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17.小さくて弱いブランドが 大きなブランドや企業と 戦っていくには

ステージをあがるための戦い方
自分の商品のことしか知らないで「良い商品ができました」ってお店に売り込んでも採用になることは少ないでしょう。あなたの商品を取り扱ってもらう以前から、既に大手企業や先輩ブランドの商品が扱われているのです。ライバルになるブランドや商品を知って、どうすれば採用されるのか作戦を立てましょう。ここでは、大切に育ててきたブランドをさらにステップアップさせるための手法を紹介。冷静に現状を分析し、作戦を練りましょう。

テーマ23:戦略を考える

◆大手や既存ブランドとの戦い方

大企業は、知名度・品揃え・営業力・顧客数など総合力で強みを持っており、多くの顧客にコストパフォーマンスが優れた商品を提供することができます。
それに対してクリエイターや小企業は、大企業の弱い部分に焦点を当てて差別化で戦うしかありません。大企業が手がけていない商品や販路などのニッチ(すきま) を狙いましょう。小さい市場に利益率の高い商品を提供して戦うのです。
小企業のブランドが人気になって売り上げが伸びてくると、小さい市場という局地戦においては大企業のブランドに善戦できます。

しばらくすると、大企業は小企業のブランドと同じようなコンセプトや商品特長を持つ新規ブランドを打ち出したり、既存ブランドの性格づけを修正したり。いわゆるコピー商品を出すこともあるでしょう。
すると、小企業の唯一の武器であった差別化ができなくなってしまいます。同じような商品が売り場に並んでしまった場合、知名度・品揃え・営業力・価格・ブランド力などで勝る大企業の商品のほうが売れるのは当然です。
つまり、差別化を消していくことが大企業の戦い方といえるでしょう。

大企業に負けないためには、大企業の弱みと小企業の強みをしっかり把握し、どこで戦っていくかを見極める必要があります。
自分のフィールドを再確認してみてください。そして、さらなる差別化商品を開発するのか、顧客やバイヤーとの関係を強化するのか、商品の知的財産権を法律で守るのか、早期に「本家商品」という性格付けを構築するのか……。このような対策を立てていくのです。

ブランド的に考えれば、最終的にはお客様をどれだけ集めるのか、どれだけ好きになってもらうのかが勝負です。大企業と小企業、どちらが顧客の求めるものを提供できるかにかかっています。

◆一点突破

強者と弱者がそれぞれどのように戦うかという原則についてまとめられたランチェスター戦略というものがあります。これを簡単に言えば、市場シェアが高い強い企業は「包囲して総合力で弱者を負かす」。シェアが低い弱い企業は「一点突破の局地戦で強者の弱い部分を狙う」ということ。
大企業といえど、すべての面に強いわけではありませんから、大企業の弱いところで1対1で戦うというのが弱者の原則なのです。

当然のことですが、弱者と強者の位置づけを間違えて戦略を取っても勝てません。自分が弱者か強者かの判断を間違うことは命取りです。ビジネス雑誌や新聞などのマスコミは、多くの場合大手企業の戦い方しか紹介しませんから、そこに掲載されているのは強者の戦い方。それを中小零細企業がマネして戦おうとしても、資金力や企業力がないので失敗します。資金をかけすぎて会社そのものが成り立たなくなることさえあるのです。

弱者は、とにかく一点突破が基本。どの一点に絞るかがビジネスの成否をわけます。ほかはダメでも○○だけは強いというものがなければなりません
一点突破できるのは、他社との十分な差別化ができているということ。ですから、利益率も高いビジネスになり、差別化ができているために固定客もつきやすく、ブランド化しやすいのです。

小さな会社でもついつい「自社はアレもコレも得意だ」といい点をたくさんアピールしたくなります。アピールしないともったいないと考えてしまうのでしょう。
絞り込むのは怖い、もったいない、力を弱めてしまうと考えてしまうのも仕方がないかもしれません。でも、弱者なら特長を絞り込む一点突破しかないのです。絞り込みをしなければ、特長がぼやけ、すべてが平凡でどの点をとっても強者のほうが優れていると判断されてしまいます

強者の戦略を取れるのは市場シェア上位の企業だけ。つまり、ほとんどの場合は弱者の戦略を取ることになります。

◆売場での自社ブランドの役割を知る

ファッション市場は、既存の取引先ですでに固まっています。
実力のある企業が、優秀なデザイナー・高品質低価格の縫製工場・小売店に密着した営業マンという陣営で戦っていますから、新規ブランドは導入されにくいでしょう。しかし、小売店にとっては、いつでも同じ商品ばかりでは売場が陳腐化してしまいます。そこで、品揃えの幅を広げる目的やアクセントになる商品を求めて、新規ブランドに声がかかるのです

新規で取り扱ってもらうのは、すでに売場に置かれている商品を追い出し、自分の商品を置いてもらうのだと理解してください。少ないチャンスを活かすためには、売場をしっかりリサーチして研究し、ライバルの姿を知らなければなりません。

特に「デザインはシンプルでシルエットの良さで勝負、縫製のクオリティで勝負」というブランドは、大手企業の得意分野との真っ向勝負です。自社商品の強み、他社商品との違いを打ち出せなければ、勝利はありません。かなりのレベルが求められます。
逆に、大手ではできないクラフト感覚や遊び心など、ひとつのテーマをとことん追求したこだわり商品のほうが勝てる可能性は高いでしょう。

もし取り引きが始められても、その後のリサーチも必要です。他社商品と比べることで、自社商品の弱い部分を知って商品の改良に活かしましょう。



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