肉生産(畜産)と環境問題 代替肉の前に
飛行機、自動車、鉄道から排出される温室効果ガス量をも上回ってしまう、強力な排出源をご存知でしょうか???
私もつい最近まで知りませんでした。
実は、畜産によって排出される温室効果ガスは、、、、。
その他にも、水や土地の消費、環境問題への影響は計り知れません。
畜産で大量消費される資源と環境への影響を今回は解説していきます。
一応事実の部分をなるべく抽出してきました。自分自身も肉は食べますし、好きですし笑。ただこういった問題があがっていて、取り組んでいかないとどエライことになる、、、、ということは知っておいて損はないと感じています。
水、穀物、土地、エネルギー資源の消費
●まずは水についてです。
全世界の淡水量の約30%が畜産に消費されています。驚きの数字です。より具体的には、牛肉1Kgを作るために必要な水は20000L、豚肉1㎏を作るために必要な水は 5,900L 、鶏肉1㎏を作るために必要な水は4,500L、卵1パックを作るために必要な水は1800L、牛乳1リットル作るために必要な水は550L、トマト1㎏に必要な水は200L、米1㎏に必要な水は2500L、パン1㎏に必要な水は1600Lなどと言われています。肉を作るとなると使用する水の量が爆増することがよくわかります。
●次は餌である穀物についてです。
家畜に供給される穀物は、貧困に苦しむ人口が多い途上国で栽培され、そのような穀物で育った家畜は、先進国へと輸出されるのです。世界中の穀物の50%程度が、家畜に供給されていると言われています。加えて飢えに苦しむ人達が、穀物を家畜のために育てているという現実もあります。極めつけは、家畜への穀物がもし人間に供給されるのであれば、100億人の人口を養える!!!という研究結果が発表されていることです。トウモロコシで換算すると、牛肉1kgあたり11kgのトウモロコシ、豚肉1kgあたり7kgのトウモロコシ、鶏肉1kgあたり4kgのトウモロコシ、卵1kgあたり3kgのトウモロコシが消費されています。
●次に畜産による土地の占有状況です。
家畜または家畜の飼料を育てるための土地が凍土をのぞいた地球上の土地のなんとなんと、1/3程度を占めています。また、家畜を飼育するための放牧地や飼料用作物の栽培に使われている農地は、地球上に存在するの80%以上です。どの程度の土地が畜産として利用されているか。無自覚だったので非常に驚きました。
●最後にエネルギーについてです。
エネルギーについて牛肉1kgで26000000W-33000000Wほどのエネルギーを消費すると言われています。どの材料で、時間がどの程度かまでは不明ですが消費電力量とすると膨大なものとなりそうです。
畜産と環境問題
畜産が引き起こす環境問題畜産が引き起こす環境問題畜産が深く関係している環境問題について5つピックアップします。
●まずは、温室効果ガスの排出についてです。想像をはるかに超える結果となっております。
まず、畜産業で出るメタンガスは人為的に排出していものの30%以上を占めています。有名なところだと家畜のオナラやゲップです。オナラやゲップの中にあるメタンは二酸化炭素の20倍以上の温室効果を有するため、大きな影響力を有しています。加えて、餌を確保するための輸送時や商品として輸送する際にも膨大な温室効果ガスが排出されます。畜産は、地球上の温室効果ガス排出量の15%程度を占めており、これは車、船、飛行機などの輸送機関が排出するガス量を上回っているのです。この状態を放置していると、2050年までに温室効果ガスの52%が農業由来、そのうち70%が畜産による排出になってしまうと言われています。
●次に森林破壊についてです。
アマゾン森林は地球の酸素収支の1/3を担っています。そして、熱帯地域 から遠く離れた場所の降雨量を変えるほどの影響を与えます。なんとアマゾン破壊の90%以上の原因が畜産です。また、毎秒サッカーグラウンド1つ分の熱帯雨林が、畜産のために伐採されているという事実もあります。また、森林破壊は、環境に関わる問題だけではありません。なんと、土地を保護するために活動している土地活動家が何人も殺害されてしまっています。このように森林破壊だけでなく、人権問題にまで波及しています。
●次に動植物の絶滅という課題も、深刻化をたどっています。
熱帯雨林の破壊により、毎日最大100種程度の動植物が絶滅していると言われています。また家畜を保護するために、害獣、害虫などとして野生動物を殺害してしまうということもあります。日本でも昆虫の減少や固有種の絶滅問題が懸念されていますが、まさにそこと繋がる部分があります。
●次に水質汚染の問題です。
家畜のふんや尿に汚染された水を放置、流出させることにより、細菌が増殖して水が汚染される場合があります。これは生態系が破壊され人間以外の動植物に影響があるだけでなく、人間の生活水にまで影響を与えてしまう可能性があり、他人事では全くありません。加えて土壌汚染は水質汚染と並行して起こっています。
●抗生物質などの薬品使用の問題もあります。
畜産動物への抗生物質投与には家畜の健康を守り安全な食品の安定生産を確保する上で重要な資材です。しかしながら、その使用により選択される薬剤耐性菌による人の医療や獣医療への影響のリスクも常に存在しています。
そのほかの問題
土地や食糧不足による貧困飢餓問題の悪化、畜産動物の権利福祉問題など他にも多くの問題があります。
最後に
以上が今回調べてまとめてみた内容です。本当は代替肉のことを書こうと思っていたのですが、こちらのボリュームが多すぎて単体でまとめることにしました。こういったことを知ると、世界や人の見方が変わり、自分が変わり、社会が動いていく気がします。
【参考文献】
・Science. 2018 Jun 1;360(6392):987-992. 水穀物使用量など元文献
・https://www.env.go.jp/water/virtual_water/kyouzai.html バーチャルウォーター量自動計算
・日本における飼養方法を基にしたとうもろこし換算による試算:農林水産省作成
・畜産業から生じる諸環境問題 ―我々が地球温暖化と環境汚染の解決に貢献できる方法― Nina Habjan(ハビャン・ニーナ) 東京大学人文社会系研究科文学部欧米系文化研究専攻現代文芸論研究室(スロベニア)
・世界の農林水産 2012年夏号(通巻827号)
・世界の農林水産 2014年秋号(通巻836号)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?