医師の勉強録;女性が宇宙に行くために。生理=menstruationはどうなっているの?
妊娠は、宇宙飛行だけでなく多くの飛行前訓練活動にも禁忌事項
であるため、避妊が不可欠です。
医学的に誘発された無月経の宇宙飛行関連の利点は、
宇宙飛行士の訓練スケジュールの時点によって異なります。
長期間の任務の間、女性の宇宙飛行士はしばしば無月経を誘発するために
経口避妊薬を継続的に服用しました。
長時間作用型の可逆的避妊薬(LARC)は、
地上で無月経を医学的に誘発する安全で信頼性の高い方法ですが、
現時点では、女性の宇宙飛行士によって広く使用されていません。
LARCを使用した場合、経口避妊薬を毎日服用する必要はなく、
ゴミを処分する必要はありません。
軍事研究によると、女性職員の大部分が配備中に無月経を望んでいます。
宇宙飛行士は、軍人と同様の厳しい条件にさらされており、
これらと類似点な結果が予想されます。
女性管理職の比率増加、DEI、フェムテック、、、
女性管理職の比率増加政策、DEI、フェムテックなどが
ホットな話題となっています。
近年、女性における社会問題として重要なものの1つに
生理にどのように対応するかということがあると思います。
地上においても課題解決に取り組んでいる最中とは思いますが、
宇宙に行った場合、生理がどうなるのか、どう対応するのか。
非常に重要です!!
そもそも生理=月経って?
生理とは、約1ヶ月に一回ある、
妊娠準備のために厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、
腟から血液と共に出て来てくる現象のことを言います。
ホルモンの分泌(脳下垂体と卵巣からの)には一定のリズムがあり、
一連の現象をを生理周期と呼びます。
卵胞が育ち始めて、排卵するまで約2-3週間、
排卵から月経開始までは約2週間です。
周期は月経の初日から次の月経開始の前日までの期間で、
25日〜38日、その変動は6日以内とされ、これを正常周期と呼びます。
月経困難症(月経期間中に月経に伴い症状が起こることです。 具体的には、
月経痛、腰痛や腹部膨満感、嘔気、疲労、いらいらなどです)
や月経前症候群
(月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、
月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。)
などに加えて、
生理用品の準備や心理的負担などいくつもの課題があります。
下記に生理のこと含め「性」に関するわかりやすいサイトを
載せさせていただきます。
・TENGAさんが運営、セイシル
https://seicil.com/
・家庭でできる性教育サイト「命育」
https://meiiku.com/howtonavi_category/yoji-boy/#howtoNaviList
・SEXOLOGY - 性を学ぶセクソロジー
https://sexology.life/
避妊の方法とピルの種類
https://www.hinin-style.jp/contraception/index.xhtml
https://www.yokosuka-clinic.com/pill-type
上記のような多様な種類の解決策が提案されており、
目的やリスクベネフィットに応じて、専門医と相談しながら
決定していくことが望まれます。
欧米では長時間作用型避妊具が近年使用頻度増してきており、
その流れが日本にも来る可能性があります。
生理をコントロールする一般的なメリット
・避妊の効果
・月経過多や子宮内膜症などの婦人科疾患、遺伝性出血性疾患など症状緩和
・試験中、特別な休日、スポーツの試合の日、
重要な仕事日に重ならないようにしてパフォーマンスを上げる
・以上からQOLの向上が見込まれます。
生理をコントロールする宇宙でのメリット
・避妊効果が可能
・ISSにある尿から水を回収する廃棄物処理システムは、
月経血を処理するように設計されていない
・宇宙飛行中は水が限られており生理の場合の対応が困難
・生理用品の廃棄物の処理の問題が減る
・任務遂行確率の上昇、QOLの改善
など多数のメリットが言われています。
NPJ Microgravity. 2016 Apr 21;2:16008.の図表を改変
女性宇宙飛行士に対して、宇宙行われている生理対応
継続的な経口避妊薬の継続
地上で一般的に使用されているピルを連続して使用する方法です。
地上では内服後に休息日(もしくはプラセボ内服期)があります。
しかし、宇宙での使用ではこれを6ヶ月連続で使用します。
利点は宇宙飛行での使用実績はふんだんにあること、
中断が比較的容易なことなどがあります。
欠点としては、毎日の内服が必要であること、
包装紙などのゴミが出ることなどです。
長期の宇宙探査では大量の薬剤が必要になること、6ヶ月以上の
使用に対する有効性と安全性の担保ができてないことなども課題です。
子宮内避妊装具
子宮へ銅などがついた装置を入れることで避妊します。
利点は毎日の内服から解放されること、ゴミが出にくいこと、
他の婦人科系の困りごとを解消することに役立つなどです。
欠点は状態悪化の際に外科的対応が必要になる場合があること、
痛い場合があること、挿入当初に出血があることなどです。
宇宙での使用はまだされておらず、微小重力環境で
臓器損傷を起こさないか、ずれることで効果が減弱しないか、
経皮投与
利点は毎日の内服から解放されること、
ゴミが出にくいこと、などです。
欠点としては、皮膚にダメージがいく場合あることです。
また宇宙での使用の場合、船外活動時などで
服によってずれるなどの懸念もあります。
感想
以上宇宙における生理の対応について調べてみました。
知らないことばかりで驚くとともに、女性が生理で苦労していることも
改めて感じました。
今後生理を上手に制御する技術が発展していけば、
宇宙へ行くことも、含めてより良い社会に繋がると思いました。
【参考引用資料】
NPJ Microgravity. 2016 Apr 21;2:16008.
http://www.jaog.or.jp/qa/youth/%E6%9C%88%E7%B5%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%A6%E4%B8%8B%E3%81%95%E3%81%84%E3%80%82/
https://www.mochida.co.jp/woman/disease/dysmenorrhea/comic/
TENGAさんが運営、セイシルhttps://seicil.com/
家庭でできる性教育サイト命育https://meiiku.com/howtonavi_category/yoji-boy/#howtoNaviList
SEXOLOGY - 性を学ぶセクソロジー https://sexology.life/