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からだエッセイ 苦杯を空けて
私は貝類のアレルギーだ。20代の時、昼食に海鮮ラーメンを食べた真夜中、腹痛が起きた。
経験したことのない、胃から腹部にかけて絞られるような痛みだった。
3時間ぐらい汗をかきかき七転八倒して、お腹が空っぽになったと思ったら、痛みは徐々に引いていった。
以来、何度か同じ症状が出現するようになった。
当初は何が原因かわからず、痛みを繰り返すうちに、貝を食べて10時間以上たつと症状が出るとわかってきた。
貝類の加工品も駄目で、知らずに帆立入りのせんべいを食べた日に、症状が出て夜間救急病院で点滴をしたことがある。
貝を使う料理を食べなければよいのだ。以来、外食の時は危ないものは注文しないようにしていた。
一度、通りすがりの店で味噌ラーメンを食べて当たった。あとから調べると、その店はコクを出すためにスープに牡蠣エキスを入れていたらしい。
それからは、外食の時は、貝類のアレルギーだが食材に使っていないか確認してから注文することにしている。
高級中華料理屋で友人たちと会食した時のことだ。店員にアレルギーについて話すと、厨房へ問い合わせてくれ「使っていないのはチャーハンだけだ」といわれたこともあった。
店側に申告しても、目の前に貝料理を置かれたり、大丈夫と言われた混ぜご飯で症状が起きたこともある。
飲食店が高級か庶民的かの問題ではなかった。
自己防衛能力が高まって、口に含んだ瞬間にわかり、難を逃れたことも多々ある。
外食ばかりが問題ではない。スーパーマーケットで買い物をするのも気を使う。
貝類はアレルギー物質表示に入っていないので、原材料の欄を頼りにせざるを得ない。
食品を買うときは、袋の表面より裏面をじっくり読むのが習慣になった。
自分で作る料理が一番安心だ。この十数年は痛い目にあってはいない。
パンデミックで、巣ごもりの時期があり、外食自体が減ったことも大きい。
自分が食べ物を管理できる間のさいわいだろう。高齢になって、人様に食べることを任せるようになったら、どうなることやら。