よかった探しは現実逃避?
フランダースの犬やアルプスの少女ハイジで有名な世界名作劇場の中でも、たぶんそこまで有名ではない『愛少女ポリアンナ物語』。
わたしが小学校低学年のときに、夕方にBSかNHKかで再放送をしていて、ものすごく楽しみにしていた。
『愛少女ポリアンナ物語』は、お父さんが突然亡くなって、親戚のおばさんの家に引き取られることになったポリアンナという女の子が主人公。
そのおばさんがそれはそれはいじわるな人で、ポリアンナに冷酷に当たり散らすのだけど、ポリアンナはまったくへこたれずに、どんなにいじわるをされても喜びを見つけだして、「よかった」に変える「よかった探し」が大得意。
父さんが遺してくれた「よかった探し」はポリアンナの支えだった。
しかし物語が進んで、ポリアンナは事故に遭い歩くことができなくなってしまう。
あまりにも絶望的な状況に、よかった探しができなくなったポリアンナを、今度は周囲の人たちが助けようと変わっていく…という感動ストーリー。
おばさんに汚くて暗い屋根裏部屋を与えられると、ポリアンナは「まあ!屋根裏部屋ってすっごくわくわくするわ!それに自分のお部屋が持てるなんんてすてき!わたしここに来ることができて本当によかったわ!」とおばさんに抱きつく。
粗末なパンを与えられても「わあ!ありがとう!わたしパンが大好きなの!それにミルクまであるなんて最高!」とニッコニコしている。
ポリアンナの斜め上の切り返しが当時のわたしにはものすごく面白くて、ゲラゲラ大笑いしながら、戦隊モノのように、いけいけ!と思いながら見ていた。
子供特有のサイコパス的な面にちょっとうわあ…となる。
ぜんぜん笑えるストーリーではないし、痛快さを楽しむアニメではないと思うのだけど…
かわいそうなストーリーを見て笑えてしまうマインド自体がポリアンナ的で、小さい頃からそういう特性は持っていたのだと思う。
このごろ、コンプレックスや負の感情を原動力に努力をする訓練をしてきた人には、どうやったって敵わないなと思う。
仕事でも日常でも、いつも落ち着いていて、魅力的で、尊敬と憧れでクラクラする。
わたしはしんどい時に、しんどいと受け入れることができない。
できないことにいちいちショックを受けて、ありのままを原動力にする力がない。
つい、よかった探しを始めて、つまりは自分の感情や今を否定して、大丈夫大丈夫と言い聞かせてしまう。
エネルギーがあったときは、よかった探しをして前に進めたけれど、エネルギーがないときは、よかった探しのあとでどうしようもないほどむなしくなる。
それでまた同じ負の感情がむくむくと襲ってくる。
なにやってるんだろう馬鹿みたい、なんて、思ってしまう。
この記事を書こうと「よかった探し」と検索をかけると、「ポリアンナ症候群」なんて言葉がwikiにあって、グサッときた。
ポリアンナ症候群(ポリアンナしょうこうぐん、英: Pollyanna syndrome)は、心的疾患のひとつ。ポリアンナイズム(Pollyannaism)とも。現実逃避の一種で、楽天主義の負の側面を表すもの。
でも、とwikiは続く。
しかし由来となったポリアンナ自身は自己満足や現実逃避のために「よかった探し」をしているわけではない。<中略>具体的には、ポリアンナが父の死という絶望的な状況にうちのめされたまま無為に過ごすのではなく、身の回りで自分に優しくしてくれる人達の存在に気づき、そのことを喜ぶ(存在していることに感謝する)などの描写を追加することで、「よかった探し(Glad Game)」が自らに起こった絶望的な状況を受け入れつつも生きるための勇気を出すためのものであることを強調している。(Wikipedia「ポリアンナ症候群」より)
どうやら原作とアニメ版は描き方が違うよう。
「この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です」と書かれたwikiに、何度もうなずきながら、救われたような気持ちになった。
どんな状況でも、よかったなと思えることはある。
たくさんの人に支えられて、いろんな幸運が重なって、いまもこうして生きていて、それだけでありがたい。
生きている限り、「よかった」は絶対にあるし、よかった探しをしようと自然と気持ちが向いていくのは、ちゃんとわたしの中の生命力のようなものが、生きろ!!!と背中を押しているからなんだろう。
これが勇気というやつか。
よかった探しが現実逃避になってしまうのは、それは、無理矢理にでもよかったを探そうとしてしまうとき。
現実を受け入れた時、よかったは自然と湧いてくるものなのだと思う。
よかったな、のあとに、でも…と気持ちが浮かんできたら、それはそれでそのまま保留。
自然とよかったが探せる日まで保留にしよう。
感情や現実を受け入れないと永遠に同じ場所から抜け出せない。
わたしはずっとポリアンナのようで、それでうまくやってこれたのはとても幸せなことで、良い特性でもあるのだけど、現実は一つのやり方だけじゃ乗り越えられない局面がある。
だから、しんどい!。それはそれでいいんだと思う。
しんどいときは、しんどいって思っていいんだな〜って分かってよかったな、なんて、またよかった探しがはじまる自分がおもしろくて仕方ない。
大人になった平成のポリアンナは、自分が思うよりたくましかった。
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