ひんやりした夏
2019年、令和元年の今年は冷夏らしいです。
私にとって今年の夏は、去年の11月から東京に引っ越してきて、初めて迎える東京での夏です。今まで住んでいた大阪や京都での夏は本当に暑くて仕方なかったのに、東京は涼しいなと感じていました。東京は夏涼しいのかと思っていましたが冷夏のせいが大きそうです。薄い羽織物が手放せないほど涼しいのは連日雨が降っていた、ということも影響していそうですね。
今朝会社に来るときに外を歩きましたが体感温度は、大阪の5月頃だと思いました。
……と、ここで、大阪に住んだことがある人なら、「いや涼しくないやん、むしろ暑いやんけ!」ってツッコミを入れてくれそうです。
そう、なぜか大阪は5月で一度7月中旬のような暑さを迎えます。そして冷夏といえど、東京も雨が続かなくなったせいか、昨日今日と、少しずつ日中の温度もあがってきました。関東に住んでいる人に一度梅雨明け頃に蚊が出てくる、と聞きましたが、昨日オラオラ全開の蚊にまとわりつかれました。
そろそろ梅雨も明け、本格的な夏でしょうか。
夏と言えば、やはり冷たい食べ物がおいしく感じる季節です。
そして私にとって、今でもすぐに思い浮かべることのできるひんやりした食べ物があります。
それがこちら、「餅匠しづく」の水まんじゅうです。
2年ほど前、夏の暑い日に、ファッション感度の高い妹に連れてきてもらい購入いたしました。余談ですが父も、一緒にご飯を食べに来ており、妹が餅匠しづくに行きたいというと「気になってた!」とキャッキャしていました。流石スイーツ好きの父、今は九州に単身赴任中ですが、大阪のお店もチェック済みでした。我が家で一番女子力が高いと言われているだけあります。
そんな感じに娘二人と気になっていたお店に来て嬉しそうな父も居たので、資金面もばっちり、一人2つずつ選び(買って帰らないと確実にすねる母の分も買い)合計8つ購入しました。
そこで私は水まんじゅうを選びました。
このお店は”餅匠”と言っているだけあって大福がやはり一番人気の商品です。実際に店内に入るまでは、見た目も鮮やかな濃いピンク色の餅に包まれた、フランボワーズ大福を買いたいと思っていました。
しかしこのキラキラした、涼しげな食べ物に目を奪われてしまいました。
「どんな味がするんだろうか?」「食べたときの触感は?」と、気になって仕方ありません。
気づけば私は水まんじゅうを2つ選んでいました。
どこかの美しい水面を閉じ込めたような、水のせせらぎが聴こえてきそうな情景がその水まんじゅうにはありました。
家に帰ると、お気に入りのお皿に水まんじゅうを置いて私と妹の水まんじゅう撮影会が始まりました。
しかし、あまりの美しさに写真を撮ってもきりがありません。どうすれば透明感がより伝わるか、ライトをあててみたり、表面のツヤ感をみせられる角度を追求してみたり、食べることそっちのけです。
しかし食べ物、食べることに意味があります。なんとか撮影を終えて、スプーンを入れました。
切り込みから、薄っすらと閉じ込められていた水分がすうっと染み出てきます。
口に入れると、うっすらとした美味しい水の甘さのような味が口の中を流れます。弾力はなく、水のように流れていきました。なぜあの形になっていたのか、不思議なくらい、口に入れると流れていきます。
まんじゅうの中に入っていた花があるので、咀嚼している感じはありましたが、それも小さなものであっという間になくなってしまいました。
この水まんじゅうには、美容によさそうな、よくわからない横文字の成分が入っていたので皿にたまった水分もいただきました。
うっすらとした優しい甘さと、口に入れるとするりと溶けてなくなり、夏の暑さの中、山の川べりにある、涼しい木陰に座っているような気持にさせてくれました。
食べ物自体はアイスほどひんやりしていませんが、アイスよりも涼を感じ、夏を感じる食べ物でした。
今年は冷夏ですが、一度しかない夏です。
餅匠しづくの水まんじゅうのように、体を冷やさなくても、夏を満喫できるひんやりした食べ物にまた出会いたいです。
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