。谷田さん曰く「これって冷奴(ひややっこ)」と教えてくれた。まさに噛むと、生姜をまぶした豆腐そのものだった。(もちろん歯応えは抜群だったが)そこにおから、焼き豆腐と、大豆三兄弟がラインナップ。そして、鰆の山菜のフリットと花椒オイルが、ふわっとした中で香りを生かしたオイルと味わいが、舌の中にすっと横たわる。

食べ物を食べながら風景が浮かび上がるものは素敵だと思う。

次回は「啓蟄」。

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