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100年の孤独/放哉に想う〈Vol.36〉

たつた一つ残つてゐる紙鳶に青空ある

尾崎放哉全句集より

鳥取の町を歩いていたとき、ふと見上げると一羽の鳶が大きな輪をかいていました。山陰特有の重たい雲の空の下で。しばらくすると鳶は、海のある北の方角へと飛び去って行きました。
鳶が自由に舞う空のように、放哉にとって残された紙は自由と孤独を表出する”場”であったのでしょう。

1885年(明治18年)、現在の鳥取市吉方町で生まれた放哉は、第一高等学校法科(東京)に入学するまでこの地に暮らしていました。残された書簡などをみると、どうも放哉は故郷鳥取の地を好んでいなかったようです。





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