改めて、シュウマイの知られざる8つの価値。
※この記事に絡む「シュウマイ第7世代」について書いたこと、また、(6)の多様性の箇所について追加要素があったので、追記しました。改めてご覧ください(2020年9月7日)
先日の日本シュウマイ協会の設立に対し、予想以上に多くの方から激励のコメントをいただきました。そして早速、「シュウマニスト」「シュウマイ応援団」申し込みをいただいています。もしかしたら、気持ちはすでに「シュウマニスト」と思っている方も多いでしょうが、一応協会のサイトから申し込みをいただけると、まだ未熟な事務局体制での管理が大変しやすくなるので、ご協力いただければと思います。とにもかくにも、まだ何も決まっていない中での船出の、大きな心の支えになっております。
▼日本シュウマイ協会 ホームページです。お申し込みはページ最後。改めて、みなさんのご参加をお待ちして今いまシュウマイ。
https://syumai.life/
さて、協会設立に際して、改めて「シュウマイ」の知られざる価値?いや、個々に気づいている人は意外といるのですが、まとまった形で語られる場はほとんどないので、改めてこの機会に集約してみます。これを読んで、シュウマイの魅力をより全体的、横断的に感じてもらえると、もっとシュウマイを愛する気持ちが強まるはずです。
(1)圧倒的知名度
シュウマイという料理を知らない人は、おそらく日本中にいないと思います。これ、当たり前のようですが…すごいことです。例えば、同じく点心系でありながら、若い女性を中心にシュウマイをしのぐ存在感の「小籠包」ですが、今でこそ誰もが知る存在であるものの、人気に火がついた当初は、知らない人もいたでしょう? しかし、シュウマイは時代を問わず、どんな料理か知らない人はいないはず。ただ、知名度があるのに小籠包など「若手」の後塵を排する悲しさがあるのですが…それがまたシュウマイの魅力でもあるのですが、後述します。
(2)冷めても美味しい
肉料理で、こんなこと、許されないでしょう?しかし、シュウマイは、ありなんです。だから、特にお弁当で重宝される。
前出の小籠包や餃子など、点心料理は熱々だから価値がある。冷めてお弁当に入れられて、喜ぶ人は想像しにくい。しかし、シュウマイは、弁当に入れられ、冷めていても、誰も文句は言わない。だって、それで美味しいのだから。
ただ、もともと中華料理で出されていた、いわゆる「先付け」で出されていたシュウマイは、冷めても美味しかったわけではなく、やはり「シウマイ弁当」で一世を風靡した「崎陽軒」が、スタンダードにしたと推測されます。その後、冷凍食品メーカーもその価値に気づき、お弁当のお供として全国的に定着させたと、私は分析しています。
(3)主役も脇役もいける=名バイプレイヤー
シュウマイは料理の脇役というイメージが強いかもしれません。中華料理でも「先付け」として用いられ、お弁当でも肉料理ながら二番手的扱いを受けることが多いと思います。が、ご存知の通り、シュウマイ界の東の王者であり、実質的には日本の絶対王者である「崎陽軒」の絶対的スター「シウマイ弁当」は、「シウマイ」が主役であり、それに異を唱える人はいないでしょう。また、「おうちでシュウマイのすすめ(1)|まずは東西王道を」で紹介した日本橋の老舗「小洞天」のシュウマイと海老シュウマイは、料理のメインとして納得のがっちりとしたボリューム、食べ応え、存在感です。最近のニューカマー(私は「シュウマイ第7世代」と呼んでいます→詳しくはこちらにまとめてあります)たちは、そのことを前面に出し、看板メニューに据えて提供しはじめています。
メインでも、サブでもいける。あえて俳優で例えると、名バイプレイヤーと言えます。直訳すると脇役ですが、あえてその力もある主役級の俳優、としておきましょう。
(4)他の料理の邪魔をしない
主役級の存在感を示しながら、他の料理との調和を乱さない、シンプルな素材と味付け。これは裏を返せば、脇役としても成立する実力を持っている、ということでもあり、(3)にも通じることでもあります。
そのことが顕著にわかるのが、「居酒屋」のメニューにおけるシュウマイの存在。和洋中多種多様のジャンルがひしめく居酒屋において、他の料理の存在感を邪魔せず、それどころか個性はさりげなく(ここが重要)主張し、ちょっと食べ応えある肉料理が欲しい時、思わず頼みたくなってしまう。餃子も居酒屋にあることが多く、同様に頼む方もいると思いますが…ちょっと個性が強すぎませんか?って、これは餃子の長所を踏まえての比較論ですので、決して否定しているわけではありません。
(5)地域性がある
