【判明】やはり私は一般人だった。
「出版区」 には出られない。
皆さんは「出版区」というYouTubeチャンネルをご存じだろうか。
有名人に一万円を渡す。その資金をもとに、本屋をぶらついて何を買うか――その人の頭の中――を覗き見るという趣旨の企画。
登録まではしていないものの、時折、なんとなく気になった方の買い物を見たりしている。
個人的には、有名人より、普段から読書をしている方の方が、登場していて興味を惹かれる。
なぜなら同じ、「読書家」という土俵の上だから。
僕も、彼らと同様の熱量をもって話したり、読んだり、何時間でも書架の間を巡ったりする。
しかし休日に目的もなく本屋へ行ってみると、驚きのことが分かった。
芸能人と、一般人とはこうも違うものか、と。
なぜ私はゲストになることが出来ないか。
際限なく購入本を決められない。
家にある積読のことを思い出してしまう。
見栄で選書していないか考えてしまう。
その資金が、自他いずれであろうとも、本屋の外にある「現実」が強く作用するのだ。
一方で、どういった形であれテレビや映像に登場し馴れている人は、さくさくカゴへ入れていき、ついには予算オーバーさえする事も多々ある。この差こそが、私と彼らを大きく隔たる壁の正体。
なるほど編集はなされているだろう。
あくまでも動画“コンテンツ”なわけで、視聴する上で、楽しませる工夫はなされているはずだ。
芸能人は多忙だと聞く。売れっ子でないにせよ、テレビが本業でない人は、むしろテレビ収録以外の時間で勤めているのだから、我々と同じ、もしくはそれ以上働いているはず。
それでも、並々ならぬ量を買っていく様は、確かに見るに値する。
私には出来ないからだった事に、ようやく当事者意識を持つことで気づかされただけなのだ。
人に見せる、人を魅せる。それが一般人との最大の違い。
彼らが実際に、その本を読んでいるのかどうかも気になる。
読書術時代から、本を買う“技能”を知る時代へ
しかし、この事から重要な点は、読書離れと言われる昨今だが、本を買うことすら、簡単ではない・・・・・・これが残酷な事実なのだ。
もはや、読書をしている人が賢く、上位層になれるとうたっていた自己啓発の時代は過ぎ去った。
オススメも、事前情報もなく、人は本屋の中から偶然の一冊を選択できるのか。
この疑問に、アルゴリズムや社会学などで答える領域から離れようとしている。もはや「思考実験」というまな板の上にあるべきものだ。
ちなみに僕の場合、紙で所有することへの若干の抵抗感も定着してきたのも原因のひとつ。
そして、最後のポイント。見栄。
僕は比較的、他人からどう思われようが気にしない派に近い。
だが、他者に資金を貰い、その上、動画コンテンツ化されるとなると、どうしても見栄が発生していないか気になってしまう。
見栄で買った本は、往々にして積読のままになる。
そして、家にある積読を想う、このスパイラルが僕に一万円分の本を買わせないのだ。
もしかすると、出版区の効能は、有名人の頭の中を覗くことでもなく、オススメ本・話題本を知る訳でもなく、積読への戒めにあるのかもしれない。
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