- 運営しているクリエイター
記事一覧
氷点下の気温。冬の到来。キャンパスを吹き抜ける肌を刺すような冷たい風に、鼻をすすっては文句を言い、尚も地面にこびりついたままの銀杏を視界に入れては、過ぎた秋の日に思いを馳せていた。はずだった。いざ秋らしい気候が再来してみたら、今度は相対的な暑さに愚痴を漏らす。私たち本当に我儘ね。
都会で生まれ育った私にとって、「朝の合図」は道を忙しなく行き交う車と人の気配で、「雨の匂い」はペトリコールだった。未だ慣れない、早朝に耳をくすぐるカササギの鳴き声と、冠岳山の豊かな自然を意識させる雨をたっぷり含んだ土と青い草の匂いに、小中学時代の年例行事だった林間学園を思い出す。