編集
豊田きいちさん
1925年生まれ。1949年に小学館に入社。1959年に日本初の週刊少年誌となる『週刊少年サンデー』を創刊、初代編集長に就任する。その後、出版部長、取締役を歴任。1984年に小学館を退職。その後、日本児童教育振興財団専務理事、日本ユニ著作権センター代表理事に就任。2013年1月10日、急性心不全により急逝[1]。87歳没。
『編集』という本を読んだ。
著者である豊田さんの話は、全て人生の重みがあった。豊田さん自身の過去の行動や他者の失敗事例、それにまつわる教訓。読者になにか行動を起こさせるものでなく、訥々と語りかけられる。
この『文章心理学』は、ボクが、そばに置いておきたい本のヨウテイ(要諦)である。人には、一生気になって、おんぶオバケのようについて回る本がある。
ヨウテイという言葉は現代の人には少し難しい。
しかし簡潔であり、他の解釈をしなくてもよい言葉選びである。そしてその言葉を選んだ後に「おんぶオバケ」を出してくるのである。
少し難しい言葉と、俗っぽい言葉選び、知識の幅広さがすぐに伺える文章だ。すぐに敬意を払いたくなるような、人だなと感じた。
そんな豊田さんは、良い企画を立てられる人がいい編集者だと言う。いい編集者になるために、差別化をおこなう必要があるらしい。
「差別化」というのは
他者との違いを出していくこと、他社と自分を区別することである。一般的に「個性」といわれている。著作権法で、著作物は「思想または感情を創作的に表現したもの」と定義されている。
とおっしゃっていた。
そして差別化に必要なのは「連想能力」であるらしい。
連想能力に必要なのは、豊富な語録である。語録を増やすということは、雑読・雑学で媒質すること。そして、言葉を粗末にしないこと。
今、私はデザイナーとして雇ってもらっている。視覚表現や視覚をとおして人に情報を伝えることを、商売道具にしている。私にとって豊田さんの言葉は、表現を粗末にしない。そしてさまざまな視覚表現を見て、学ぶことが大事である、という風に置き換えられるように思う。
現在、私はデザイナーとしてペーペーの新人で、ふがいなさを感じることも多い。そんな私にこの先仕事を依頼したいと思ってもらうため、この先どうするべきだろうか。偉大な先輩デザイナーの方々と私を差別化するための武器は、なんだろうか。
ここから、私というデザイナーが個性を持つために、行う必要のある行動はなにか。高校では工芸に触れ、大学では製品デザインに触れ、社会人1年目ではwebデザインに触れた。学生がお金を出して臨むファッションショーにも服を作って出したことがあるので、少しだけファッションに触れてもいる。しかし、触れただけという感覚が消えない。
もっと経験から学べることがあるはずだ。と、最近よく思う。
そのためには毎日、新聞を読んで切り取るような、地道に摂取すること、磨くことが大事なのだと改めて感じた。あきらめず日々蓄積すること。それがいいデザイナーになる連想力を身につける一歩となる。
最後に、私は本を読んでいる最中、著者はご存命だと思っていた。しかし、6年も前に、会うことのできない人になっていた。しかしこの本を読むと、面識のない私でも、生きている豊田さんにお会いすることができる。
機会が生み出せないことは残念で仕方ない。しかし、この本を繰り返し読み、豊田さんが大切にされていた言葉を、深く味わおうと思う。
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