シュウマイという料理の構成が、小麦粉の皮、豚肉、玉ねぎ、調味料が中心と非常にシンプルなため、作る人の個性も出やすい上に、作られる土地の食材や調理の傾向を反映しやすい特徴もあります。私は先の「第7世代」の前の「シュウマイ第6世代」として、この地域性=ローカルシュウマイが誕生したと分析しています。日本の食の多様性を、シュウマイを通して味わう。奥深いですね、シュウマイという料理は。
(6)ジャンルレス=なんでもあり
先に、シュウマイは「居酒屋」でも馴染む。と記しましたが、中華料理以外にも他ジャンルの店にある点も、シュウマイという料理の大きな特徴です。
中華料理でも「高級系」「町中華系」「点心系」と区分けすることができます。また、「居酒屋系」のほかに「定食屋系」もある。テイクアウトでも、崎陽軒のような「弁当屋系」と、スーパーなどでおかずの一つとして販売される「惣菜系」もあり。そして同じ惣菜系でも、古き良き商店街に残っている肉屋で売っている「肉屋系」も名品が目立ちます。ちなみに、「肉の万世」にサイドメニューにもシュウマイはあります。さらに、「洋食系」も存在し、先に紹介した「第7世代」のシェフは、洋食系が多く見られます。(4)の地域性を出した「ご当地系」も加えることができ、このなかに先の中華系の進化系と呼べる「ちゃんぽん系」もあったりします。
これほど幅広くひとつの料理が提供されることは、他では見られません。
この背景には、シュウマイの「なんでもあり」な要素があります。一応、シュウマイという料理の基本をまとめると「小麦粉の薄皮で、豚肉と玉ねぎの刻んで練ったものを包む」とされていますが、包み方も上を開けていたり、閉じていたり、グリンピースを乗せていたりいなかったり。中の具も鶏肉だったり牛肉だったり、海老だったりイカ、ホタテだったり、たけのこだったりキノコだったり。さらには、蒸すだけでなく「揚げ」、最近では「焼き」「水(ゆで)」まで登場。その「なんでもあり」の最高峰は、「具がない」シュウマイ。「おうちでシュウマイのすすめ(3)|ご当地シュウマイで旅気分」でも紹介した「コロリンシュウマイ」です。これを食べたら、なんでもシュウマイだ!と開き直れるはず?
(7)やさしさと哀愁
シュウマイは肉料理なのに、強烈な個性はなく、どこか控えめ。でも、しっかりと存在感がある。目立たないけれど、頼もしい。そんな人としての「やさしさ」に通じる魅力があると思うのです。それは、先の(2)(3)に通じるところがあると言えます。
何より、シュウマイという言葉自体、やさしい。濁音がない。言葉にして柔らかい。この言葉を発して、イライラする人、感情が逆なでされること、ないでしょう?
でも、こんなやさしい存在感のなかに、どこか哀愁がある。それは、高い知名度の割に料理としての人気が突き抜けない、これまたメジャーになる前夜の名バイプレイヤーの持つ哀愁に似ているように、私は勝手に感じています。
(8)崎陽軒という絶対王者
と、ここまで7つのシュウマイの価値の要素を語ってきましたが、それらをもっとも集約している存在が、「崎陽軒」という絶対王者です。
「昔ながらのシウマイ」という、その名の通り90年以上の歴史を誇る超定番は、小ぶりながら一度食べたら後を引き、また食べたくなる魅力がある。他にも「特製シウマイ」「海老シウマイ」「季節のシウマイ」と、シュウマイの多様性を維持し続け、多くの人にさまざまなシュウマイの魅力を啓蒙(?)し続けてくれている。
そして、絶対王者の絶対的エース「シウマイ弁当」は、おそらく読んできた方もお気付きだと思いますが、(2)(3)(4)の魅力が凝縮した逸品です。「シウマイ弁当」がシュウマイの価値の多くを作り上げてきたと言っても過言ではありません。すごいんです。この弁当は。
最近では、(7)も積極的に担い始めてくれています。最近ではGU×ケイタマルヤマとコラボしたTシャツを出したり、「シウマイ弁当」柄の冷感ブランケットを出したり。シュウマイがあれば、なんでもあり。今後の日本シュウマイ協会も、こういう自由なシュウマイの世界観を参考にしていきたいと思います。
https://www.gu-japan.com/jp/feature/gu-kmcollab/pc/
と、書いているとまた新たな価値に気づいたりしますが、それはまた次の機会に。逆に、新たな価値に気づいた方がいたら、遠慮なくご連絡を。
※そんなわけで、メイン写真は絶対王者の絶対エースです。最大の尊敬を込めて。
※第6世代、第7世代と勝手に書き始めていますが、この件も改めてnoteにて記したいと思います→こちらに書きました
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