「マーケットはやっぱり楽しい‼︎」
先日、東京青山の「青山ファーマーズマーケット」に参加させていただいた。
自分が作ったもの、伝えたいことを、自分の声で直接説明できるのがすごく楽しい。
オンラインショップでは、綺麗な写真や文章でできる限り伝えようとするけれど、その言葉の温度感まで伝えるのはなかなか難しいから…。
作った人(生産者、加工者)と使う人(消費者)が直接会話できるのが心地いい。
若い時からこういうマーケットが好きで、ヨーロッパで働いていた時や、国内外の旅行に行った時も、その土地の「マーケット」「マルシェ」によく足を運んだ。
【フランス、パリでの蚤の市】
アンティークの器や置物、フランスメーカーのノベルティグッズなどが所狭しと並べてあって、見ているだけでもワクワクして楽しい。
現地の人との会話を楽しみたいから、「ボンジュール!」と話しかけるも、
「コンニチワ!」「ドウデスカ?」と返される…。
「ニンジャ!」「スシ!」
いや、関係ないやん!
大都会のパリでは日本人観光客も多く、日本語を得意気に話すフランス人も多い。
フランス語で値段交渉や、あれこれやりたいのに…(笑)。
【アメリカ、シアトルでのファーマーズマーケット】
スタバの1号店の近くでは旬の野菜や果物、魚介類がたくさん盛られたマーケットが開かれていた。
旬のチェリーを試食している人もいる。
が、その量がひとつやふたつではない。
店の人と楽しく会話しながらバクバク食べている。
いやいや、そこまで食べてたら試食ちゃうやん…。
まあ、店の人も気にしてないみたいだし…いいのか、これで。
これは海外あるあるで、
パリのショコラトリーでもサービスのきれいなパリジェンヌが、商品のキャラメルを全種類試食させてくれた。(まんまとその何倍も購入してしまったのだが…)
日本ではなかなかここまで思い切った試食はできないし、させてもらえないよね…。
【ベルギー、ゲントでのフラワーマーケット】
20代の頃、ベルギーのゲントという街のパティスリーで働いていた。
ゲントでは4年に1度開催される花の博覧会「ゲント・フロラリア」が有名だ。
僕が住んでいた頃にもちょうどその博覧会が行われ、街中がお花で飾られる雰囲気を大いに楽しんだ。
なんと路面電車もお花で飾られるのだ。
そんなお花文化が盛んなこの街では、毎週末にフラワーマーケットが開催されている。
働き始めて1ヶ月くらいたった頃だろうか。
厨房に住み込みだった僕の世話をしてくれていたシェフの奥さん(マダムと呼んでいた)に、感謝の気持ちを伝えるためにお花をプレゼントしようと考えた。
(恥ずかしながら普段の洗濯物もしてもらっていた…。大きな子供だね…)
週末の夜勤を終えた日曜日の朝、フラワーマーケットで小さなブーケを買った。
誰かを想って花束を買うなんて、この時が初めてじゃないかな…。
マダムは朝の接客で大忙しだろう。
日曜日の朝はパンを買いにくるお客さんが平日よりも多いのだ。
カフェでコーヒーを飲みながらちょっと時間をつぶし、店に向かった。
店に入るといつもの笑顔でマダムが迎えてくれた。
「おはよう!ユースケ‼︎ サヴァ?(元気?)」
「おはよう!マダム‼︎ サヴァ!(元気だよ!)」
「はい、これプレゼント。いつもありがとう。」
花束を渡すとマダムは一瞬固まり、その直後ボロボロと涙を流して泣き始めた。
おいおい…。
まさかの反応に驚いたが、僕の感謝の気持ちは伝わったようだ。
日本人に比べて海外の人は感情表現が豊かだ。
喜怒哀楽、言葉だけじゃなくて表情やジェスチャー、相手にちゃんと伝わるように表現してくる。
これはとても大事なことだと思う。
海外で働き始めて言葉が不慣れな中、僕もなんとか相手に気持ちを伝えるために、表情や体の動きも大きくなっていった。
だって海外では、伝わらなければそこにいないこととされてしまうから。厳しい…。
コロナ禍でみんなマスクをして、オンラインミーティングなど直接話す機会も減っている。
だからこそ目の表情、言葉の抑揚、身振り手振りが大切だと僕は思う。
嬉しくて感謝しているのに相手に伝わらないのは悲しい。
辛い思いをしているのに気づいてあげられないのも悲しい。
少し話がそれたな…。
僕がモノの価値を伝える手段として、真ん中に置きたいのはやっぱり直接話をすること。
ここは絶対に外したくなくて、その次に文章であったり、写真であったり、商品の見た目であったり、味であったり…。
だからファーマーズマーケットというのは、自分にとってとてもしっくりくる大切な場所になっていくと思う。
次回のマーケットには何を持っていって、何を伝えようか。
今からワクワクしている。
ベルギーでのマルシェの話はこちら↓